0175
「ディルはまず鎖帷子を脱ごうか。そんな重い物を着けて暗殺者の技を使っても、上手くいかないからな」
「う……む。しかし里では当たり前の装備で……。そもそも革鎧では危険過ぎると思うんだが、間違っているのか?」
「別に間違ってはいないが、根本的な事を言うと戦いというのは回避主体で行われるものだ。戦争でもない限り防御重視の戦いなんてしないぞ?」
「我が一族もそこまで防御主体ではない。だが確実に暗殺する為には、相手に攻撃させて鎖帷子で防ぐ。そしてその隙に急所に一撃を加えるのだ」
「その時点で駄目だろ。即座に殺害して離脱する、それが暗殺者の基本だ。粛清専門だから、暗殺者とも違うおかしな方向へ行ったのか?」
「あー。そう言えば粛清専門の一族だったね。それなら相手を強引にでも殺す必要があるか……。それでも重い鎖帷子で動きを悪くする必要がどこにあるんだろうね?」
「脱げたが……。何だか心許ないな。このままだと、ちょっとした怪我で死にかねない」
「まずは、ちゃんと動けるかどうかだ。回避優先で戦ってみろ。無理はしなくていい、大事なのは回避する事だ」
「分かった」
そもそも地球なら暗殺者が鎖帷子を着るのは分からなくもない。ただ、この世界では身体強化で一気に接近するか、怪力を発揮して殺す事が出来る。鎖帷子はそこまで役に立たない。
だからこそ回避優先になる筈なんだ。鎖帷子と言っても完全に防げる訳でもない。俺が前に作ったエストックなどを使われたら、隙間から刺し殺されるだろう。
その程度しか守れない防具で、20キロ程の重量は損にしかならない。攻撃を防ぐという得よりも、動きが鈍る損の方が、この世界では大きい。普通に考えればそうなるんだよな……。
おっと、考え事をしていたら魔物の反応だ。この反応はスマッシュボーアが2匹に、その後ろからオークが7体か。オークがスマッシュボーアを狩っているのか……スマッシュボーアならオークを狩りそうだが?。
「左前方からスマッシュボーア2、その後ろからオーク7。……その後ろからソードグリズリーの邪生2!!」
「「「「「了解」」」」」 「シャーッ!!」 「グルァーッ!!」
最初にやって来たスマッシュボーアの1匹はメルが盾と身体強化で受け止める。もう1匹はシュラに両前足を一振りで斬り落とされて転がって行った。凄い勢いだな……当たったら轢き殺されそうだ。
盾で止められた方はアルメアの分銅で頭を潰されて死んだ。ちょっとスプラッタだが、誰も気にしないし俺も慣れた。
両前足が斬られた方はディルに任せる。碌に動けないので、防具無しのディルでもどうにでも出来るだろう。既にダナとダリアとカエデはオークに襲い掛かっている。
オークの首が斬り落とされ、目を斬られ、足を噛み千切られているが、未だにソードグリズリーが【浄化】の権能の射程に入らない。オークを倒しているメンバーを警戒しているらしい。
仕方なくこちらから接近して浄化を始める。直ぐに動けなくなり、安らかな顔で息絶えた。その頃にはオークも全滅していたので、まずは浄化しながら邪生の心臓2個を半分にする。
半分にした心臓2個をディルに食べさせ、残りを7等分して分ける。ディルは結構嫌がったが、1口食べて以降は普通に食べている。1口目はどうしても躊躇うよな、気持ちは分かる。
それでも食べ進めていくと変化があった様だ。ちなみにディルの胸に関しては、大きさは変わらないだろう。何故ならディルはEの釣鐘型だからだ。既にEなので変わる事は無いだろう。
「おお? ……胸が小さくなったのか? でも、張りと弾力が強くなってるな。不思議なものだ。邪生の心臓にこんな効果があるなんて」
「早速効果があったのかい? アタシ達には……やった! 色がかなり綺麗になってる! これは下の方も期待出来るね」
「この前の邪生の心臓では、下の方までは綺麗になりませんでしたからね」
「出来れば少しでも綺麗になっていてほしいわ」
「それは、ここに居る全員がそう思ってるさ」
相変わらずだな、君達。ディルの体の中はマシにはなってるんだよな。本人にあんまり自覚は無いだろうけど、このまま食べていけば自覚出来る程に回復するだろう。
ただ、その頃には他のメンバーと同じく、美容の事にしか興味がなくなってそうだが。美容関係の効果が強過ぎる気もしないでもないが、もしかしたら強さは頭打ちなんだろうか?。
肉体が頑強になったから、別の効果が現れ出したのかな? となると、ディルは時間が掛かりそうだな。まずは体の中を治すのが先だから、その後に肉体の強化が始まるだろうしな。
さて、処理が終わり収納も完了した。そろそろ先へと進もう。麓の周辺をウロウロするような状況だが、それでも邪生が出てくるんだから侮れないな。探しながら進もう。
皆は邪生が居ないか周囲に目を光らせているが、そんな事をするぐらいなら【気配察知】を使うように言っておく。アルメアにはディルの訓練を頼んでおいたし、これで大丈夫だろう。
ディルの鎖帷子をはじめ、必要の無い荷物は全て俺のアイテムバッグに入れてある。御蔭で手ぶらのディルは訓練がしやすいだろう、存分にアルメアの訓練で苦労してくれ。……あれ?。
「そうそう。ディルは中々飲み込みが早いね、やっぱり才能があるよ。体を扱うセンスと感覚が優れているんだろう。むしろ、教える側との相性が悪すぎたと言うべきかな」
「……! ……!! ………うん、何とか上手くいったな」
「ああ、さっきのは上手くいってる。さっきの感覚を忘れないように繰り返し練習だ」
「アタシ達だって才能が無い訳じゃないんだけどね……」
「ダナ。言ったところで虚しいだけですから止めましょう。才能はあるところにはあるんです」
「2人の場合は、努力する才能があまり無いと言えるんじゃないかしら? 努力しないと身に付かないけれど、私がチームに加入するまで適当だったんでしょ?」
「「うっ!?」」
「ま、そうだったな。適当に訓練して直ぐに酒を飲んだり、俺に言われるまで練習しなかったりは普通にあったからな」
「それじゃあ、上手くならないわよ。夜の鍛錬だって集中してる? 悦んでるだけじゃ駄目よ?」
「それは……確かにそうなんだけど。アルドがスゴいから……ね?」
「そ、そうですよ。アルドにされたら仕方ないんです。あんなに幸せにされたら、集中なんて出来ません」
「でも集中しなきゃ、闘気の動きを学べないでしょう? 頑張って努力しないと捨てられかねないわよ?」
「「!?!?!?」」
「いや、捨てる事は無いけどさ。ダナは結構前に頑張って俺を喜ばせるって言ってたんだが、忘れたのか? 途中から努力しなくなったが……」
「うっ……それは………その……何と言うか………」
「他のメンバーが頑張って【房中術】を身に着けたら、夜伽の回数が減るかもしれないわね?」
「「全力で努力します!!!」」
だからさ、ウチの女性陣は性欲が強いうえに、性欲に忠実過ぎないかな? 努力する事は悪い事じゃない、むしろ凄く良い事だ。にも関わらず……こう、妙な方向に努力するのは何故?。
真面目な話や良い事が、どうしてエロの方向に行くんだろう? 今回もアクロバティックにエロの方向に行ったし。才能や修行の話しからエロに飛んだからなー……。
下らない事を話してたら邪生の接近をスルーするところだった。……うん? これは争ってるのか……そのうえ、もう1匹も接近してるぞ!。
「右前方にゴブリンの邪生2とレッドパンサーが争ってる! しかも、その後ろからウィンドディアーの邪生が襲いかかろうとしてるぞ! 俺はウィンドディアーを浄化しに行くからゴブリンの邪生は抑えててくれ!」
「「「「「了解!」」」」」 「ニャーッ!!」 「ガァーッ!!」
2匹もやる気十分だな。兎にも角にも、俺は一気にゴブリンの邪生とレッドパンサーを越えてウィンドディアーに接近する。そのまま【浄化】の権能で浄化するのだが、何を思ったのかレッドパンサーもこっちに来た。
レッドパンサーの所為で【浄化】の権能に集中出来ない。まずはこのバカを殺すか。
▽▽▽▽▽
0175終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨68枚
大銀貨92枚
銀貨54枚
大銅貨109枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
ヒヒイロカネの小太刀
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ