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0172




 「そろそろ夕食の時間だし、食堂に行こうか」



 そう声を掛けて下りていく。皆も付いてきたが若干千鳥足だな。そこまで酷くはないが、ちょっと飲み過ぎかもしれない。これ以上飲むなら注意しておいた方が良いかな?。


 食堂のカウンター席に座り、大銅貨8枚を支払い夕食を待つ。浄水を飲みながら待っていると、女将さんがやってきた。



 「やっと下りてきたんだね、皆」


 「何かあったのかい、トーカ?」


 「牢屋に入れられた人達が処刑されたらしいんだよ。何でも、お客さんを殺そうとした人達らしくてね、それでギルドの職員が知らせに来てくれたんだ」


 「そうだったんですか。特に見る気も無いですし、どうでもいいですよね?」


 「どうでもいいな。そもそも隣の侯爵か、帝国からの暗殺者みたいなものだしな」


 「そうだったわね。色々あって、どうでもいいから忘れてたわ」


 「思い出す必要が無いくらいに、どうでもいい連中だったからね」


 「ただの暗殺者ならば、そんなものだろう」


 「こっちの人……えーっと………」


 「ディルファグルだ。ディルと呼んでくれ」


 「ディルさんね。私は女将のトーカだよ、よろしく。それで、ディルさんは何とかなったのかい? 何かズレてたみたいだけど」


 「それに関しては何もしてなかったんですよ。どうにか出来るのはアルドだけでしょうし」


 「そのアルドは、ディルの為に武器を作っていたのよ。だから、全く進展は無いわ」


 「とはいえ、無理に進めても良い事はないだろうし、気長にやっていくしかないと思うけどね」


 「それは、そうなんだろうけど……」


 「ダナ? 無理矢理にやった方が良いって事ですか?」


 「いや、そうじゃないんだ……。たださ……ヤられたら、あっと言う間に堕ちそうな気がするんだよ」


 「あー……、成る程ね。私も言いたい事は分かるよ。主様はスゴいから、一回で全て塗り替えられる可能性は十分にあるだろうね」


 「確かにそうね。結局は私達だって、一度で堕とされているんだし」


 「アルドはそういった抵抗を許してはくれませんからね。いえ、抵抗する気を起こさせないと言うべきでしょうか?」


 「どう表現しようと、一回ヤられたら”女”にしてもらうんだよ。アタシ達から望んだだろう?」


 「まぁ、最初からその気でしたけど……。一度経験したらダメになりましたね」


 「私もダメにされたわ。むしろ自分から”女”にしてもらったのよ」


 「分かるよ、本当によく分かる。心が持っていかれるというか、主様の傍が自分の居るべき場所になるんだよ」


 「よく分からないが……そういうものなのか」



 俺はスルーしますよ。この会話に俺を入れようとしないでくれ。どう思う? っていう顔で見られても、答えようが無いんだよ。この会話に答えるって、嫌がらせか何かか?。


 マジでこれ系の会話は困るんだよ。どう答えても変な受け取り方が出来る質問なんぞ、答えられないに決まってるだろう。イジられるのが分かってるんだから、答えません。


 だから、ジーっと見るのは止めなさい。君達こういう時だけ、阿吽の呼吸で連携をとるのは何故なんだ?。



 「流石に可哀想だから、そろそろ止めようかね」


 「あんまりやって、嫌われるのはイヤですからね」


 「そうだけど、最初からするなって言われるわよ?」


 「それは当然だろうさ。でも本音が聞きたい所ではあるけどね」


 「???」



 ディルは分からなくていいから。分かる時はいつか来るだろうから、その時に分かればいいんだよ。……食事も終わったし、そろそろ部屋に戻るか。俺は席を立ち、2階に上がる。


 部屋の扉を開き中に入ろうとすると、足元を2匹が走って行った。狭い隙間を綺麗に走るもんだなー、流石は猫。2匹の後を追うように部屋に入り、椅子に座って休憩する。


 浄水の樽を取り出しコップに入れて飲んでいると、何やらディルがジッと樽の中を覗き込んでいた。気になる事でもあったかな?。



 「ディル、どうかしたか?」


 「いや……何か普通の水とは違うような気がしてな」


 「それはアルドが【浄化】の権能で作った浄水ですよ」


 「浄水?」


 「本来は【浄化魔法】などで浄化された水の事を言い、神殿が儀式などで使うのです」


 「ああ、神殿で……ん?」


 「気付いたのね。実際には儀式で使われる水を遥かに超える、本当の浄水と言っていいものよ」


 「私達、吸血鬼族なら直ぐに分かるんだけどね。【浄化魔法】の浄化と【浄化】の権能の浄化は、全く違うと言って良いんだよ」


 「権能……」


 「うん? 念神様から説明されなかったのかい? アルドは浄神様から、神の権能の一部を借し与えられてるんだよ」


 「………」


 「知らなかったのね。ディルがどこまで知ってるのかを確認した方が良いかもしれないわ」


 「そうだね、このままだと、どこかで致命的なミスをしそうだ」



 その後、ディルと様々な話し合いと説明を行った。ディルは俺達の予想以上に何も知らなかったようだ。単に、神様と同じ肉体を持つ者が居るから仕えろと言われただけらしい。


 雑過ぎない? もう少し説明しようよ、念神さぁ……。仕方がないので、4人にも聞かせる意味で最初から話す。何気に始まりから話すって初めてかもしれないな。


 俺が異世界から複製された事や、4柱の神に会った事。修行をつけてもらった事に、4柱の神の性格。様々な思い出と共に、皆に聞かせていく。



 「まさか、神にお会いした事があるとは思わなかった……」


 「アタシも多少は知ってたけど、改めて聞いても驚くよ」


 「いきなり神様達が後ろに居るというのは、ちょっと怖いですね」


 「そうね。連れて行かれると言うか、いきなり飛ばされるんだもの」


 「しかも後ろには4柱の神様だ。いきなり言われても信じられないだろうね」


 「信じる、信じないじゃなくて、何も出来ないんだよ。相手は神様達だから、こっちの事なんて好き勝手に出来る」


 「まぁ、神様に抗える訳もないしね。とはいえ、神様に修行をつけてもらえるのは羨ましいと言えるけど」


 「ああ、私も羨ましいと思う。神様に修行をつけてもらえば、私も強くなれたかもしれない……」


 「不老長寿になったんだから、これから修行する時間なんて幾らでもあるだろう? 俺が教えれば、今までよりも遥かに強くなるさ」


 「そうか、私は不老長寿になったんだったな。全く実感がないので忘れていた」


 「そういえば、ディルの年齢は幾つだったんです?」


 「私は36歳だ。幽人族の寿命は150年程だから、人間より少し長いくらいだな」


 「見た目と年齢は一致していますね。良い歳のとりかたをしてきたのでしょう」


 「体の中は良くないがな。若い頃に比べても、色々な所が落ちている。歳をとってからは、抱かせてからの殺害が増えていたぐらいだ」


 「何とも言えないわ。自分の体をどう使うかは、自分の自由だけれども……」


 「里では強くなかったのかい?」


 「私は里の中では上位5指に入る。だが、若い時からの無理な鍛錬や毒の使用で、体の中からボロボロになってしまった」


 「もしかして……仕事の中で死に場所を探していたのか?」


 「………」



 ストイックな人って、何でこうなるんだろうな。全盛期よりも衰えていくのは寿命がある限り当たり前の事だ。でも、それが許せず、自分が努力してきた世界の中で死のうとする。


 辞めて別の道に行けば良いんだが、今までの自分に拘ってしまう。拘りと言うより、それしか無いと思い込むんだろうな。自分が努力してきた事が否定されたような気分になるんだろう。


 気持ちは分からなくもないが、こんな時代だと変われるだろうに。5指に入るなら指導者になれるだろうし、傭兵ギルドに貢献もしてきただろう。そっちの道もある筈だ。


 だが、こういう人って衰えるのが耐えられないんだろうなぁ……。



 ▽▽▽▽▽


 0172終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨14枚

 金貨68枚

 大銀貨92枚

 銀貨54枚

 大銅貨117枚

 銅貨5枚


 ヒヒイロカネの矛

 ヒヒイロカネの小太刀

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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