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 頭の中がピンク色の奴等の所為で朝からおかしな事になったが、今は落ち着いて食堂に居る。やれやれだよ、まったく。中銅貨7枚を支払い朝食を注文し、席に座って適当な雑談をする。といっても、今日の予定を話すぐらいだ。



 「今日の予定は【気配察知】とアリシアは【暗視】もな。昨日使えたといっても使えただけだ。使い熟せている訳じゃない。どんな技もそうだが、使えるようになって初めて初心者だ。そこから研鑽していくしかない」


 「それは分かりますけど、【気配察知】って難しそうです。昨日の【暗視】は偶然見えるようになったので良かったですけど、こういうのは出来るようになるまで時間が掛かりそうで……」


 「言葉は悪いが時間が掛かるだけで済むなら、それで十分だ。奥義系はまず使えるようになるかすら分からん。【幻死】や【怪力無双】に【瞬閃】。それに【人形】や【黄泉帰り】もそうかな?」


 「色々な技とやらがあるのだな。私も覚えていかないといけないのか? ドラゴンであったから、確かに修行などはしていないが……」


 「そうだな。正直に言えば修行したほうが良い。少し教えられて分かったとは思うが、ドラゴンとて修行しなければ然して強くもない。超魔鉄でもおそらく切り裂けるだろうからな。前の星に居た岩硬竜の方が圧倒的に硬い」


 「「ガンコウリュウ?」」


 「背中側が岩のように硬い、アルマジロみたいな竜。つまりドラゴンの一種だと思えばいい。どちらかといえば恐竜なんだけど、それはいいだろう。この星のドラゴンだって空飛ぶトカゲなんだし」


 「「空飛ぶトカゲ………」」


 「いや、言い方は悪いがそんなもんだろう? 前の星の竜は戦闘に特化していると言っても過言じゃない。だからこそ超魔鉄程度じゃ切れないんだよ。どれだけ武器強化をしても、切れないものは切れない。神の金属で出来た武器を持っていないと無理なんだよ」


 「神の金属な………名を聞いただけでヤバそうなのが分かる。前の星とやらにはそんな物があったのか?」


 「ああ。ドラゴン程度なら何の抵抗も無くあっさり切り飛ばすような武器だ。なんたって同じ神の金属とか、一部の物しか切れない物は無かったからな。そんな武器でないと勝てないんだから、ドラゴンを空飛ぶトカゲと呼んでも仕方ないだろう?」


 「まあ、それは………。何となく言いたい事は分かりますけど、この星では最強なんですよ。ウェルが寄って集って攻められると殺されると言ってましたけど、それでも最強なんです。この星では……」


 「気持ちは分かるが……そういえばイデアが言ってたのも、この辺りにありそうだな。ドラゴン程度が最強って言うんじゃ、邪気塗れだった前の星の方が強い奴が揃ってる筈だ」


 「ああ、確かにそうですね。ウェルだけじゃ分かりませんけど、でも何となくは分かりますから。挙句、強くなろうという努力もしない怠惰な人達みたいですし。そうなると大した強さじゃありませんね」


 「そうだね。前の星の竜って強かったもん。凄く強い角で突進して刺し殺しにくる王角竜とか、何でも噛み付いて食べようとする暴食竜もいるし、目で見えなくなる七色竜とかも居たしね」


 「見えなくなる竜な………とんでもない連中がいるのだな。というより、その星の奴等はそんな竜が居る中でよく生きていられるものだ。とっくに殺されて絶滅していないとおかしいと思うが……」


 「竜の中には草食の者も居るし、何より人間種に手を出してくる事が多くない。人間種も竜が暴れれば必死に抵抗するしな。竜もなかなか子供が生まれない種族だ、数を減らすような真似はあまりしないさ。ダンジョンの最奥では出てくるがな」



 そんな話の朝食も終わり、ダンジョンへと移動して中に進入する。そのまま進みつつ、魔物の弱い層で【気配察知】の練習をする。小さい魔物の方が見つけ難い。つまり目視に頼っていると見つけるのは難しいのだ。



 「あそこ? じゃない。………あっち、でもないかな? ……うー、サッパリ分からない。闘気は何となく分かるけど、それで気配とか言われても! 素人には難しすぎませんか!?」


 「駄目ならもう一度闘気を感じるところからスタートだ。とにかく闘気を感じて、その闘気を探し出せ。闘気も気だ。気配とはそういうものだと言える。子供達も出来るんだから頑張れ、【気配察知】は努力で出来る技だ」


 「努力では出来ない技というのが怖ろしいが………駄目だな。私もそう簡単に出来るようにはならんようだ。予想以上に難しいのか、それとも何かしら理由があるのか……」


 「【気配察知】はねー、出来るようになると当たり前に出来るんだよ。それまでは訳が分からないけど、出来るようになると何故出来なかったのか悩むぐらい当たり前の事になるの。だから頑張って」


 「そうですね。努力して出来るようになるんですけど、【気配察知】は出来るよになるまでが大変なタイプです。出来るようになった瞬間から当たり前になるんですよ。そういうタイプの技って厄介なんですよねー」


 「ふむ、そういう「出来たー!!」ものなのか。っとアリシアは出来るようになったみたいだな。私も負けていられん、集中して頑張るか」



 ウェルがそう言ったので【集中】を使ってやる。実はアリシアにも使っていたんだ、コイツ想像以上に注意力とか集中力が長続きしないタイプだから。代わりに反応速度と視野と頭は悪くない。やっぱり盾士タイプだな、アリシアは。


 気配が分かるようになったアリシアは、地中に隠れているネイルラビットの上まで行って地面にストンピングをしている。流石に隠れてるんだから邪魔してやるなよ。後、周りからは頭のおかしい奴に見られてるぞ?。



 「オホホホホ! ちょっとした冗談をしているだけですわ。皆様お気にならさらぬよう」


 「何で急に貴族令嬢みたいに話すんだよ。それはともかく【気配察知】が使えない奴からしたら、地面に向かって地団駄を踏んでいる危ないヤツだからな。注意しないと変人扱いされるぞ?」


 「むー……ネイルラビットが出てきませんでした。地面の下に居るのは分かってるんですけど……って、あ! 今ごろ出てきて……!! うぅ、逃げられた」


 「そりゃ逃げるよ。変な人間種が地面の上でドンドンやってくるんだもん。危ないヤツからは魔物だって逃げるよ? 当たり前の事だと思うけど……アリシアは危ない人が居たら近寄るの?」


 「「「プッ……」」」


 「逃げるに決まってます!!! 使えるようになったんですから、ちょっとくらいハシャいだって良いでしょうに……。私にだけ当たりがキツくありませんか?」


 「そういうキャラなんじゃないか? とてもお姫様には見えないんだから丁度良いと「成る程!!」思うがね? っとウェルも何となく分かるようになったか。気配に関しては二人とも才能があったんだな。それとも神血の御蔭か? ……まあ、どっちでもいいか」


 「出来るようになったら、次は気配の識別ですね。とはいえ、これはゆっくり出来るようになれば良いですかね? ボク達も気配が分かるようになってからは急ぎませんでしたし」


 「まあな。早めに識別出来るようになった方が良いんだが、そこまで急ぐ事でもない。神血無しに簡単にやってのけたアルメアは流石だけどな」


 「アルメアって簡単にしたの?」


 「ああ。その当時の女性陣に適当でいいんだって教えてたよ。詳細に理解しようとするから分からないんだ、適当に気配を捉えればいい。そんなアドバイスを当「そういう事か」時してたよ」


 「成る程、確かに気配を捉えるのは適当でいいな。ああ、これは確かに出来るようになると当たり前になる筈だ。いや、これは凄いな!!」



 どうやら興奮するほどの事だったらしい。ただの【気配察知】なのにな?。


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