0168
「これ以上ここでグダグダ言ってても答えは出ないし、狩りにでも行こうか?」
「そうだね。ここで喋ってても、何かが解決する訳でもないし」
俺達は全員連れ立って入り口の所まで行き、俺は右手に十手を持つ。その状態で左手でドアを開けながら、突き出された短剣を逸らす。その後、身体強化を使って頭突きを喰らわせた。
気絶したバカは無視して、次のバカの目に十手を突き込み手を離す。左から突き出された短剣を回避し、脇で腕を挟み圧し折る。目に十手を突き込んだ奴は任せ、俺は飛び出した。
離れた所に悪意を持つ監視者が居るのは分かっているので、その3人を金砕棒で殴り飛ばす。面で顔を隠しているのが1人居るが、3人とも女性か? まぁ、女でも容赦は一切しないが。
3人とも殴り飛ばして気絶させた。1番最後に殴り飛ばした面をしている奴は回避しようとしていたので、それなりに戦えるらしい。俺の身体強化に反応は出来ていたからな。
本気の身体強化じゃないにしても、反応出来るだけで十分優秀だ。俺を殺したい奴らは、なかなか腕の立つ奴を用意したらしい。とはいえ、コイツレベルが100人居ても無理だが。
残っている石と木を使い、手枷と足枷を作り嵌める。後はギルドまで引き摺って行くだけだ。朝と同じくズルズル引き摺りながらギルド内まで連れて行く。
「こんにちはー、お届け者でーす!」
「確かに人を届けてるけどね……」
「入り口近くの3人はまだしも、監視をしていた3人の女性は一体何なのでしょうね?」
「そもそも何故面をしているのかしら。古くからある防具だけど、不審だから使う人は少ない筈よね?」
「そうだね。戦争の時に使う者はそれなりに居るけど、普段使いの防具にはしないだろうさ。あまりにも目立ち過ぎる」
「顔を覆うタイプだから、いわゆる総面だと思う。半首でも十分役に立つと思うが、顔を隠したかったのかな?」
「半首って何ですか?」
「半首というのは、額と両頬を守る面の事だよ。額と両頬だけなんで、顔が分かりやすいんだ」
「防具はどうでもいいのだけれど……。この子……、顔に紋様があるわ!」
「えっ!? それって……もしかして幽人族!?」
どうやら反応出来たリーダーは幽人族らしい。しかし、何でこんな所に幽人族が居たのか、何で俺に悪意を向けていたのか、訳の分からない事が多いな……。拷問で吐かせるか。
まずは最初に襲ってきたバカ3人を拷問するのだが、あっさり口を割った。わざわざ口を割った後で【白痴】を使ったが、答えは変わらなかったので間違い無いだろう。
こいつらは俺を殺す依頼を帝国で請けたらしく、昨日村に着いてから機会を窺っていたらしい。ギルドに入って行くのを見て、入り口の扉向こうで待ち構えていた様だ。
近くに居たベテランに牢屋へ連れて行ってもらう。次はこの女性3人なんだが、リーダーを拷問した方が早そうだな。そう思い、リーダーを起こして椅子に座らせてから拷問を始める。
「さて、聞きたい事があるんだがいいか?」
「一体何の真似だ!? 何故私が枷を嵌められている? そもそも何故お前は私達を襲ってきた!?」
「襲ってきたかどうかの前に、何故俺に対して悪意を向けていた? 言っておくが俺は【闘気術】の【悪意感知】が使えるからな?」
「何を訳の分からない事を! 私達はお前など知らない、私達が追っていたのは素行の悪い傭兵3人組だ!」
……ん? これってもしかして……。そう思った俺は、彼女に対して即座に【白痴】を使う。よし、これで彼女は嘘を吐けなくなった。何となくだが、真実を聞かないとマズい気がする。
「つまり、君達は俺を殺そうとした3人組を追って来た。そういう事で間違いないか?」
「お前を殺そうとしていたのか? ……私はギルドの粛清依頼専門の傭兵だ。総本部から依頼があり、彼女達2人を隠れ蓑にしてここまで来た」
「隠れ蓑にした……?」
「彼女達は不良傭兵の調査依頼を請けている。その依頼自体が総本部が作ったダミーの依頼で、本当の依頼は非合法な殺しをやるゴミの粛清だ」
「粛清専門の傭兵は確かに居るよ。ギルドの裏部隊と言われている奴等さ。表に出てしまうと自動的にクビになるらしいけど……」
「そうだ。だから私は、これから普通の傭兵として生きていくしかない。……何故私はペラペラ喋っているのだろうな?」
ヤッベ……。さっさと【白痴】を解除しよう。まさか裏稼業の人物に大々的に暴露させてしまうとは……。これってバレたらヤバくね? ………4人がジト目で見てくるんだけど。
それに幽人族と言えば、今では【念神】の加護を持つ唯一の種族の筈だ。この世界で唯一と言っていいぐらい、まともに【念術】が使える珍しい種族でもある。
肌が若干青白いのだが、その肌の上に黒い紋様があるのが幽人族の特徴だ。顔を中心に紋様が出るのだが、この紋様の範囲が広ければ広い程、【念力】が強いとされている。
彼女は顔の広い範囲に出ているので、かなりの【念力】を持っているし使えるのだろう。それでも俺の足元にも及ばないが。そもそも【白痴】に抵抗出来てないのが、その証拠だ。
「えー……っと、どうします?」
「どう、と言われてもな……」
「表に出た以上は裏稼業は続けられないしねぇ……。アタシ達も聞きたかった訳じゃ無いんだけど……」
「私達が擁護しても無駄ですし……流石に総長も認めないでしょう。何より、裏稼業の者は顔がバレたら終わりですしね」
「それでも、粛清専門だっただけマシではないかしら? 諜報関係なら逆に暗殺者を送られかねないわ」
「諜報だとバレたら困る情報なんかも持ってそうだしね。どのみち、裏の者は表に出たら駄目だから諦めるしかないよ」
「何故私は……こんな事は1度も……何故………」
何だろう、滅茶苦茶ジト目で見られてる。今回の事はハッキリ言って完全に事故だ。恐らく彼女は3人組に悪意を向けていたんだろうが、その射線に俺が入ってしまった。
そこが勘違いの大元と言える所だ。最早起きてしまった事はどうにも出来ないんだから、これから先の事を考えなくちゃいけないんだが……。どうすりゃいいんだろうな?。
既にバレてしまってる以上は、復帰するのは不可能だ。かと言って、俺達が連れて行くのか? ……って考えると、それもなぁ……。【白痴】を使ったのは俺なんだが……うーん……。
「とにかく、さっきの3人をブチ殺してくるのが先じゃないかい?」
「……む? それは……最後のけじめとして、仕事は完遂した方がいいか……」
「あー……。手枷と足枷は外しておこう」
俺は彼女に近付き手枷と足枷を外す。俺が手作りした物だから、そうそう壊す事は出来ない。彼女も色々やっていた様だが、壊すのは無理だったみたいだ。今は大人しくしている。
枷が外された後、ヴェルの案内で牢屋の方に行った。俺は2人の女性の枷も外して、彼女達を解放する。彼女達も話を聞いていたのだが、今は呆然としている。
自分達が請けた依頼がダミーの依頼で、実際は隠れ蓑に使われていただけだと知れば、呆然とするのも仕方がない。それをやったのが総本部である以上は、彼女達も文句は言えないしな。
しっかし、村には妙な奴等が沢山来るなぁ。帝国からの更なる攻撃ではあったが、裏稼業の女が絡んでくるなんて流石に想定外だ。そもそも想定出来る奴が居るんだろうか?。
「君達はどうするんだ?」
「私達は依頼を……」
「ここで依頼を終えていったらどうだい?」
「あの3人組は始末されるでしょうから、一応依頼達成となります。つまり、報酬を受け取って終わりですね」
「いいんでしょうか……?」
「問題ないさ。ダミーの依頼とはいえ、依頼は依頼だからね」
確かにな。依頼を達成したら報酬を受け取って、それで終わりだ。
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0168終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨68枚
大銀貨92枚
銀貨54枚
大銅貨105枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
ヒヒイロカネの小太刀
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ