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0170




 村への帰り道を進む。魔物に会わないようにしながら戻り、川をジャンプする。ここまで帰ってくれば魔物に襲われる事もないだろう。後は早歩き程度の速さで帰ればいい。


 直ぐに村の入り口に着いたので、門番に登録証を見せて村の中へ入る。そのまま解体所に行き査定を頼むと、ベグさんがやってきた。



 「今日は一転して少ないですね。ジャンプスネーク4、鉄蟷螂2、コボルト2。全部で大銅貨48枚です」


 「それでお願いします」


 「ジャロムはどうしたんだい?」


 「ジャロムさんなら多くの商人達と交渉中です。獲物が凄く多かった上に、高価な物も多かったので」


 「ああ、成る程。アタシ達の所為で迷惑掛けちゃったね」


 「いえいえ。ジャロムさんも張り切っておられましたし、村長もいらっしゃってますよ」


 「あら~。あの子が交渉をね。大変だろうけど、良い経験になるわ」


 「そろそろ宿に戻ろうか? 今日の成果はギルドに報告しなくてもいいだろう」


 「こんな成果だし、私達はランクアップを望んでないから良いんじゃないかな」



 宿への帰り道、5人で売却金を分ける。俺の取り分は大銅貨12枚だった。宿に戻り2階の部屋へ行く。一応ノックしてから入るのだが、ノックした後ゴソゴソと音がする……?。


 音が終わったので入ると、椅子に座っていた。……何だったんだ、さっきのゴソゴソは? 凄く気になるんだが、聞いて良いものなのか分からないので諦める。



 「えーーっと……。【念神】から神託があったと思うんだけど……」


 「はいっ! 念神様より、アルドゥラム様の御側に侍るようにと命じられております!」



 何か固いな。イメージ通りの軍人さんって感じだ。このままだと絶対に疲れるから、もうちょっと緩めでお願いしよう。このままだと間違いなく息が詰まる。



 「うん? ……それは近くで護衛しろって言われたのかい? それとも付き従うって事かい?」


 「いえ! 常に御側に置いて頂き、夜には女として御奉仕せよと命じられております!」


 「……いや、それは私達の役目ですから、貴女はしなくていいです」


 「そうね、義務みたいにされても困るわ」


 「私達のように、アルドに抱かれたいのなら受け入れるんだけど……」


 「??? ………男性は奉仕を望まれるものでは?」


 「「「「………」」」」


 「この子、もしかして……」


 「ダナもそう思いますか? 私もそう思います」


 「この子は駄目だわ。何とかしてあげないと」


 「そうだね。これは流石に……アルドは2匹と食堂に行っててくれるかい?」


 「ああ……分かった」



 俺は部屋を出て食堂へと下りていく。一体何だったんだろうか? 何か彼女の感覚は普通と違っていた気がするんだが……俺にはそれが何なのか分からない。まぁ、4人に任せよう。


 俺には分からないし、分からない以上は口を出しても邪魔になるだけだ。部屋の中で何をしているかは【空間把握】を使えば分かるが、覗き見はしない。2匹とゆっくりしていよう。



 「そらっ!」


 「ニャ~」 「ガゥ~」



 木のボールを転がして遊んでやっているが、やはり動く物に対する反応は凄いな。更に3つボールを作ってやり、俺が転がして2匹が猫パンチで返すという遊びをしている。


 ボールが4つもあるので2匹も退屈せず、忙しなく動き回っている。何か夢中でパンチしてるなー。ピンボールみたいに、ボールが来ては向こうに弾くというのを繰り返す。


 宿の床が広いから出来る遊びだが、従業員も2匹を見てホッコリしてる。誰も損をしない癒しの空間が生まれたな。やはり、アレだ。可愛いは正義だ。


 宿の従業員も手が空いて暇な者は、2匹との遊びに参加して楽しんでいる。結局、女将さんも含めて遊んでいると皆が食堂に下りてきた。どうやら話し合いは終わったらしい。



 「何か疲れてるみたいだが、終わったのか?」


 「ああ、終わったんだけど……ねぇ?」


 「……何とも言い辛い結果となってしまいまして」


 「何と言うか、こう……伝わらないのよ」


 「説得って難しいよ、本当に……」


 「………」


 「ニャー!」 「グルゥ!」


 「あー、ハイハイ。スマン、スマン」



 何だかよく分からないが、2匹から催促がきたのでボールを転がし返す。再び2匹は楽しそうに返してくるが、ディルファグルさんも返すらしい。2匹の目が光ったような……?。



 「ニャ! ニャー!」 「グルッ! ガウッ!」


 「……ッ! ハッ! ……タァッ!」



 何か本気でやってるぞ? これは普通の遊びだったんだが……そこまで本気でやるような事じゃないよ、君達。床が傷付くから止めなさい、爪を立てるのは止めて、直すの俺だから。


 人の話を全く聞いてないな……直すか。俺は床板の傷を埋めるように【変形】を使い修理していく。


 直していく最中に、2匹とは関係ない傷もあったのだが纏めて修理しておく。お世話になってるからね。


 修理自体はそんなに時間も掛からずに終わったので、後はゆっくりしよう。カウンター席で酒を飲んでる皆に近付き、ディルファグルさんの話を聞いておくか……。



 「何だか皆の表情を見てると、話し合いが失敗したっぽいんだが。どうなんだ?」


 「失敗……? 理解されなかったっていうのが正確なところかねぇ……」


 「理解されない……?」


 「ディルはですね、夜伽を神様に命じられている訳です。ですが、唯の義務というか行為としか理解していないんです」


 「???」


 「つまりね。行為だから、そこに愛情も快楽も無いの」


 「ああいう子は稀に居るんだよ。子供の頃から叩き込まれるか性的被害を受けたりすると、そういう子に育つ場合があるんだ」


 「ちなみに子供の頃から叩き込まれるのは、暗殺者とかの裏稼業か、捨て子の娼婦や男娼だよ」


 「ディルは子供の頃から叩き込まれてるのよ。粛清専門の傭兵一族だから、子供の頃から様々な殺しの技を教え込まれてるみたい」


 「ですので、夜の事は暗殺の技の一つという認識しかないんです」


 「あっちゃー……。そりゃ擦れ違うし平行線だろう。そういうのは洗脳紛いの教えだから、自分自身で疑問を持って否定するしか変わる方法はないよ」



 こういったものは周りが幾ら話しても無駄だ。本人にとっては常識であって、雨が降るとか雲が流れるというぐらい普通の事なんだ。だから理解出来ないというより差異が分からない。


 言っている事に差があるという事が分からないんだ。つまり、彼女にとっては男性を喜ばせる行為という事に違いが無い。それだけなのか、その後殺害するかの違いでしかない。


 だから行為そのものに愛情があるかどうかとか、快楽があるかどうかと言われても、彼女には理解不能となる。彼女にとって行為とは、自分ではなく他人だからだ。


 自分がどうかではなく、他人がどうかが彼女にとって重要な事なんだ。暗殺する隙を作る為にも相手を喜ばせないといけないし、奉仕するにしても相手を喜ばせないといけない。


 行為というものの中に自分を入れていないんだ。だから話し合っても平行線が続いてしまう。……これ、俺にどうにかしろと言われても困るぞ。ショック療法しかないと思うんだが。


 それで彼女の意識が切り替わるかは未知数だ。何の効果も無い場合もあれば、おかしな事になる場合もある。一種の爆弾になりかねない……いや、爆弾を解体する方かもしれない。


 色々な技を使えば何とかなるかな……? うーん……常識の違いは本当に難しいな、何でこんな子を押し付けてきたんだよ【念神】は。こんな子だから押し付けてきたのか?。


 嫌がらせとかではなく、この子を助けてやりたかったのかな? 浮気や不倫の物語が好きだけど、情に篤いんだよな【念神】は。自分の子孫って言ってたしなぁ……頑張るか。



 ▽▽▽▽▽


 0170終了時点


 大白金貨1枚

 白金貨2枚

 大金貨14枚

 金貨68枚

 大銀貨92枚

 銀貨54枚

 大銅貨117枚

 銅貨5枚


 ヒヒイロカネの矛

 アダマンタイトの小烏丸

 ヒヒイロカネの小太刀

 真っ黒な金砕棒

 剣熊の爪のサバイバルナイフ

 アダマンタイトの十手

 二角の角の戦斧

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 剣熊の骨の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 強打猪の革のジャケット

 強打猪の革のズボン

 真っ黒なブーツ

 大型のアイテムバッグ


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