0169
あの3人組を始末したのだろう、少しスッキリした顔で幽人族の女性は帰ってきた。何と言うか、事故だっただけに何を言っていいのかが分からない。掛ける言葉が無いな。
「では先程の通り、こちらで総本部に手紙を出しておきます」
「ああ、済まないが宜しく頼む。バレてしまった以上は、総本部には関わらない方がいいからな」
「あー……、そこの幽人族の人? ちょっと話があるんだが、今いいだろうか?」
「私か? 私の名はクアルヴァー。クアルと呼べばいい」
「済まない。クアルさんには色々説明しなきゃならない事がある。その説明の為に付いて来てほしいんだが、構わないか?」
「………好きにしろ」
「捨て鉢になられても困るんだけどねぇ。それに、妙な事もしないし、情報を聞き出したりもしないよ」
「私達の場合、色々知ってる事も多いですからね」
「取り敢えず付いて来てくれ」
俺は彼女の前を歩き、宿へと戻る。歩いていると、2匹が俺の前に出て先導するかのように歩いて行く。相変わらずだが、お尻と尻尾をフリフリしながら歩いて行くのは反則だろう。
周りの人達も釘付けになってるじゃないか。もしかしたら2匹の最強の技かもしれないな。バカな事を考えてしまったが、クアルさんも釘付けになってるようで何よりだ。
宿に着いたので、そのまま2階の部屋まで戻ってしまう。逃げられても困るし、変な誤解をされても困る。ここは有無を言わせず一気に行った方が良い。
「済まないな、ここまで来てもらって。……取り敢えず水でも出そう」
「アタシは防音の魔道具を起動しておくよ」
「防音の魔道具を使う程の事なのか?」
「済まない。他人に聞かれると、ちょっと困った事になるんでな」
そう言って、俺は話を始めた。暗殺者に狙われた後に3人組が襲ってきた事や、その後【悪意感知】に反応があってクアルさん達を襲ったが、そもそも誤解だった事。
【念術】の【白痴】を使って、嘘が吐けないようにした上で尋問をした事など。様々な事を説明していると、怒ったり、悲しんだり、呆れたりと様々な表情をしていた。
クアルさんって非常にお堅い女軍人って感じなんだよな。鉄面皮と言うのは少し言い過ぎかもしれないが、それに近いくらいには表情が動かない。
そんな人なんだが、流石に想像を超えていたらしく表情が色々変わっている。ついでに、俺達が不老長寿である事も言っておいたら、溜息を吐いた後グッタリしている。
「これで説明する事は全てしたんだが……大丈夫か?」
「あ、ああ………。大……丈夫……だ」
「全然大丈夫じゃなさそうだね。少しの間、この部屋で寝ていったらいいよ」
「そうですね。この状態だと、妙なのに襲われたら負けそうですし」
「そうね。ゆっくり落ち着いて、それから色々考えればいいわ」
「俺達はこれから狩りに行くから、部屋を使われても特に問題は無いしな」
「ああ。今の君は少し危うい。ゆっくりと休んで落ち着いた方が良い」
「………そう……だな。済まないが、少し休ませてもらう」
俺達は彼女をそっとしておく事にして、大森林の方に狩りに行く事にした。村を出て川沿いを進んで行き、川幅の狭い所を飛び越える。ゆっくりとウロウロしながら狩りを行う。
「右頭上ジャンプスネーク4、左コボルト2」
「「「「了解!」」」」 「ニャー」 「グルゥ」
左のコボルトはダナとシュラが行って……十手を持って戦ってる!? 別に良いけどさ、あんまり余裕見せて失敗しないようにな。ダリアとカエデはジャンプスネークを噛み千切……食ってるな。
まぁ、お腹壊さないなら好きにしなさい。浄化はするし、どうせ安値でしか売れない奴だし。2匹のオヤツぐらいでいいんじゃないかな。扱いはかなり悪いが、安い奴はそんなものだ。
倒した獲物の浄化と処理を終えたら、収納をして先に進む。たいした魔物は居ないものの、俺達が居ない間に魔物はどこからか集まってきたようだ。
「前頭上にジャンプスネーク4、右から鉄蟷螂2、左後方に投石リス4」
「「「「了解!」」」」 「ニャ!」 「グル!」
再び2匹はジャンプスネークに襲い掛かっていく。それを見たダナとシュラは鉄蟷螂の方へ行き、メルとアルメアは投石リスの方へ行く。2匹はジャンプスネークの首を噛み千切り、斬り裂いて倒している。
鉄蟷螂はあっと言う間に鎌を失って、右往左往している。両腕が無いので何も出来ないんだが、2人は更に足を斬り落としている。流石に可哀想だと思うんだが……止めを刺そうよ。
メルは投石リスの投石を盾で弾いたり、流したりしている。その後ろから飛び出たアルメアが、小太刀で投石リスの首を斬って行く。結局大した苦労も無く、全て倒し終わった。
丁度崖の近くだったので、上に登り昼食にする事にした。投石リスを解体して、肉を【熟成】する。後は焼いていくだけだ。最近【火魔法】で焼く事も多いからか、上達した気がする。
肉以外は要らないので面倒だし、埋めてしまう事にした。さて、昼飯を食うか。
「ん~。アルドが熟成した肉は美味しいね」
「やっぱり違いますね。【熟成】した肉と普通の肉は全然違います」
「これが投石リスの肉なの? 凄く美味しい!」
「本当だね。投石リスの肉なんて”食べられるだけマシ”って言われる肉なんだけど……」
「そうなのか? 俺はこの味しか知らないからなぁ……」
「美味しければ何でもいいんだよ」
「ええ。美味しいというだけでいいんです」
「確かに、言いたい事は分かるわね。投石リスだろうと美味しければいいのよ」
「私も文句は一切無いよ。ただ、マズくても食べてたんだ。あの苦労は一体何だったのかと、そう思っただけさ」
「「「あー……」」」
そんなにマズいのか? 味わう気は欠片も無いが、同じ肉なのにそこまでボロクソに言われるのもな。気になると言えば気になるが、わざわざマズい物を食う気は無い。
皆が美味しそうに食べていると、妙な【念話】が届いた。【念話】と言うより、これは……。前にもあったぞコレ!!。
『聞こえますか? アルドゥラム。聞こえていますね?』
『はい、聞こえてますよ。一体どうしたんですか? 神様達はあまり干渉しないと仰っていた気がするんですが……』
『あまり干渉しないだけで、全く干渉しないとは言っていませんよ。それはともかく、私の子孫が酷い目に遭わされましたね?』
『あれは不幸な事故であって、やろうとしてやった訳ではありませんよ』
『結果が全てですよ。あの子は資格の有る子でしたから、私の祝福を与えておきました。不老長寿となったので責任をとりなさい』
『はぁっ!? どういう事ですか!? えっ、責任?』
『そうです。あの子の新しい名はディルファグルですから、ちゃんと覚えておきなさい。では……』
『えっ!? ちょっ!? また、このパターン!?』
マジかよー。いや、彼女の仕事をブッ壊したのは俺だけどさぁ。それは不幸な事故と言うか何と言うか……。神様から責任とれと言われたらとるけどさ……どう皆に説明すればいいんだ?。
「どうしたんだい、アルド?」
「あー……。宿の部屋に置いてきたクアルさんに、【念神】が祝福を与えたらしい」
「「「「はぁ?」」」」
「だから、【念神】の祝福」
「「「「えーーーっ!?!?」」」」
「驚く気持ちは分かるんだけど、メルの時と同じように神様からの【念話】が届いたんだ。だから間違いなく事実だよ」
「………どうするんだい?」
「どうするって、帰って様子を見に行くしかないだろ?」
「「「「………」」」」
とにかく、宿に戻ってクアルさん……いやディルファグルさんか。彼女と話をしないと。
▽▽▽▽▽
0169終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨68枚
大銀貨92枚
銀貨54枚
大銅貨105枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
ヒヒイロカネの小太刀
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ




