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 俺は少年少女を助けてやったものの特に関わる気は無いので、死体は好きにしていい事を言ってその場を去る。おそらく血抜きなり何なりして持って帰るだろう。俺としてはさっさと帰りたいし、神水作りがバレるのも面倒臭い。


 少年少女は何か言いたそうな顔をしているが、その場に俺はもう居ない。【空間把握】で確認しているんだが、大人しくゴブリンの解体を始めたようだ。どうやら魔石を確保しようとしているらしい。という事は、この星でもゴブリンは不味くて食べられないのかな?。


 まあ、そこはどうでもいいか。そう思いながら町へと戻る。あの少年少女を助けた事で面倒が起きないといいが……。


 再び誰も見ていない所で隠密の4つの技を使った俺は、さっさと町に入り宿の部屋へと戻る。獣国から来ているので警戒が酷く、面倒だったので隠密の4つの技で隠れて出たけど、それが失敗だったのかもしれない。



 「まあ、そんな事をしていればな。面倒だという気持ちも分かるが、それで更なる面倒を起こすかもしれんぞ? そもそも町に出入りした記録が無いのに、少年少女を助けておるのだからな。まあ、明日には出るから大丈夫だと思うが……」


 「そんな事を言っていたら面倒な事が起きるかもしれませんし、この話題はもう止めましょう。それよりゴブリンって食べられるんですか?」


 「ゴブリンの肉は不味いぞ。悪食でもなければ好んで食べたりせぬ。私も昔一度だけ食うた事があるが、驚くほど不味かったのを今でも思い出せる。アレは食う物が無く飢えている時なら、仕方なく食べるであろうほどだ」


 「ウェルがそこまで不味いって言うなら、前の星と同じようにアルドが浄化したら食べられるかも。前の星でもね、ゴブリンは凄く不味いんだけど、アルドが浄化した肉は普通に食べられるんだよ」


 「美味しい肉ではありませんけど、普通に食べられる肉ではありましたね。こっちのゴブリンも普通に食べられるようになるかもしれません。ただ、呪いがどう影響するかまでは……」


 「浄化……な。流石に昔食べたゴブリンが浄化されていたとは思えんし、実際に浄化してみぬ事には本当に不味いかは分からんな」



 雑談をしつつ宿を出て食堂に行った俺達は、中銅貨7枚を支払って夕食を注文する。そのまま雑談をしながら待っていると、少年少女が入ってきた。俺は今入ってきた少年少女が助けた奴等だと説明したが、少年少女はこっちに気付かず注文して席に座る。


 皆も特に興味は無かったのか、チラッと見ただけで後は雑談をしていた。夕食後はさっさと部屋に戻り、五月蝿い二人の為に酒を出す。美味しくなっているかどうかは分からないが、まあまあの出来ではなかろうか。



 「うむ! これでなかなかとは……いや、これは美味しい。本当に美味しいが、聞いていた通り酒精が強いな。美味しいだけに、飲み過ぎるとあっさり泥酔しそうな気がする。このウイスキーというのもブランデーというのもな」


 「これ、キツいですけど美味しいですね。流石にゆっくりチビチビ飲みますよ。そうじゃないと、前みたいに気付いたら朝って事になりかねませんし。お酒に呑まれるのも体に良くないって聞きましたから」


 「アリシアも冷静であれば普通なのだが、酒を飲んで良い気分になってくると浮つく気もするがな。ま、今は様子見というところか」



 子供達がリバーシで勝負しているのを見ながら、俺は【探知】と【空間把握】を使っている。外にウロウロしている奴が居るからなんだが、いったい何だろうな? 宿の前を行ったり来たりとしているんだ。


 特にどうこうと言う訳じゃないんだが、悪意も飛んでないのに何をやってるのか不思議な奴がいる。訳が分からないんで様子見しているが、本当によく分からない。



 「宿の前をな……。行ったり来たりというのもよく分からんが、大通りをそうやって移動していたら目立つであろう。もう暗いので見ている者は多くないだろうが、明らかな不審人物だぞ」


 「ああ、それで……って宿に入ってきたな。そして……あーあー、そういう事かよ。監視は止めるか」


 「どうしたのだ? 何となく問題は無いみたいだが」


 「何か宿の受付の女性を口説いてるっていうか、必死でアピールしてる。流石に茶化す事でも無いんで、見るのも止めておくよ」


 「ああ、そういう事か。それならタイミングを待ってウロウロするのも分からんではない。しかも上手くいくかどうかに興味も無いしな。そういう事を楽しそうに話しているのも聞いたりするが、私には何が面白いのか全く理解できん」


 「俺もだ。他人の恋路なんて好きにすればいいし、話のネタにしなくても良いだろうとしか思わん。そういう事をしている奴は、自分の恋愛を笑われたり馬鹿にされたりして納得するのか……いや、そういう奴ほどしないんだろうなぁ」


 「で、あろうな。それより子供達が眠そうにしているが………こっちがな」



 俺は子供達を布団に寝かせていき、2匹を左右に寝かせると【昏睡】を使う。ウェルは酒に呑まれたアリシアをベッドに寝かせてくれたので、そのアリシアにも【昏睡】を使っておく。結局、酒の飲み方も分からず呑まれたか。


 いそいそと服を脱ぐウェルに呆れつつも、【精気】だけで優しく撃沈してやった。シュラやアルメアと同じく、このチョロゴンもラブラブに弱かったらしい。悦び方が凄かったな。そういうのに憧れでもあったのかな?。


 部屋と体を綺麗に【浄化】したら、俺もベッドに寝て目を瞑る。今日も一日お疲れ様でした。



 <呪いの星34日目>



 おはようございます。今日は更に西へと向かいますが、何事も無く町を出られるように今から祈っておきます。とりあえず朝の日課を終わらせ、紅茶を淹れて飲んでいるとイデアが起きてきた。部屋を出て戻ってきたイデアは、紅茶を入れてハチミツを溶かしている。


 相変わらずキッチリ全て溶けるまで掻き混ぜているが、そこは本人の好みだからなぁ。そう思いつつ2人で静かな朝を過ごす。適当な雑談をして過ごしていると、飛び起きるようにアリシアが起き、そして俺達を見てガックリした。


 大きな溜息を一つ吐いた後、アリシアは部屋を出て行った。あんな盛大な溜息を吐かれてもなー、自分がガバガバ飲んだのが悪いんだから諦めてほしい。流石に誰の所為でもないと思うぞ。


 戻ってきたアリシアは紅茶を入れ、ハチミツを混ぜつつ憮然としている。俺とイデアはアイコンタクトを行い、面倒なので触れない事にした。それを見たアリシアが口を開く。



 「流石にその反応は酷くありませんか? 確かに憮然としている私が悪いんでしょうが、昨日も無かったんですから、こうもなります。昨日”も”無かったんですよ?」


 「そんな事は知らないっての。そもそもアリシアが酒に呑まれて寝たんだろうに、他の誰の所為でもないんだぞ? 自分のミスなんだから諦めろ。流石にそれで他人に当たるのは理不尽だ」


 「それは……まあ、そうですけど。どうしてこう、お酒を飲むと失敗するんでしょうか?」


 「それが酒だからじゃないか? 別に茶化している訳でも馬鹿にしている訳でもないぞ? それが酒ってものだから、他に例えようが無い。酒精、つまりアルコールとはそういう物だ」


 「つまり良い気分になって、物事を碌に考えなくなるようになるのが酒精なんですか?」


 「そう。その良い気分になる成分が含まれてるのが酒だ。俺が飲まない理由でもある。酒って手軽に理性を減らす危険な飲み物でもあるからな。だか」



 いきなり飛び起きるようにウェルが起きると、慌てて部屋を出て行った。限界になって強制的に起きたのかね? 慌ててトイレに行ったな。


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