表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1765/1948

1764




 <呪いの星24日目>



 おはようございます。今日は更に西に進んで行く日です。まずは獣国の王都を目指すのだが、そこまでに2日か3日ほど掛かると思われる。まあ、急ぐ旅路でもないので、ゆっくりのんびり進んで行こう。


 朝の日課を終わらせて、紅茶を淹れて飲んでいると外で動く気配がする。【空間把握】で確認すると、慌ただしく動いている連中が居るな? 俺達には関わり無いみたいだが、朝から動き回るなんて何があったんだ?。


 そのまま色々確認して分かった。どうやら病気の者が出たらしく、それが風邪なんで慌てているようだ。風邪という病気は医療体制の整っていない時代、更には栄養が正しく摂取できていない時代は猛威をふるうからなぁ。


 地球だって昔は危険な病気だったんだ。戦場での死亡原因の上位に風邪があったと言われている。確か第一次世界大戦で多くの兵士が死んだ理由が風邪だったかな? それぐらい風邪というのは侮れない病気だ。という事でさっさと治そう。


 特に患ってるのは子供なんで、さっさと治してやった方が良いだろう。咳き込んで苦しそうだし。……はい、終わり。風邪だからな、【浄化】するのは簡単だ。それにしても季節外れの風邪だな? 何か汚い場所にでも行ったのかね?。


 そんな事を遠隔でしていると、子供達とアリシアが起きてきた。今日は似たタイミングで起きるんだな? と思ったら2匹も起きて、急に賑やかになった。まあ、外の事を色々していたら思っているより時間が経過してたってところか。



 「何かあったの? 外の気配が動き回ってるけど……」


 「ああ、風邪の子供が出たんで慌ててるんだよ。<風邪は万病の元>って言われるくらいの病気だ。他人に感染するし、風邪から肺炎になったりする可能性もある。そこまで知っているかは分からないが、危険な病気だとは思われているようだ」


 「他の人に病気をうつす可能性があるし、死んでしまうかもしれないので慌てている訳ですか……。でもアルドさんが何もしない筈はないですよね?」


 「ああ。とっくに遠隔で【浄化】したよ。風邪なんて【浄化魔法】であっさり治せるんだが、使えないんだろうなあ。菌というかウイルス由来の病気は大半が【聖潔】で治せるっていうのに……」


 「浄化魔法が使えないみたいだし、仕方ないんじゃないの? 他の魔法もあんまり使えないってアリシアも言ってたよ? もちろん使える人はいるんだと思うけど……」


 「そうですね。魔法を使える人は居ますけど、そんなにポンポン使うものじゃありません。軍にも魔法使いの部隊はあった筈ですけど、何をしてるのかは知りませんよ。極秘の訓練でもしてるんじゃないですかね?」


 「極秘の訓練って……まあ、冗談でしょうけど。前に居た星より、魔法が使える人は少なそうですね。やっぱり邪気っていう危機感が無いからでしょうか?」


 「かもな。昔っていうか古い時代においては、何でもかんでも秘匿するのが普通だったとも言われてたしなー。しょうもない事が秘伝として扱われていて、勝手に読んだり他人に伝えた奴は殺される事もあったらしい」


 「恐いですね。でも、そんな事をしているから何時まで経っても良くならないんじゃないですか?」


 「その通りだ。っと、そろそろ部屋を片付けて食堂に行くか。皆、待ってるみたいだしな」


 「あ、そうですね」



 イデアと話をしていたが止め、部屋を片付けた後で【浄化】したら、宿を出て食堂へ。中銅貨6枚を支払って朝食を食べたら、コノモエ町を出発する。西へと走って行きオッス村、ディシュ村を越えた辺りで昼食を食べ、再び西へ。


 それなりに早いものの、ワッテ町に辿り着いたので中に入る。宿に行って中銅貨4枚で部屋を確保し、街中を少し見回る。アリシアはそれなりに疲れているようだが、歩けないほど疲れている訳ではない。


 色々見て回るものの特に興味を持つような物も無く、夕日が出てきたので食堂へ。中銅貨6枚を支払い夕食を食べたら、さっさと宿の部屋へと戻った。特に気になる噂話もない。



 「特に聞きたいような話もないし、町の人が話しているのも帝国との戦争の事ばかりだったな。まあ、自国が凄い勢いで領地を取り戻してるんだ。関心があるのも当然だろうけど」


 「取り戻してるって言っても、相手が弱ってからだから難しいところだよ。喜んでる人ばかりじゃなかったし、怒ってる人も居たよ? 「今頃か!」って」


 「まあ、仕方ないんじゃない? 帝国ってプレートアーマーの国みたいだし、それに黒曜石で立ち向かうのは大変だよ。それでも弓矢だから戦えるんだと思う。草原の人達みたいに、大型の弓で大きい矢を使うみたいだし」


 「大きい矢が大量に降ってくるんでしたっけ? そうなると相当の兜でないと貫かれるのも分からなくはありません。私でさえ聞いた事があるほど、帝国の防具は凄いって言われてますし……」


 「そういえば、カーナントの近衛騎士は何故か胸甲だったな? 悪い訳じゃないんだが、プレートアーマーでない理由はなんだろう? 強力な遠距離攻撃は弓ぐらいだと思うんだが、その割にはプレートアーマーじゃないし」


 「アルドさんが疑問に思っているのは、強力な遠距離攻撃が無い以上、プレートアーマーが活躍してないとおかしいって事ですよね?」


 「まあな。剣や槍で貫かれたり切られたりしないし、斧かメイスで力任せに破壊するしかないだろう。にも関わらず、何故か心臓部などを守る胸甲なんだよ。そこに至った理由がよく分からない」


 「確か、強力な遠距離攻撃が出来たからプレートアーマーでは守れなくなった。だから分厚い鎧で急所を守るように変わっていった……んでしたね。確かにそう考えると変な気はします」


 「あのー……あの胸鎧は式典用の物ですよ? 簡単に言うと見栄えのする、近衛騎士をアピールする用の鎧です。祖国でも、実戦ではプレートアーマー? 全身用の鎧で戦いますけど……」


 「見栄え用の物を着けてたのか。確かに高が盗賊退治とはいえ、見栄え用の鎧で戦うってどうなのかねえ……いや、アリシアが居たからか。全部アリシアに任せて、タイミングがきたら裏切って殺害。そういう風に考えていた訳だな」


 「それでも敵を舐めているとしか思えないよ? 戦いで相手を舐めるって、ゼッタイやっちゃいけない事でしょ?」


 「そうだな。それをやるバカどもだし、アリシアの力を見誤ってた奴等だ。揃いも揃ってバカしか居ない、という一言で終わるとは思う。それは王も変わらんが」


 「………」



 その後も話していると、子供達が舟を漕ぎ始めたので寝かせる。アリシアも色々思う事はあったのだろうが、もう殆ど引き摺ってもいないらしい。引き摺ったところで意味が無いと吹っ切れたのだろう。良い事だ。


 ベッドに寝転がり、部屋と体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星25日目>



 おはようございます。今日も西へと行くのですが、果たしてこの国の王都まで行けるでしょうか? 村2つと町1つを越えて王都だからなー。王都前で止まってもいいし、アリシアを背負えば届くんだが……。


 そこまで無理しなくてもいいかと思いつつ、朝の日課を終わらせる。紅茶を淹れて飲んでいると、蓮が起きてきて部屋を出た。戻ってくるのと同じぐらいのタイミングでアリシアとイデアが起きる。


 慌てたように2人とも部屋を出たので、限界で起きたのかね? そんな事を蓮と話しつつ、ゆっくりと紅茶を飲んでいると2人とも戻ってきた。スッキリした顔をしているが、スルーして紅茶を飲む。


 ウダウダと皆で喋っていると、ダリアとフヨウが起きたようだ。水皿に神水を入れてやると、フヨウが吸い込んで首へと登ってくる。その後、飲み終わったらペシペシ叩いてから甘えてきた。


 叩かないといけない理由は何だよ?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ