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 <呪いの星19日目>



 おはようございます。今日からダンジョン攻略です。本当にダンジョンが攻略出来るかは分かりませんが、とりあえず攻略目指して頑張ろうと思います。朝の日課を終わらせて、紅茶を淹れてゆっくり飲んでいるとダリアが起きた。


 意外に早かったなと思うも、どうやら寝惚けているらしい。俺に近付いてきたので水皿に神水を入れて出してやると、寝惚けたまま飲み始めた。頭がコクコクと上下に動き、再び寝るのか寝ないのか分からない状態になっている。


 多少飲んだら近付いてきたので、胡坐の中に入れてやると丸まって寝始めた。起きてると五月蝿いから、そのまま寝てなさい。俺は再び一人の静かな時間を過ごす。こういう時に誰かが起きてきて、静かな時間が壊れたりするんだが……。


 今日は珍しくそんな事は無いらしい。なのでゆっくりとした時間を過ごす。その後、フヨウ、イデア、蓮の順番で起きたが、アリシアはまだ寝ている。寝ててもいいので寝かせておくが、昨日の話が堪えたかね? そんな事は無いと思うが……。


 皆でまったりしているとアリシアが起きた。今日は寝癖もついておらず綺麗なもんだ。そう思っていると、何を思ったか突然髪を触り始めた。大丈夫だから、さっさとトイレに行って来い。そう言って部屋から送り出す。


 部屋の片付けをして、子供達と雑談をしていると戻ってきた。頭は問題無く起きているようだな。アリシアも紅茶を入れて飲みつつ話に加わる。飲み終わったら、宿を出て食堂へ。中銅貨6枚を支払い朝食を注文したら、席に座って待つ。


 周りの話を聞いても目新しいものは無いので、適当な雑談で時間を潰す。運ばれてきた食事を食べたら、一路ダンジョンへ。町の北東にダンジョンはあるそうだ。北東というより、正しくは北北東ぐらいのようだが。


 ゾルダ町の外に出て北北東に歩いていると、ダンジョンはすぐに見つかった。堀と塀で囲ってあり、中には大きな解体所のような所と、屋台が出ている所があった。前の星よりしょっぱいな。殆ど建物が無い。とはいえ沢山の獲物を捌く為の解体所はあるらしい。


 それらを横目に見ながら奥の迷宮紋に乗りダンジョン内へ。やはり基本的な部分は、前の星と変わらないようだ。1層目は草原で、ウサギの魔物が跳ねているのが見える。大した魔物じゃないものの、前の星より凶暴か? そしてダンジョン内に呪いが漂ってる……。


 この星のダンジョンも攻略しなきゃならない対象だなぁ。ダンジョン内に呪いがあるって事は、ここを重点的に【浄化】した方が良いって事だ。まあ、前の星のような装備は無いが、とりあえず【浄化】しながら進もう。


 俺が【浄化】をしながら【探知】と【空間把握】で探っていると、すぐに転移紋を見つけた。というより、この星のダンジョンでは魔法陣の近くに呪いが無い。なので呪いの無い場所を探せばあっさり見つかる。前の星より攻略は楽かね?。


 俺は南へと行かせ、2層へと進ませる。【浄化】をしつつ2層、3層、4層と進んでいると、5層への転移紋近くに10人ぐらいの集団が居た。近くに他の者は居ないので、ほぼ間違いなく迷賊だ。俺は皆に【念話】で話し、迷賊は容赦なく殺すよう指示しながら近付いていく。



 「おう、ここは通行止めだ。通して欲しけりゃ女とガキと命を置いていけや。ま、テメェが何を選ぼうが殺すんだがよ。ヒャヒャヒャヒャ! 野郎ども! 最悪でも女は殺すなよ!!」


 「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」



 アリシアは何か言いたそうにしていたが、一方的に相手が攻撃してきたので戦闘開始。戦う事になった。大猿の時も人を殺してたし、そこまで心配はしていないが、大猿の時と比べても圧倒的ではないからな。果たして本当に殺せるのかは分からない。


 と思っていたら、割とあっさりと迷賊を殺していた。身体強化を使っているので、簡単に頭をカチ割れるのだろう。魔物より弱くてビックリしているようだ。俺はリーダー格の奴をぶん殴った瞬間に【衝気】を使って気絶させる。


 子供達は槍で足を傷付け動けなくして回っており、呻くだけになった迷賊が地面に転がっていく。瞬く間に終わらせたが、10人程度なら大した数じゃない。所詮はダンジョン内の盗賊だ。この程度で終わる。


 一応1人ずつ話を聞くのだが、【白痴】を使っているからか聞くに堪えない事ばかりだ。さっさと矛で首を刎ねて次へ。結果として全員の首を刎ねたが、ゾルダ町のスラムの組織だとしか分からなかった。こいつらは下っ端らしい。


 アリシアは死体を見て微妙な顔をしているが、かつての盗賊の死体のように吐く事は無かった。それだけでも進歩したのだろう。



 「死体を見て吐かなくなった事が進歩ですか……? ああ、戦闘中に気分を悪くしていては危険ですもんね。確かに進歩と言えば進歩ですか。それはともかく、スラムを根城にしている狩人なんて居るんですね」


 「そりゃ居るだろ。狩人を建前にしている連中だって居るだろうし、狩人のついでに犯罪を犯している奴も居る。逆に犯罪者がついでに狩人をしているかもしれん。そこまで調べたりなんてしないしな」


 「何故でしょうね。あんな連中を置いていても、狩人にとって損にしかならないでしょうに……平民にバレたら狩人が白い目で見られます」


 「いや、平民も知ってるだろ、ああいう連中が居るのを。ただ、狩人って職業にしかなれない連中も居る。世の中には腕っ節しかない奴もな。品行方正になんて出来ず、頭空っぽで魔物を殺す事しか出来ない奴がな」


 「いえ、ですから……」


 「勘違いするな。誰も彼もが王侯貴族のように学習している訳じゃない。学も無ければ自分の名前を書けない奴も居る。数を碌に数えられない奴もな。そういう奴でもなれる職業は必要だ。無ければ暴れるしかしないし、出来ないんだからな」


 「………」


 「ウチの子供達は恵まれてるからな、全ての子供が同じじゃない。王侯貴族の方が少数だと自覚しろ。アリシアが学んできた事は、一般人にとって普通ではない」



 納得は出来たようだな。言葉は悪いが、平民全員に学習させる事なんてこういう時代じゃ不可能だ。地球でさえプラトンやアリストテレスどころか、ガリレオが居た時代でも庶民は学が無かったんだしな。発展せずむしろ後退しているこの星じゃ、余計に無理だろうよ。


 それはともかくとして、穴を掘って死体を処理したから先へ進もう。迷賊の事なんて考えても無駄だぞ。こいつらは碌なもんじゃないしな。そもそも組織立って狩人を狙ってるんだ、犯罪集団の犯罪者ってだけだ。



 「まあ、そうですね。こういう奴は殺しておかないと、他の人が苦しむんですよね?」


 「そうだ。真面目に生きている人がこれからも生きられるように、汚物は処理しておくべきなんだ。人の命は平等じゃない。犯罪者の命の方が軽いのは当然なんだよ」



 前の星でも同じ事を言ったが、真面目に誠実に生きている人が損をする世の中であってはならない。その為には損をさせている奴等を始末するしかないんだ。犯罪者なんて居なくならないが、それでも殺しておく事に意味はある。


 そういう話を始めてもしょうがないので5層へ。それでも変わらない地形。このダンジョンは10層毎に地形が変わるのかもしれないが、深さはどうなんだろう。深いと時間がかかるし、何回かに分けるべきだが……。


 攻略が遅れれば遅れるほど、侯爵家の者にエンカウントしそうなんだよなー。そんな嫌な予感が拭えない。


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