表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1741/1948

1740




 <呪いの星11日目>



 おはようございます。アリシアから襲われる事も、寝ている最中に暴れる事も無かったようです。おそらく悪夢も見ていない筈だ。昨日アリシアを【昏睡】で眠らせた後、徹底的に【浄化】したからな。心の傷もマシになっている筈。


 朝の日課を終わらせてカマクラを出たら、神水の樽を出して飲む。一息吐くと、アリシアが起きてきた。もしかして浅くしか眠れなかったか? 【昏睡】を使ったので深く眠れている筈だが……。



 「おはようございます」


 「おはよう。昨日はよく眠れたか? 色々あったから簡単には熟睡できなかったかもしれないが、少しでも体力は回復しておくようにな。まだ朝食作りも始めてないし、寝てても構わないぞ?」


 「いえ。既に目が覚めていますし、もう一度眠るのは無理そうです。それより、水を貰ってもいいですか?」


 「ああ。気にせず飲むといい」



 俺は神水の樽の上に柄杓をいつも置いているんだが、その柄杓で掬ってコップに入れている。一口飲んだ後にビックリしているが、冷たい水だからか?。



 「いえ! あ、いや、それもそうですけど、水が美味しいんですよ! この水、凄く美味しいんです!」


 「いや、昨日も飲んだろうに。………意識してなかったというか、味わってなかったのか。逆に言うと、それぐらい昨日はパニックだったという事だな。自分が思っていた以上に」


 「そう……なのかもしれません。思っているよりも、自分自身の事は分からないものですね。それよりも、この水が昨日から言っている神水ですか? 常に浄化し続けているという怖ろしい水」


 「別に怖ろしくはないけどな。単に浄神の権能を何処まで篭められるか試したら、絶対に腐らず常に浄化し続ける水が誕生しただけだ。出来た物は有効活用しないとな?」


 「有効活用って……。それ以前にアルドさん御一人しか作れませんよ。他に作れる人は居ませんし、聖国の者達でも不可能です。そもそも神様の権能を貸し与えられる事自体があり得ませんから」


 「まあ、そうなんだがなー。っと、そろそろ朝食作りを始めるか」



 俺は小麦の全粒粉に粟と稗の全粒粉も混ぜ、そこに神水と塩を混ぜて生地を作っていく。まだ残っているミニボーアの肉を角煮にし、出来たら生地で包んで饅頭に成形する。アリシアにもやり方を見せて量産してもらおう。


 俺はその間にスープ作りをしていく。謎の魚節で出汁をとったら、残っている鰯を【粉砕】して練ってツミレにし、具として煮込む。後は野菜を入れて煮込めば完成だ。アリシアの方は……物凄くゆっくりだな。まあ、出来てるならいいや。


 俺も手伝って量産していると、子供達が起きてきたので朝の挨拶をする。子供達も手伝ってくれたので量産はすぐに終わり、そのまま蒸篭に入れて蒸していく。その間にある程度の片付けを終えて、少し休んでいると蒸しが終わった。


 蒸篭ごとテーブルに運び、椀にスープを入れて準備完了。皿に饅頭を乗せたら、いただきます。



 「あち、アチ、あつつつつ。この饅頭って思っているよりも熱いですね。すぐには食べられなさそうです。………皆さんは慣れてらっしゃるようですけど」


 「熱いけど放っておいてもなかなか冷めないよ? 饅頭はね、こうやって千切って中の熱を出さないと熱いままなの。今日のは角煮まんだから、中の角煮を落としちゃうと悲しい事になるから頑張って」


 「いや、頑張ってって……。分かりました。とりあえず、頑張ります!」



 そこまで気合いを入れなきゃいけない食事でもないんだがなー。イデアとか2匹は我関せずで食事してるけどさ。【風魔法】が使えたら、いい感じに冷ませるんだろうけどな。今は無理だから千切ってフーフーするしかないだろう。


 やや騒がしい朝食を終えて、後片付けをする。焼き場を壊し、皆がトイレを済ませたらカマクラも壊して出発だ。次はヌイル町だが、そこまでは練習しつつ進んで行く。途中で大きな猪と大きな鹿が獲れたので血抜きなどをして収納。


 アリシアはちょっと嫌そうな顔をしていたが、昨日食べていた肉だと聞くと途端に表情を変えた。思っている以上に現金だなと思いつつも、そういえば前の星でも王族はこんなものだったと思い出す。何処の星でも変わらないなー。


 アリシアは魔力と闘気の循環のコツを掴んできたようだが、子供達が簡単にミニボーアを倒すのでガックリしている。そこまであっさりと倒せる強さとは思っていなかったらしい。そもそも俺が鍛えてるんだから当たり前なんだけど?。


 そんな話をしつつも歩きながら練習させる。とはいえ、魔力と闘気を使うと回復の為に休む必要があるのでなかなか進まない。コツを掴む才能があっても、魔力と闘気が少な過ぎて練習量が不足してしまう。


 才能があるだけに……って、ああ! 思い出した! 神血を飲ませてない! 俺は慌ててアリシアにコップを出させ、神血を飲ませる。その後、神薬で神丹も飲ませると、魔力と闘気が一気に回復したようだ。子供達と2匹からはジト目を受けたが。



 「とりあえず神丹のブーストが聞いている内に、なるべく身体強化を覚えさせたい。ここからはちょっと厳しくなるが、頑張ってついてきてくれ」



 そう言って、俺は厳しめに身体強化の練習をさせていく。頑張っているが、それだけではなかなか上達はしない。適度に力を抜く事を教えつつ、昼になるまで歩きながら教えた。


 昼になったので街道の端に寄り、焼き場とテーブルを作って料理をしていく。蓮には米と粟と稗で炊かせ、イデアとアリシアに野菜炒めを作らせる。【加熱】はイデアの担当だ、アリシアは魔法が使えないし。


 俺はその横で【浄化】しつつ、かす肉を量産している。そろそろ作っておきたかったので量産しながら、横で野菜とかす肉のスープを作っている。なかなかどうして、鹿や猪のかす肉も美味しいなぁ………竜には負けるけど。


 そんな事を思いつつ、出来たかす肉を完全に【乾燥】させて、袋に入れたらアイテムバッグに収納する。野菜炒めも出来ていたので、後は雑穀飯が炊けたら昼食の開始だな。………どうやら出来たようなので、椀に盛って食べようか。


 既に野菜炒めは大皿に乗っているし、スープは既に椀に入れてある。それじゃあ、いただきます。



 「うん。粟と稗が入っていても、お米が沢山だし神水だから美味しいね。蓮、こっちでも問題なく食べられる。この国の食堂はヤシマより酷いから嫌になるよ」


 「仕方ないから諦めよう。それにメチャクチャ不味いって訳でもないしさ。不味い水を使いながらも、十分に食べられるようにはなってるよ。それは間違い無いって」


 「確かに王城の料理でもアレでしたから、子供達の言いたい事も分かりますね。私にとっては生まれてから今まで当たり前でしたけど、これを知ると不味い物を食べてたんだなぁとは思います」


 「それしか知らないと気にならないんだろうけど、美味しい物を知ると気になるんだよなー。こればっかりはしょうがないが、俺達は自分で作れるだけマシだ。二度と食えないとなると地獄だからさ」


 「「「あー……」」」



 俺の言いたい事が分かったのか、何とも言えない表情になった3人。美味しい食事をありがたく頂き、食べ終わったら焼き場やテーブルを壊して出発する。


 そのまま歩いて行くと、途中の林の向こうに強烈な呪いを感知した。子供達もすぐに理解したんだろう、俺は子供達とアリシアを連れて現場へと向かう。人間種の反応が2……今消えた。


 おそらく殺されたんだと思うが、いったい何に殺されたんだ?。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ