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 <呪いの星33日目>



 おはようございます。本日は国境を越えて帝国入りです。どんな国か知らないが、鉄以外を碌に聞かない国であり、魔導炉が壊れたので品質ダダ下がりの国だ。炉の修復すら出来ないって言うんだからと言いたいところだが、技術を独占されていたら無理か。


 そのうえ魔導技術が発展していた国は滅んだそうだしさ。この獣国も最後だが、紅茶や黒砂糖は買い足せないままだな。まあ、王都で忘れてたうえに、その後は色々とあったからなあ。買っている暇が無かったと言うべきか。


 朝の日課を終わらせつつ下らない事を考えていたら、ウェルが起きてトイレに行こうとして反転し、俺に情熱的なキスをした後で急いで部屋を出た。キスする前に用を足してこいよ。何だか微妙な気分になるだろ。


 何とも言えない気分のまま紅茶を淹れていると、部屋に戻ってきて早速紅茶を入れていくウェル。ハチミツを出してやると、照れながら入れて掻き混ぜる。



 「朝から余計な事をしたわ。先にトイレに行ってからにするべきであった。御蔭でトイレで微妙な気分になってしまった。されたアルドも微妙な気分になったろう、すまぬな」


 「まあ、自覚があるならいいけどな。それよりも、今日に限っていったいどうしたんだ? いつもなら先にトイレに行くだろうに」


 「昨夜無かったのでな、どうにもアルドの顔を見ると堪らなくなってくるのだ。かつては嫌な行為でしかなかったが、今ではシたくて仕方がない行為となっている。私も本当の意味で雌になったのだと思うが、そうなると雌の欲にどうしてもな……翻弄されてしまうのだ///」



 ウェルは紅茶を飲みつつチラチラ俺を見ては、顔を赤くして太腿を擦り合わせている。流石に朝からは勘弁してほしいので、仕方なく【静心】を使って落ち着かせた。性欲がスーッと消えていくからだろう、若干恨みがましい目で見られる。



 「まあ、朝から盛っている私が悪いのだ、仕方がないのは分かる。とはいえな、もう少し浸らせてほしかった。そんなにあっさり消さなくても、という思いはあるぞ?」


 「だったらあのまま耐えられたか? 俺の予想では近い内に暴走してたと思うぞ? そもそも欲が止められていない時点で、最後は暴走するに決まってるだろうに」


 「う、む……だろうな。今は冷静になったが、さっきのままだったら……服を脱いで迫っていた自信がある」


 「朝っぱらから盛るのもどうかと思うぞ? 流石に反転しておかしな事になる前に節度というものを身につけてくれ。好むぐらいなら構わないが、昼夜を問わずになると明らかに溺れているぞ? もちろん昨夜無かった事が原因だろうが」


 「まあ、それもある。それもあるが……求めても良くなったからなのが大きい。いや、違うな。正しくは自分が求める雄が居るからだ。だからこそ、その雄の種を求めるのだ、雌の本能がな。こうなったのは初めてなので多分そうだとしか言えんが」


 「そのうちに落ち着くだろうから、今は仕方がないのかね? どうも東の群れが特筆して酷かったみたいだし。とはいえ……あんな長老が実権を握ってたら、群れがおかしくなって当然か。アホの雄どもは自分達に都合が良いので反対しないだろうしな」


 「長老の言い分を思い出すと、元々長老も耐えてきた結果、あのように狂っていったのであろう。それを何故リョクディマを含め私達に強いてきたのかは分からんが……」


 「特に難しくないだろ。あの長老にとっては正しくなきゃ駄目なんだよ、正しくなければ自分が耐えてきた意味が無くなるから。単に雄に都合よく使われたとは思いたくない、だから何か理由があった事にしたいのさ。その為に若い連中にまで無理強いしてきたんだろう」


 「結局は長老も自分の事だけか……それが自分勝手な雄どもと同じだと何故分からんのであろうな。いや、自分が間違っていた事を認めたくない、この時点で既に自分の事しか考えておらんのか。そして凝り固まったと」


 「ああ。ただし、そんな奴は種族を問わず何処にでも居るがな。そのうちドラゴンの雌が叛乱を起こしそうだ。各地で雄ドラゴンが徒党を組んだ雌ドラゴンに殺されたリして。とはいえ、そうなっても自業自得でしかないが……」


 「本当にそんな事をしてたんですね、ドラゴンって……。ウェルには悪いですけど、最強種なのに野蛮ってどうなの? って思うんですけど……」


 「本当にな。私も頭が痛いというか、アルドが言った通り変革期なのだと思っている。色々なものが変わっていく時期だが、これで滅んでも因果応報で終わる話でしかない。ないがしろにされてきた雌の怒りは大きいであろうからな」



 蓮もイデアも既に起きており、先程トイレに行った。その前にダリアとフヨウが起きており、その前にアリシアが起きている。おっと、蓮とイデアが戻ってきて紅茶を入れているが、足りないから神水を追加しよう。


 樽から鍋に神水を追加し、【加熱】と【抽出】で煮出していく。最近は一度目に【抽出】を使わず、最後に【抽出】を使っている。


 そうしないと足りない際は新しい茶葉を入れなくてはいけなくなるからだ。この星に来てから小さい鍋で煮出しているので、こうなるのは仕方ない。


 紅茶を飲み終わったら部屋を片付け、綺麗に【浄化】したら食堂へ。中銅貨14枚を支払い食事をしたら、紅茶などを見に行く。しかし食堂などと同じく高い。買う気にならない程だ。


 仕方なく諦め、町を出て国境へと向かう。走って行くとすぐに砦が見えて到着し、驚くほどあっさりと通過する。全く調べられもしなかったぞ。まあ、楽で良かったけど。


 そう思いながら走って行き、今度は帝国側の国境の砦で止まる。こちらは逆に猛烈なまでに取調べが厳しい。何故帝国に行くのか? 元々は何処から来たのか? いつまで滞在する気なのか?。


 こちらに対する嫌がらせなどではなく、純粋に警戒している感じだ。俺達が獣国からのスパイなどに見えているのかもしれない。そもそも俺達は狩人なので、通行を妨げる権利は兵士に無いのだが……。


 犯罪を犯したとかの理由が無い限り、狩人は国の通行が可能となっている。自由民であるのと同時に、何処の国でも魔物の被害の為には狩人を多く抱えたいからだ。魔物と戦う狩人はよく死ぬので、数が多くても構わないと考えられている。


 スラムにたむろする不良狩人も居るが、そういう奴等は最後には始末されて死ぬ。スラムの組織が大きくなってきても国軍と戦って勝てないからであり、<ドクロの花>もあれ以上大きくなれば国軍が出ていたかもしれない。


 つらつらと考えていると、やっと許可が下りたので帝国へと進む。真っ直ぐに進むと町があったので、おそらく帝国側の辺境伯の町だろう。中に入ろうとすると随分とジロジロ見られた。


 悪意というより警戒だな。それでも狩人なので登録証を確認したら通した。警戒しすぎだろうと思うくらいに警戒しているが、少なくとも自分達がやってきた事の自覚はあるって事か。


 中に入って少しウロウロしつつ、町の人から話を聞いていく。子供達は干し肉を渡すと簡単に喋ってくれるので助かる。


 ここはウェルニー町というらしく、ここから西に、ソソ村、アクス村、コイル町、ソデ村、キャクル村、ソーイント町、ベス村、ポルイ村、イゲート町、帝都ウィラーとなっている。ちなみに国名はウィルナイト帝国だ。


 一部の大人が干し肉欲しさに喋ってくれたので、王都までの道程が分かった。後は適当に見回るかと思ったんだが、妙に紅茶が安いな? 何か理由があるんだろうか?。


 とりあえず小金貨1枚分買ったが、俺がゴッソリ買い占めたみたいになったぞ。冷凍して保存しとこう。


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