表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1738/1948

1737




 <呪いの星10日目>



 おはようございます。今日は盗賊のアジトとやらに行くのですが、出来得るならば乱戦状態のところで【浄化】し、気付かれない内に逃亡したいです。まあ、そんな理想通りにいくとは思っていないけどさ。


 それに日中だ、どう考えても目立つ。俺だけなら隠密の4つの技を使えば良いだけなんだが、必ず連れてけって言うだろうしなぁ。困ったなと思うも、仕方ないと諦める部分もある。言っても聞かないんだよ、ウチの子達。


 朝の日課を終わらせて神水を飲みつつ考える。とはいえ、現場も分からないんだし、考えても無駄か。そう思い、出たトコ勝負だと覚悟する。それにしても、呪われた王女というのが引っ掛かるな。


 巨大な猿の姿をしていると言っていたが、どれぐらいなんだろう? 普通の人間種より大きいぐらいから、キングコングぐらい大きいまで幅が広いが……。ただ、キングコングの大きさはあり得ないだろうから、人間種より大きいぐらいかね?。


 おっと、イデアが起きてトイレに行った。そろそろ皆起きてくるから、考察というか想像も終わりだな。どのみち行ってみなけりゃ分からないんだから、<下手の考え、休むに似たり>というところだろう。


 子供達も2匹も起きたので部屋を片付け、食堂へと移動する。中銅貨5枚を支払い朝食を食べ、終わったら町の外へ。西へと走ってコル村を通り過ぎたら、【探知】を密にして進む。子供達は【気配察知】だ。


 そうやってゆっくり進んでいると、森の中に複数の人間種の反応を感知した。



 「もし、見つかったら即座に離脱する。いいな? 俺達の存在がバレると、【浄化】の権能もバレる恐れがある。今のところそれは避けたい。だから見つかったら離れ、俺だけ隠密の4つの技で改めて近付く」


 「分かった」 「分かりました」


 「ニャー」 「………」



 一応先に言っといたけど、本当に現場に行って守ってくれるかは分からない。もし聞かないなら無理矢理抱えて逃げるかね。そう心の中で決め、俺達は森の中を進んで行く。出来るだけ音を立てずに近付いていくと、戦闘音が聞こえてくる。


 盗賊とおぼしき連中の悲鳴も聞こえてくるが、それにしても大きいな。身長は3メートル近く、筋骨隆々の猿。ゴリラぐらい毛むくじゃらだが、胸にサラシを巻いているし、股間にもサラシを巻いている。


 ほぼ間違いなくアレが呪われた王女だろう。それにしても実にゴリラだな。顔が完全無欠のゴリラで、体もゴリラだから欲情もしない。何だか別の種族を見ているみたいだ。


 それにしても変だな? 何で胸と股間にサラシを巻いてるんだ? あの盗賊のボスだった女も変身すると体の大きさが変わったし、服も一部破けていた。アレほど大きいなら人間形態の時と合わないと思うんだが……。


 まさか、人間形態になれない? それならあんな大きなサラシを巻いている事にも納得は出来るが……。俺達は森の中を匍匐ほふく前進で進んでいる。かなり接近しているので、迂闊に中腰にもなれない。


 それにしても暴れてるなぁ。そう思っていたら盗賊の大半を殺したタイミングで、兵士達が王女を攻撃し始めた。ビックリしたのか蓮とイデアが声を上げそうになったので、慌てて【念動】で口を閉じる。


 ビックリしているが、口の前に人差し指を持って来て「シーッ」とすると頷く。子供達も大声を上げるのはマズいと悟ったのか、静かにしてくれた。それにしてもこの状況は、盗賊退治のついでに王女を殺すって事だよな。


 王女の方は訳の分からないまま、それでも殺されるのは嫌なのだろう、必死に応戦している。当たり前だが、見ていて気分の良いものじゃない。とはいえ助けるのもまた違う。そもそも俺の神命は呪いの浄化だ。呪われた奴の救助じゃない。


 しかし醜い人間種の………あーあー、そういう事か。盗賊退治のついでに王女を亡き者にして、そんな奴は居なかったという事にしたいのか。それを王が決めたと。話してくれるのはいいが、王女の心を折りにいってるのか?。


 あらら、王女は悲しみと怒りで更に暴れ始めたぞ。うわー、強い! 予想を越えてあの王女強いわ。100人の兵士と10人の近衛騎士が来ていたらしいが、100人の兵士は全滅し、近衛も後2人とな……遂に1人になった。


 いやー、見誤ってたな。あの王女、その程度の人数じゃ止まらないぞ? まあ、俺が止めるんだけどね。【衝気】を使って王女も近衛も気絶させた俺は、王女に向かって【浄化】の権能を全力で使う。


 これで王女の方はおわ……は? ………何で人間になってんの? 呪われた奴って、【浄化】すると消えるんじゃなかったのかよ。俺は布塗れになっている女性に慌てて近寄ると、普通の女性になっているのを確認。ついでに呪いが無いのも確認した。


 生きている時に【浄化】すると、死んで消えたりしない? ……サンプル数が少な過ぎて全く分からないな。今は横に放り投げて、それよりも近衛騎士に【昏睡】を喰らわせる。その後、王女に【覚醒】を使って起こす。



 「う、うん………ハッ!? このぉ!! ……って、あれ? 喋れてる?」


 「一応挨拶からだ。俺の名はアルドゥラム。子供達や知り合いはアルドと呼ぶ。君は呪われた王女で間違い無いな?」


 「え? ……え、ええ。間違いありません。私はアルディアーナ・ヨーヌ・カーナント。カーナント王国第一王女です。いや、でしたと言うべきでしょう。14の時に呪いで猿の姿になって以降、猿王女と呼ばれて5年。今の私にはおうじょ……?」


 「猿じゃなくなってるんだけど、お姉さんこれからどうするの? さっきの騎士は王様の命令で殺すとか言ってたよ?」


 「………そう。父上の命令に従って、散々この手を血で染めてきたというのに……せめて国のために役に立てるならと………!!」


 「許せないのは分かりますけど、多分お姉さんじゃ勝てませんよ? 大きな猿でもなくなりましたし。今、王女だって言っても信じてもらえないと思います」


 「それどころか、本人だと分かれば確実に口封じをされるぞ。王が命令したとなれば善悪は無視して絶対だ。そうなると君は確実に殺される。俺が呪いを浄化した所為だが、今さらあの姿には戻れん」


 「貴方が……? まあ、それよりも私がどうするのか……それを決めねばならないという事ですね? ……ところで貴方がたはいったい?」


 「君が信じる信じないはどうでもいい。時間が無いので端的に話す。俺達は神様の命令で、この星の呪いを浄化しにきた。その一環で君の呪いを浄化した訳だ。分かったか? もう一度言うが、君が信じるかどうかはどうでもいい」


 「………駄目、何も分からない。が、少なくとも、そこの騎士達よりは信じられます。すみません、助けてください」


 「なら、ちょっと待っててくれ」



 俺はアイテムバッグから麻布を取り出して、シャツにズボンにふんどしとサラシを作る。何故かと言うと、前に蓮に話した事があるからだ。面白い話として語ったんだが、その時に何故か蓮が喰いついたんだよな。


 それはともかく、蓮には王女にふんどしのはき方を説明してもらう。王女は慌てたようだが、流石に猿の時のような下着では困るのだ。実は紐パンよりもふんどしの方が安定しているのも事実で、紐パンはあまり安定しなくて不評ではあった。


 蓮には越中褌えっちゅうふんどしのはき方で教えてもらい、その間は後ろを向いておく。終わったので王女の方を向くと、そこには普通に美人な女性がいた。まあ、王族には見目麗しい女性を嫁がせるので、結果的には美しい人物が多い。


 俺は王女と話してこれからを決めさせ、俺達についてくると言ったので近衛騎士を洗脳する。使うのは【忘却】と【白痴】と【洗脳】だ。とにかく、さっさと済ませよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ