1688
アツタで昼食を食べるのだが、藤次郎は緊張しているらしい。まあ、奴隷商の所から買われたら女性ばっかりだからな。仕方ないというか何というか……。大銅貨14枚を支払って昼食を注文し、席に座ってゆっくり待つ。
亜仙族である以上は、ある程度優秀だとは思うのだが……藤次郎は修行とか一切してないだろうからなぁ。まずは身体強化と魔法を教えるしかないな。王女組に任せてはおけないというか、アイツらですらまだ練習中だから任せられない。
そんな事を考えつつ運ばれてきた昼食を食べていると、藤次郎が気になる事を言い出した。今年三河に連れて行かれた時に、奴隷になっている珍しい種族を見たそうだ。体が小さいものの自分より年上で、精亀族と聞いたらしい。
「精亀族ってまたレアな種族だなぁ……小人族と同じで体が小さいままな種族だが、精力が豊富な種族だろ。ただ、この種族は男性しか生まれないうえ、精亀族はなかなか生まれないんじゃなかったか?」
「そうなのかい? 聞いた事がまったく無いし、今初めて聞いたけどねえ。精亀族………思い出せないって事は、多分聞いた事も無いんだと思う。どういう種族なんだい?」
「さっきも言ったが成長しても体が小さく、不釣合いな精力を持つ種族だ。精亀族なのは男性だけで、女の子の場合は女性側の種族になる。精亀族は生まれにくいので、数があまり残ってないんじゃなかったかな?」
「つまり、この世から失われつつある種族ですか……。その種族が運良く、しかもヤシマ国で奴隷になっていると……。妙なというか、これは買う流れですかね?」
「多分だけどザラが買うんじゃないか? 少年趣味があったと思うが、精亀族はそんな感じの種族だ。大人になっても見た目は変わらないのと、その状態で寿命は200年くらいある。小人族と変わらない」
「成る程、それは見に行く必要があるね。とはいえ全員で押し掛ける必要も無いだろう。主様とザラだけで行けば、木像で行って帰ってこれるんじゃないかい? 藤次郎は身体強化も出来ないから、温泉地に行くのに時間が掛かる」
「そうだな。俺とザラだけで行ってさっさと帰ってくるか」
昼食後、アツタの外へ出て木像に乗り、一気に三河のオカザキまで移動する。町に入り、聞いた奴隷商の所へ行って紹介状を見せると納得はしてくれた。奴隷商も難儀な商売なので簡単には信じなかったが、俺達が異国の者なのは風貌で分かる。
紹介状も持っているし、変な奴に買われるよりはマシだと思ったのだろう、案内してくれた。そこに行くと、藤次郎が言っていた精亀族が見当たらない。話を聞くと、知っていた事に驚かれたが、買った奴隷に聞いたと話すと納得していた。
精亀族の奴隷の名は万次郎というらしい。<鶴は千年、亀は万年>というけどさ、どうしても万の字を入れたかったのかねえ? 何かアメリカに行ってしまった人に、そんな名前の人がいたなぁ。ジョン・万次郎だっけ? 何した人か憶えてないけど。
奴隷商に聞くと金貨200枚だったのでさっさと支払い、オカザキの外に出たら木像の真ん中に乗せて一気に温泉地に走る。やっと着いて中に入ると、藤次郎が早速練習をしていた。そこに万次郎も加えて教えて行く。
「本当に小人族と同じだねえ。ビックリするほど体が小さいけど、これで成人とは……。ザラの好みにピッタリ合ってるし、余計に何とも言えなくなってくるけどさ。とはいえ、これで終わりかい?」
「はいはいはいはい!! オレの分もお願いします! そうすれば安値のトコなんて行ったりしないんで、何卒お願いします!!」
「頭を下げてまで頼む事か? とは思うがな。それはともかく、2人にはまずコレを飲んでもらおう。毒とかではないんで一気にグイっといってくれ」
「「はぁ……」」
2人は首を捻りながらも神血を飲んだ。その後に神薬も飲ませてから暴露するも、2人とも本当かどうかが分からないので何とも言い難い顔をした。まあ、信じる信じないはどうでもいい。とりあえず、夕食を作ろう。
俺は麦飯をエリアに任せ、スープをフォルに任せる。サラダをメルと子供達に任せ、グレイトシープを焼いていく。香辛料だけで、後はひたすら火加減に気を付けながらだ。今回はタレを塗って焼いたりはしない。
シンプルだからこそ分かる美味しさにする気だ。肉汁の焦げる良い匂いがするからだろう、藤次郎も万次郎も「ゴクッ」と唾を飲み込んだ。心配しなくとも余り物を食わせたりはしないからなー。
そう言うと「えっ!?」という顔をしたが、やはり余り物を食うと思っていたらしい。奴隷ってそういう扱いをされやすいが、ウチはそういう扱いをする気が無いしな。どのみちザラやエイルズについていくならダンジョンにも行く事になる。
そうすれば自力で稼げるようになるから、尚の事自分の力で食べていけるだろう。それでも手放すかどうかは主によるので、そこは知らないけどな。そろそろ出来るから配膳などを頼む。
慌てたように皆が動き、配膳が完了したテーブルというか卓袱台に皿を乗せていく。タレは2種類作ってもらったので、適当につけながら食べてくれ。それじゃあ、いただきます。
「うん! やっぱり美味しい。冷凍してて味が落ちていても美味しいと思わせてくれる。やっぱりグレイトシープの肉はいいねえ。本当に美味しくて堪らないよ」
「新人の2人が無言でガッツくぐらいですからね。まあ、それとは関係無く美味しいのですが。それより、三河で無事にレア種族が買えたのはいいのですが、京には行くのですか? 向こうでもレア種族は居そうですけど」
「行くしかないだろ。そこの五月蝿いのが、いつまで経っても五月蝿く喚きそうだし。明日の朝からウェリアだけ連れて一気に木像で走るよ。明後日には帰ってこれると思う。流石に京と温泉地を1日で往復するのは無理だ」
「それは無理でしょう、あまりにも距離があり過ぎるわ。それでも明後日に帰ってこれるだけで十二分に速いわよ。どうせ当分の間は藤次郎と万次郎の練習で時間を取られるし、急がなくてもいいんじゃないかしら」
「とはいえ、3人目を買うのなら早い方が良いよ。遅れると遅れただけ3人目に時間が掛かる。できれば纏めて練習を終わらせたいところさ。それが1番楽だからね」
そんな話をしつつ藤次郎と万次郎を綺麗に【浄化】した後、風呂に入ってくるように言う。ウチに温泉があると知って驚いたが、はやく入って体を洗ってくるように促す。【浄化】しているとはいえ、綺麗にする習慣づけをしてもらわなきゃ困る。
相手をするのはザラとエイルズだけじゃないんだ、本命の王族4人が居る。流石に王族4人に対して汚いままというのは駄目だからな。ちゃんと綺麗にしてもらわないと、変な病気とかは本当に面倒な事にしかならないんで勘弁してもらいたい。
2人は時間は掛かったものの、綺麗にしたようだ。ちょっと茹だっているが、縁側でゆっくりして体を冷やすように言う。ついでに【冷風】も使ってやると気持ち良さそうにしている。
藤次郎が15歳で、万次郎が17歳。まだまだ若造というか青年に差し掛かったくらいか。微笑ましい年齢でしかないな。汗が引くまでゆっくりしているように言い、俺も風呂に入る。今日はダリアとフヨウも一緒だ。
お湯を綺麗に【浄化】し、自分も綺麗に【浄化】してから風呂に浸かる。ゆったりと湯に浸かりながら夜空を見上げるも、今日は星は見えない。残念に思いながらも、ゆっくりと疲れを取ったら上がって涼む。
その頃には2人は既に居なかったので、おそらく呼ばれたんだろう。初回から暴走すると後に響くから、抑えた方が言いんだが……大丈夫かねえ? そんな事を考えつつ部屋へと戻る。
部屋では子供達と一緒にトランプで遊んでいる女性陣がいた。聞いてきたので2人は部屋に戻ったと言うと、女性陣全員が何とも言えない顔をする。気持ちはよく分かる、絶対にアイツら暴走してるぞ。
確認せずとも分かるから、いちいち確認したりはしないけどさ。あの2人は大丈夫だろうか。トラウマになってなきゃいいんだが。
▽▽▽▽▽
1688終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2547枚
大銀貨1702枚
銀貨2620枚
大銅貨457枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




