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 夕食後、宿に戻って各々好きに過ごす。といってもアリシアとカナイスは話しており、何故か俺達の部屋に来ている。近衛騎士の2人は居ないが、良いのかねえ? 俺は気にせずウェルに指導をしている。


 自分が思っている以上に上手く循環出来ていない事を痛感したらしく、子供達と揃って練習の続きだ。俺が目の前で循環させてみせて、その真似をさせている訳なんだが……子供達はともかく、ウェルは自分との違いを調べる段階だ。


 子供達は何度もやってきているので、間違っていたりズレたりしている部分を修正している。ウェルはその段階にも入っていないが、こればっかりは仕方がない。言葉は悪いが年季が違う。俺の下で1年以上修行してきた子供達と同じにはなれない。


 どれだけの才能があろうと努力しなければ大成しないのと同じだ。それはともかく、途中からアリシアとカナイスも修行を始めたな。楽しく話してたんじゃなかったのか?。



 「そこまで互いに話す事も多くありませんし、何より私だけ置いて行かれるのは納得できません。ウェルより先に教えて貰っているのに、私だけ下手な可能性があるじゃないですか!」


 「そんな事は知らないっての。それより上手く循環出来てないから、ゆっくりしろ。ウェルもそうだったし誰しもそうだが、苦手部分を速く動かす事が多い。ゆっくり丁寧に、精緻に繊細に動かせ。この練習は魔法にも直結する重要な練習だぞ?」


 「魔法ですか!? もし魔法を教えていただけるのでしたら、私は浄化魔法を教えていただきたいです。浄化魔法だけは聖国が秘匿していますので、そう簡単に学ぶ事は出来ませんから」


 「何処の国も全く浄化魔法を知らないのか? ドラゴンは普通に群れで学ぶのに、どうして人間種は浄化魔法を知らないんだろうな? 何だか妙な気がするが……」


 「我が国に伝わっている浄化魔法は、【清潔】の魔法だけだと聞いた事があります。それも秘匿されていると言いますか、普及させると聖国が五月蝿い可能性があり、表に出せないとは聞きましたが……」


 「やっぱり阿呆どもの利権の道具にされてるっぽいなー。かつての星でもそうだったが、浄化魔法を利権の道具にするから、いつまで経っても星が綺麗にならないんだよ。汚い連中だ」


 「確かに色々な意味で汚いな。我等ドラゴンも浄化魔法が上手く伝わっていなかったり、散逸したり失われたりでアルドほど知っている訳ではない。浄化魔法の紙束を見せてもらったが、あそこまでの物はドラゴンも知らぬであろう」


 「私も見ましたけど凄かったですよね。【浄戒】とか【浄炎】とか、聞いた事が無いどころかピンポイントで用途が決まっている魔法まであるんだなと思いましたよ。そういえば呪いでも痛みを受けるんでしょうか?」


 「さあ? 試してみるのが一番手っ取り早いだろ」



 そう言って、俺はカナイスに向けて【浄戒】の魔法を使う。すると痛みを訴え始めた。そこまで滅茶苦茶いたい訳じゃないようだが、体全体が痛いらしい。まあ、呪いが薄くとも、体全体に広がっているからだろう。邪気の反応と変わらない気がする。



 「いたたたた……あー、痛かった。何で私があんな目に遭わなきゃいけないんですか!? 流石に私じゃなくても、自分に使えばいいでしょうに!」


 「この場で汚いのはカナイスだけだぞ? 他のメンバーは身内だから、そもそも俺が毎日綺麗にしてる。つまり呪いの汚染も無く綺麗なんだよ。試して正しい結果が出るのはカナイスだけ、つまり汚いのもカナイスだけだ」


 「………」


 「まあ、仕方ありませんよ。私達が綺麗にしてもらっているのは事実ですし、他の誰よりも綺麗である事も間違い無いですから……正直に言って、王女時代より綺麗に過ごせています。後、美味しい物も食べられていますね。……しがらみも公務もありませんし、王族って何なんでしょう?」


 「………」


 「まあ、それが自由というものだ。その反面、大半の狩人は汚い格好で必死になって生きているだろう? 俺達が特殊すぎるだけで、他の者達は王族以下の暮らししかしてないぞ? それもまた現実だし、自由の結果だ」



 そんな話をしていると、段々眠たくなってきたのかカナイスは部屋へと戻った。子供達もウトウトと舟を漕ぎだしたので、敷いていた布団に寝かせて2匹を左右に寝かせる。【昏睡】を2人と2匹に使ったら、次は2人の相手だ。


 やっている事は前の星と変わらないなと思いつつ、2人を満足させてさっさと寝かせる。両方ともラブラブで撃沈させたが、我慢出来なかったアリシアを先にしたものの、ウェルが少し引くぐらいに狂乱していた。


 ベッドで豪快に大満足をアピールするその姿は、一瞬大猿を連想したが頭から消してさっさと横になる。既にウェルも大満足して気を失っているので、後は寝るだけだ。部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星35日目>



 おはようございます。今日は西に移動する日ですが、問題は足の遅い近衛騎士2人です。最悪は荷馬車か何かに乗せて走るか? そんな事を考えた時、ふと自転車ぐらいは作れるなと思い出す。まあ、面倒だから作らないけど。


 作るなら送風機を応用した原動機付き自転車の方が良いだろう、いちいち漕がなくて済むからな。とはいえ、この星では明らかにオーバーテクノロジーの代物だ。ただでさえ衰退していっているのに、そこに持ち込む物じゃない。


 朝の日課を終わらせた後、紅茶を煮出して飲んでいるとアリシアが起きた。寝起きでボーッとしていたが、俺を見るなり近付いてきて情熱をぶつけるようにキスをしてくる。………してくるんだが、なかなか治まらないし激しいぞ?。


 終わる気配が無い為、已む無く【房中術】を使って反撃し撃沈させてやった。朝からキスまではいいが、そこから盛るのは駄目だ。……そういえば前の星での女性陣も、何度か似たような事をやらかしてたな。


 そんな事を思い出していると、体をヨロヨロ起こしたアリシアは部屋を出て行った。それを見送りゆっくりしていると、今度はダリアが起きる。水皿に神水を入れて出してやると、美味しそうに飲んだ後、胡坐の中に入って遊び始めた。


 俺の太腿をポンポン叩いたり、頬を擦り付けたりして遊んでいる。そんなダリアを綺麗に【浄化】しつつ撫でてやると、ダラーンとして良い気分に浸り始めた。そのままダリアの相手をしていると、ウェルが起きてドタドタと部屋を出る。


 どうやらまたもや限界で目覚めたらしい。その後は皆が起きてきたので挨拶し、準備と片付けを終えたら部屋を出る。アリシアがカナイスの部屋をノックすると返事があったので、先に食堂に行く事を話して宿を出る。


 食堂に行き中銅貨7枚を支払って席に座ると、すぐにカナイス達もやってきた。食事後は食堂を出て店に行き、味噌を中銀貨1枚分買ってアイテムバッグに収納する。その購入量に3人が若干引いている気がするが気にしない。


 町を出て歩きながら3人に相談する。俺達は1日で村2つを越えて町まで行くのだが、それについてこられるのか? そういう相談だ。



 「一日で村2つを越えて町か……普通は1日で村1つだぞ。どれだけ速く移動する気、いや、その速さで移動してきたのか。とんでもないな」


 「流石に我等にその速さは無理だ。昨日見たので嘘ではない事は分かる。困ったな、全力で走っても流石に無理だぞ……」


 「俺とウェルが背負うとしても、今度は構図が悪過ぎるんだよな。挙句、近衛騎士が女性に背負われるというのも、知っている者達には何を言われるか分からんだろ? ……だよなー」


 「ならば私がドラゴンになって乗せていこうか? それならば今日中に帝都に行けるぞ?」


 「それは止めて下さい! そんな事をしたら、帝都がパニックになってしまいます!」



 仕方なしという事で、近くの木を伐って人力車を作り、それを引っ張って行く事にした。これぐらいなら見られても問題無いだろ。休憩を挟みつつ移動すれば、いつも通りに町まで行ける。


 そう思って出発しようとすると、アリシアも背負うより人力車が良いと言い出した。しかたなく一人用の人力車を作り、アリシアに引っ張らせる。朝から2つも作る羽目になったぞ。


 それじゃあ、さっさと出発しよう。


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