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 俺達の近くに降り立ったドラゴン3頭は、俺が死体を処理しているのを見て早速文句を言ってきた。まあ、分からなくはないが、いちいち鬱陶しいもんだ。



 「貴様、それはドラゴンの死体ではないのか? ……おのれら! ドラゴンを殺しおったな!!」


 「……長老か? いったい何の用でここに来たのか知らぬが、こやつらは殺されて当然の事をしようとしたから殺されただけだ。ドラゴンであろうが無かろうが関係など無い。そもそもドラゴンの中に強姦犯罪者が多すぎるぞ」


 「より強い者を生み出す為には仕方なかろうが、我等もそうやって言われ耐えてきたのだぞ!! その御蔭で強くなり、ドラゴンは食い殺される事など無くなったであろうが!」


 「何を言うておるか!! リョクディマは群れの雄の大半から犯されておったのだ。一ヶ月もの間、代わる代わる群れの雄に犯され続けたと言い、呪いに塗れてしまったのだぞ!! それもこれも怨みや憎しみ等の所為ではないか!!」


 「愚かな事を! 今までどれだけの者が犯されてきたと思うておる。弱いから呪われるのだ、所詮は弱い所為であろう! そんな者は淘汰されて当然!! ドラゴンに弱い者など要らぬわ!!」


 「こいつは酷いな、酷いうえに醜すぎる。やはり俺が言った通り、ドラゴンなんぞ所詮は空飛ぶトカゲか。中にはマシなのも居るが、大半はトカゲでしかないな。だから強姦も当たり前なんだろう」


 「何だと!? ……下らぬ人間種がおったのか。所詮は我等ドラゴンの肉を食うた奴等の子孫。我等の祖先の肉がなければ知恵も持てなかった分際で、偉そうな口を叩きおって!! 死ねぃ!!!」



 相変わらずバカの一つ覚えのようにブレスを放ってきたので、面倒だから【念動】を使ってカーブさせ自分自身に直撃させてやった。なかなかにダメージを受けたらしく、所々の鱗が焦げている。……これは良い方法かもしれない。



 「グゥォーー!! おのれ訳の分からぬ面妖な事をしおって! 今すぐ爪で引き裂いてく「待て!!」れるわ!!!」


 「我等はそなたらと争いに来た訳ではない。東のが勝手に暴走したが、我等北と西はそなたらに敵対する意志は無い。東のも止めよ、我等は呪いの者の事を聞かねばならぬ。そなたは東の群れの者であろう。話を聞かせてくれ」


 「私は元東の群れの者だ。私に粘着して襲ってきた雄をブチ殺したのでな、今はハグレとなっておる。名はウェルディランカだ。そしてここで呪いのドラゴンとなった者の名は、東の群れの時の知り合いでリョクディマという」


 「何故なにゆえドラゴンが呪われてしまったのだ? 子供達には浄化魔法を教える決まりであろう? ならば問題無い筈だぞ。何があればドラゴンが呪われるというのだ」


 「ふん! どうせハグレと卑しい人間種が何かしたに決まっておるわ。おのれらも力を貸せ、この者どもを殺すぞ。ハグレと人間種など生きる価値も無いわ」


 「何を言うておるのだ東の。今は話を聞いておるのだぞ、しかも無闇に敵対してどうする? 話を聞かずに暴れれば良いなど、野蛮な者のする事ぞ」


 「面倒だから言っておくが、リョクディマは先ほども言った通り、群れの大半の雄に代わる代わる一ヶ月もの間犯されておったらしい。それで情緒不安定だったのであろう、右の翼を斬り落とされてから暴走して呪いを吸収し始めたのだ」


 「お前がそんな事ををするからであろうが! ハグレは大人しく死んでおればよいものを!! 今すぐ我がこの「五月蝿いぞ!!」手で殺し……」


 「話を聞いておるのだ、邪魔をするのを止めよ! 場合によっては他のドラゴンも呪われる可能性があるのだぞ。その為には話を聞いて対策を立てねばならぬであろうが。東がどうなろうが知らぬが、我等の邪魔をするな」


 「まったくだ。そもそも弱き者は犯されても仕方ないなど、あくまでも昔からそう言われておるだけであろう。それを今でも続けておる方が野蛮ではないか! 挙句それが怨みになり呪われたなど、東の群れは蛮族の集まりか!?」


 「何だと? 弱き者が虐げられるは仕方なき事ぞ。そうなりたくなければ強うなるのが当たり前であろうが! この世はすべからくそうであろう、弱ければ食われるしかないのだ!!!」


 「ならば群れで力を合わせればよかろう。弱ければ徒党を組むのは当たり前ぞ。力を合わせれば何倍にもなるわ!」


 「気高きドラゴンが何故徒党など組まねばならんのだ!! それは弱者のする事でありドラゴンのする事ではないわ!! 貴様らも所詮は弱者か! ドラゴンでありながら日和「やっと終わったな」おって!!」


 「御苦労様だ、アルド。ドラゴン3頭分だからな、死体の処理も大変であったろう。まあ、妙な者に食われて進化されるよりはマシだ。とはいえ、今の時代に進化するのかは謎だがな。古い時代だったから……そんな気はする」


 「だろうな。それぞれの種として一定の完成形までは既にいってると思うんで、これ以上の進化や発展はなかなか難しいと思う。ま、それはともかくとして、そろそろ帰って寝るか。起こされてから面倒な事が連続して起こったからな」


 「人間種が……さっさと死ねぇ!!!」



 再びバカなドラゴンがブレスを吐いてきたが、もう面倒なので再び返してやる。今度は顔面に直撃させて苦しんでいる間に、両翼を斬り落として尻尾を斬り落とす。すぐに痛みで絶叫を上げたが、俺は傷口を【浄炎】で焼いて止血する。


 【浄化】もしているからか、リョクディマと違って呪われる事は無い。四肢を斬り落として傷口を【浄炎】で焼き、眼も斬ろうかと思ったが面倒なので止めておく。これで身動きのできないゴミの完成だ。



 「普通ならさっさと殺すんだが、こいつはどうやらクズの1匹らしいからな。食われて死ねばいい。ブレスは吐けるだろうが、それだけだ。仮に呪いを持ったとしても、身動きのとれないブレスを吐くしか能の無いザコなどすぐに滅ぼせる」


 「おのれおのれおのれーーっ!! 貴様どうなるか分かっておるのであろうな、必ずや群れの者が報復をするぞ! 貴様らなどすぐに死ぬ!! 所詮はハグレと人間種だからな!!!」


 「その人間種に切り刻まれた癖に何を言っているんだ、あのザコは? やはりドラゴンなんぞは空飛ぶトカゲに過ぎんな。竜の神が殺せという筈だ。リョクディマの事を聞いても、あんな事をホザくんだからな」


 「<ドラゴンといえど、獣と同じ事しかせぬならば殺せ>。これが竜の神からアルドが賜った神命だ。よって、いきなりブレスを吐くなどの愚かな事をした者はアルドに殺されるぞ? 先ほどの3頭は私がハグレだと知って犯そうとしてきたうえ、アルドにブレスを吐いたから殺されたのだ」


 「「「竜の神……」」」


 「もう一度だけ言ってやる。<ドラゴンといえど、獣と同じ事しかせぬならば殺せ>。これが竜の神からの神命だ。お前達が何を言おうとどうでもいい。神からの命である以上、獣と変わらん奴は殺す」


 「我等ドラゴンは、そこまで神に見捨てられたのだ。浄化の神の使徒であるアルドが、竜の神の命を持って愚か者を殺すのだからな。私はアルドが圧倒的強者だと知っているが、知らぬバカは下らぬ手出しをするだろう。そして殺される。これは仕方のない事だ」


 「そんなバカな事があるか! 神が我等を見捨てる筈なぞないわ! 勝手な事を抜かすな愚か者め!!」


 「あのバカはともかく、お前さん達はどうするんだ? 俺はどっちでもいいぞ」


 「いや、我等は敵対する気は無い。最初からそうであったのに、東のが勝手な事をしただけだ。<ドラゴンといえど、獣と同じ事しかせぬならば殺せ>。その神命を賜った者が居る事は群れに伝えよう。しかし……」


 「聞かぬ者は放っておけ。そういう者こそアルドが殺す相手なのだ。もしくはドラゴンの恥として、群れで処分するしかなかろう。私達が喋るのでな、これから雌を強姦する野蛮な種族と伝わるぞ? だが、事実なのだから諦めるしかあるまい?」


 「「………」」


 「そういう事だ。俺達はそろそろ帰って寝る。じゃあな」



 そう言って町へと歩いて行くと、ウェルも人間形態になって近付いてきたが裸だな。どうやら服は部屋に置いてきたらしい。ドラゴンに変身したら確かに破けるだろうなぁ。


 仕方なく毛布を渡すと体に巻いて横について歩く。それにしても疲れたなーと思うが、何故腕を組むんだ?。


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