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0017




 宿の部屋に戻り一息吐く。水筒の水を飲み干し、装備を外して全て浄化する。


 俺もまだムカツいていたのか制御が甘くなってしまい、必要以上に装備や荷物と部屋を浄化してしまった。まぁ悪い事じゃないし、見るのも宿の人かダナだけだ。


 食堂に行きカウンター席に座る。水を頼みボーっとしながら、いつも通り二人分注文すると今日は高かった。


 どうやら俺が昨日狩った熊肉が出てくるらしい、あれは美味かったので期待を込めて支払う。


 熊肉料理は前回と同じく1人大銅貨2枚なので、従業員に大銅貨4枚を支払い、ダナが来てから出して欲しいと頼んでおく。女将さんが居ないが何かあったのだろうか?。



 「あら、お客さん帰ってきてたんだね。今日はちょっと遅かった様だけど」


 「今日はバカ4人に絡まれたり、色々あって遅れたんです。注文はもう出したしお金も払いましたよ」


 「まいど。その4人ってサングの町から来た傭兵かい? なんだか素行の悪い連中が来たって薬屋で話してたんだよ」


 「たぶんそうじゃないかな? ……ところで薬屋って具合悪いのかい? 病気には気をつけた方がいいよ」


 「病気じゃないよ。買って来たのは夜に旦那に飲ませる薬さ」


 「あ~、そういう……」



 なんとも言い辛い。サラっと言われると反応に困るな。薬に関しては浄神と魔神と闘神に教えられているので、色々な薬の作り方などは知っている。本来は薬神の範疇なんだけどね。


 中には教えられて困った物もあった。下界に行く人間に神酒や神蜜、神薬や神丹なんかを教えられても困る。そもそも材料を揃えるのは殆ど不可能だ。


 神界では材料をポンポン創って薬の作り方を教えてくれたが、作った後で”それ下界では幻の品”って言うの止めてほしい。覚えても無駄じゃないか!? と何回思ったか。


 神界での事を思い出しているとダナが宿に入ってきた。俺を見つけると隣の席に座り、エールを注文して話を始める。



 「あの4人組、どうやらサングの町に居られなくなって逃げて来たみたいだね。お金もあまり稼げず素行も悪かったらしく、叩き出される様に来たんだろうってさ。傭兵と行商人から裏が取れたよ」


 「大した実力も無いのにレッドパンサーを狩った俺に喧嘩を売ったのか。バカはどこにでもいるな」


 「その事なんだけど、村の入り口でレッドパンサーを狩ったのを運が良かったとか言ったそうだね? それであのバカ共は勘違いしたらしい。とはいえ、運でレッドパンサーは狩れないのに、そんな事も分からない連中だ。<死の赤>は伊達じゃない。普通はランク4が4人掛かりで倒す魔物だよ」


 「山でも強い部類なんだよな?」


 「そうさ! 山で一番強いのはソードグリズリー。コイツは体長5メートルを超えてて爪が鋼の剣の様に鋭いんだ。次がウィンドディアー。コイツは【風魔法】の様な能力を持っていて、それで加速して角で刺し殺しにくる。そのうえ足も早く不利なら直ぐ逃げる厄介な奴さ。レッドパンサーは3番目だよ」


 「山の魔物は強いうえに厄介そうだ。森から魔物も出てくるし」


 「そもそも、ここは南の川の向こうに大森林を抱えてる。サングの町の傭兵よりも、この村の傭兵の方が強い奴は多いんだよ。ある程度の奴は西の森に入って狩りをしてるんだけど、森に入って狩りができる奴は実力者なんだ。森は傭兵にとって非常に不利な場所だからね。そこで戦い生き残れるのは実力の証さ!」



 ダナが2杯目のエールを流し込むのを見ながら話を聞く。どうも町の傭兵を下に見てる様だが、向こうには厳しい狩場が無いからだった。


 この村が町ではなく村なのは納める税を減らす為で、この地を治める貴族も認めているらしい。森からの魔物を間引き、東へ行かないようにしているので税を安くしている。


 この措置は統治者としては普通の事だろう。ダナや女将さんは、ここらを治める貴族は優秀だと言うけど……そうか?。


 まぁ普通の事を普通にやってくれる統治者が、優秀と言われてしまうのは仕方がない。悲しい話だが、地球の歴史でも証明されてる。


 料理も食べ終わったので部屋へと戻ろう。ダナが部屋に来るのも2回目だが、あっと言う間に慣れたらしい。二人の体や服と口内を浄化し椅子に座る。


 食堂から借りてきた木のコップで水を飲んでいると、ダナがベッドに寝転がりながら聞いてきた。



 「ちょっと聞くんだけどさ。朝作ってくれた武器以外に、どんな武器が”故郷”にあったんだい?」


 「どんなって、剣、刀、弓、矛、槍、薙刀、長巻、十手、刺又、苦無、手裏剣、トンファー、杖、棒、ぐらいかな」



 さすがに銃火器は答える気は無いし、作る気も無い。



 「一杯あるね………。杖や棒で戦うのかい?」


 「故郷には杖術や棒術といったものがあったんだよ」


 「へぇ、杖や棒で戦う技術ねぇ……」


 「杖や棒は旅をする人が持っていても、不思議じゃないし警戒されない。その杖や棒で身を守る技術だよ。それに杖や棒はある程度の長さの木があれば、誰でもその場で作れる便利な物だからな」


 「成る程! 手に入れやすい物で身を守る技かー、良く考えられてるね。他の武器は?」



 先ほど挙げた武器の詳細な説明を一つずつ丁寧にしていく。どうも大脇差の具合が良く、他にも欲しいらしい。


 その理由は、傭兵に戻った時の為に今から準備したいんだそうだ。動けるかどうかも大事だが、使う武器によって動きも変わる。せっかくだから色々な武器を確かめたいと言われた。


 どうやら俺に色々と作れという事らしい。まぁ……楽しそうだからいいか。



 「アタシは両手に武器を持つんだけど、変えた方がいいのかねぇ。確かに威力不足はずっと感じてたけど、長柄の武器の話しを聞くとね……。変えるなら今なんだよ」


 「無理に変えなくてもいいとは思うけど、拘り過ぎるのも良くないからなぁ」


 「そうなんだよね、拘り過ぎると足元掬われるから悩むんだよ」


 「長柄の武器なら他の国のもあるよ。モール、ポールアックス、グレイブ、ハルバード、大刀、戟、覚えているのはこれぐらいだ。普通の武器なら他にも知ってるけど」



 また色々な武器の説明をする。よほど自分の知らない武器を知るのが楽しいのか、どんどんと質問してくる。


 この”ニワカ知識です”と言えない辛さよ。必死に思い出しながら説明をして納得してもらった。



 「やっぱり替える! 作って貰ったのにゴメンね。威力が無くて足手まといになるのは嫌だから替えるよ!」


 「まぁ、材料は使えるから問題ないよ。大脇差の素材を新しい武器に流用すれば済むし。【錬金術】や【練成術】はその辺り柔軟だから大丈夫」


 「アタシが欲しいのは長巻。それと短刀をもう一本。両手に持つのは短刀にするよ。ちょっと取ってくる!」



 ダナはそう言うと大脇差を取りに行った。まだ大丈夫かも……と思い武具屋へ行くと滑り込みセーフだった。なのでショートソード一本、銀貨3枚のやつを買って帰る。


 部屋に戻るとダナが居たので、大脇差を受け取り分解して心鉄と皮鉄を【分離】し短刀に作り替えた。


 ショートソードを分解し部屋にある炭を使い鋼にする。ダナと話し刃長90センチで柄が1メートルの長巻に決まった。


 長巻の刃は大太刀と同じ物なのでさっさと作る。柄は薙刀と同じ断面が楕円形の物だ。石突まで含めて大した時間は掛からない。


 出来た物をダナに渡すと、室内では振り辛いが触って喜んでいる。普通の女性にプレゼントする物ではないが、喜ばれるとこちらも嬉しい。


 武器の話はまだ続き、質問もある。どうやら傭兵ギルドの掲示板に色んな武器の書かれた紙を張り出したい様だ。


 傭兵は自分に合った武器を使うのが一番だが、基本となる武器ぐらいしかギルドには置いていない。


 訓練場で色んな武器を試せれば自分に合った武器が見つかり、傭兵の死者も減るんじゃないかと考えているみたいだ。


 そういえばこの世界、既に植物紙は高価だが使われている。羊皮紙というか皮紙もあるし植物紙もある。


 植物紙を創り出したのはエルフで、技術は厳重に秘匿されているそうだ。俺が作り方を教えようとすると聞きたくないと言われた。


 秘匿されている情報を言い触らすと暗殺されかねないので、絶対に口に出さないようにと念を押されるぐらいだ。



 「今日は、アタシがやり返す番さ!」



 なんの事かと思ったら、多少だが【房中術】が使えるようになっていた! センスがあるのかもしれない。


 ……昨日よりも満足でした。二人の体や服、それと部屋を浄化したので寝る。おやすみなさい。



 ▽▽▽▽▽


 0017終了時点


 金貨6枚

 大銀貨1枚

 銀貨8枚

 大銅貨14枚

 銅貨13枚


 鋼の短刀

 鋼の鉈

 鋼の槍

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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