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 砂糖が使えない事は分かったようだが、だからと言って貴族を恨むなんて事も無い。そもそもこういう時代は貴族が占有していても何ら不思議ではないし、更に砂糖は高級品の筈なので貴族以外は買えないだろう。


 だからこそ商人も買える者達にのみ販売しており、それが王侯貴族のみとなってしまっている。おそらく原因はそんなところだろう。そもそも商人だって売らなきゃいけない訳で、買えないか買う金の無い庶民向けに売ってもしょうがない。



 「まあ、そう考えれば不思議ではないですね。砂糖が高級品かどうかは知りませんが、高級品ならお金を出せるのは王侯貴族だけでしょう。他に出せる物も居ないでしょうから、仕方のない事なんですね」


 「商人どもが高値にしていて、貴族しか買えないというパターンもあるけどな。原価や輸送コストがどれぐらいかは商人しか知らないし、高値の砂糖が買える俺達スゲーと思わせているのかもしれない。だから意図的に値段を吊り上げている場合もある」


 「それは……とはいえ獣国から運んでくるのも大変ですし、高いのは仕方ないのではないですか? 獣国は結構遠いと聞いた事がありますし、盗賊も出るでしょうから仕方ない部分も……」


 「あるだろうな。さっきも言ったが原価……つまり向こうで買える値段と、運んでくるのに掛かる金銭である輸送コスト。これは実際に買い付けて運んでくる商人にしか分からない。そこから商人が自分の利益を乗せて売る訳だしな。そこもどれほど乗せてるか分からないし」


 「もしかしたらですけど、大変だと言いつつ利益を大量に乗せて儲けているのでは? そんな気がするのですが……」


 「だから言ったろ、高い物買える俺達スゲーって。意図的に値段を吊り上げて、「これが買えるとは流石お貴族様!」とか言って持ち上げて買わせている場合もある。その場合、高値で買わされている貴族が間抜けなだけだ。もちろん王族が間抜けな場合もある」


 「………」



 子供達が舟を漕ぎ始めたので、作った布団に寝かせてやる。2匹も左右に寝たようなので、アリシアにも寝るように言ってベッドに寝転がった。部屋と全員の体を綺麗にしたら、おやすみなさい。



 <呪いの星15日目>



 おはようございます。今日も引き続きアリシアの練習と、狩人ランクを上げる事を目指します。まあ、俺だって上がってるくらいだから、そろそろアリシアも上がる筈だ。昨日もそれなりに狩ったからな。


 今のところバレる気配も無いし順調なんだが、嫌な予感もしないでもない。気を引き締めておこう。ここは王都だからな、アリシアに気付く奴が居ても不思議じゃない。アリシアが母親似なら気付かれる可能性はある。


 朝の日課を終わらせて紅茶を淹れると、少しゆっくりしつつ飲む。すると【探知】に呪いの反応が薄く引っ掛かった。【探知】の端ギリギリという事は結構遠いが、昨日の森かな? ミニボーアをけしかけられた森。あそこの可能性が高そうだな。


 呪いの魔物なら【浄化】してこないと、と考えているとアリシアが起きたようだ。ここ最近変わらず綺麗に【浄化】しているので、心は大分マシになっているだろう。こればっかりは本人にも分からない可能性があるので聞いていないし、聞かない。


 聞く事でストレスになる恐れもあるからな。そんな危険な事はしない。トイレから戻ってきたアリシアは、早速背嚢からコップを出して紅茶を入れる。砂糖は無いのに今日も飲むのか?。



 「かつて砂糖を入れて飲んでいただけで、別に砂糖が無ければ飲めない訳ではありません。それに神水で淹れてあるからでしょう、記憶の中の紅茶より遥かに美味しいです。なので無くても問題ありませんよ」


 「まあ、それなら良いけどな。それにしても不味い水を誤魔化す為に紅茶を飲むっていうのも贅沢な話だなぁ……。俺としては不味い水で淹れている以上、どうやっても不味い紅茶にしかならないのに、何でそんな無駄な事をするのか疑問しかない」


 「ですけど綺麗な水なんて無いのですから、仕方ありません。本当に美味しい味は綺麗な水じゃないと得られない。多分ですけど、そんな事も知らないと思いますよ、お年寄り以外は」


 「そういえば【呪魂環】が壊れて30~40年ぐらいなんだよな。まだまだ生きている人は多いだろうし、【呪魂環】が壊れる前を生きていた人は大変だ。クソ不味い水しかないんだしな。……多分だけど」


 「??? ……それはいった………あー、そういう事ですか。確かにこの辺りだけで、広い世の中には水を綺麗にして飲んでいる人達が居ないとは限っていませんからね。もし居るなら、その人達は問題無く暮らしている訳で……」



 そんな話をしていると子供達が起きたようだ。その後すぐに2匹も起きたので水皿に神水を入れてやっていると、子供達が戻ってきて紅茶を入れて飲む。相変わらずハチミツが欲しそうだが、無い物は無い。諦めてもらおう。



 「何処かにダンジョンないかなー。出来れば蜂の魔物が出てくるトコ。魔豊蜂ほどじゃなくても、美味しいハチミツが採れるダンジョン」


 「ダンジョンならゾルダーク侯爵家の領地にあると聞いた事がありますが……行きたいのですか? あんな自殺志願者の行く所に?」


 「自殺志願者ってどういう事だ?」



 アリシアも入った事は無いので知らないそうだが、ダンジョンというのは魔物が無限に出てきて襲われ続け、殆どの者が帰ってこなくなる場所だそうだ。宝物が手に入ったり、希少価値のある物が手に入ったりするが、そんな事はまず無い。


 欲を持った愚か者を飲み込み喰らう場所として有名で、別名<愚者の墓場>というらしい。単に中に入る奴等が弱いからじゃないのか? 俺は前の星のダンジョンの話をアリシアにしてやる。


 無限に素材が手に入り、魔物の肉も無限に手に入り、地図さえ描いていけば身の丈にあった所で戦える。そんな場所がダンジョンだ。場合によっては希少な素材も手に入るし、アイテムバッグなども手に入る。それがダンジョンだと。



 「アイテムバッグは知っています。王家の宝物庫に入っていたのを見た事がありますので。それにしても、私が聞いたダンジョンと皆さんから聞くダンジョンは随分違いますね? どっちが本当なんでしょうか?」


 「さあな。この星のダンジョンには入った事が無いから分からない。もしかしたらアリシアの方が正しいかもしれないし、違うのかもしれないしな。そもそもゾルダーク侯爵家の領地ってドコだ?」


 「ゾルダーク侯爵家の領地は王都の西にあるそうです。辺境伯の領地の隣だと聞きました。母上は昔、「東の領地の者は攻められるという危機感が無い間抜けばかり」と嘆いていたのを憶えています」


 「まあ、国境が近い者はどうしても危機感が強いし、攻められもしない地方は危機感が薄いのはしょうがない。ただ、政治にまで危機感の薄さを持ち込むのは駄目だけどな。国家を維持するのは第一目標だろうに」


 「お腹空いた」 「お腹空きました」


 「ニャー」 「………」


 「すまん、すまん。部屋も片付け終わってるし、さっさと食堂に行って朝食を食べるか」



 雑談してたら子供達の事を忘れてた。俺達は素早く用意し、食堂へと移動。中銅貨6枚を支払って朝食を食べた。その後は王都の外に出て、まずは皆に話して呪いの魔物を探す。


 朝、【探知】の端に引っ掛かったヤツが昨日の森に居る筈だと。それを聞いて皆も足早に移動する。呪いの魔物が暴れると被害が大きくなるので早めに倒しておいた方が良いのと、呪いの魔物の肉は美味しいのだ。


 その事もあり、全員が急ぎ足で進んで行く。次はどんな食材だろうか?。


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