1683
「スープの方も煮物の方も割と薄味かね? 煮物はそこまで薄いって訳でもないけど……朝からだから丁度いいとも言えるか。饅頭なのに何故かジャムとハチミツが出てるけど……」
「饅頭単体で食べると、ジャムもハチミツも有りですけどね? この煮物は竜の脂も使われてるのか美味しいです。ああ、酒も含めて色々使ってあると……。肉がホロホロですし、ジャガイモもホクホクで良いですね」
「揚げ蒲鉾が入ってるけど、鮫をまた手に入れたって事よね。大丈夫だったのでしょうけど、ヤシマの国では毎年人を食い殺していると聞くから怖いわ……」
「まあ、主様なら大丈夫さ。それよりも朝から温まる料理で助かるよ。今はまだ大丈夫とはいえ、そろそろ気温が下がってくる時季だ。暑い頃の感覚で居ると体を悪くする事もあるからね。少し早めぐらいで丁度いい」
「風呂は早過ぎたが、アレは早過ぎても特に問題無いか。それよりもジャムも意外に美味しいな。かなり甘いが少量なら丁度いい感じになる。今日の饅頭は米粉も使われているらしいから、柔らかいのもいい」
「それでモチモチなんですね。何か前に食べさせてもらったのと違うなと思ってたんですよ。米の粉を小麦と混ぜるとこうないるんですね。柔らかいですし悪くないですけど、2つも用意するの面倒でしょう。普通なら」
「まあ、それはそうでしょうけれどもね。御主人様は2つとも持ち歩いているから何の問題もありませんし、何より食べるのは私達です。他の者が食べる訳でもないのですから、どうでも良いのでは?」
「後はルーデル町の宿の旦那さんくらいかな? アルドが教えてたから米粉の使い方は知ってる筈だよ。それぐらいじゃないかな? そもそもヤシマの国の人は米として食べるからパンに何てしないし、小麦は丸めたり麺にするみたいだからね」
「<所変われば、品変わる>と言うしな。同じ物を使っていても、同じにはならないという良い例だと思う。大陸ではパンで、こっちでは麺。どっちが良いか悪いかじゃなく、そういう発展の仕方をしただけなんだろう」
「だね。食い物の種類が増えたんだから、むしろ発展の仕方を歓迎するべきさ。その分、美味しい物が沢山食べられるしね。種類が少なくて毎回同じっていうより遥かに良い事だと、あたしは思うよ。本当」
「ただ、そう考えると、アルドさんがルーデル町に色々伝えて下さっているのは本当に助かります。我が国が大陸の西側だというのもよく分かりますし、ここまで東の事は余程でないと伝わらないというのも分かりますので」
「確かにそうだね。ここまで離れてると、伝わる事自体が凄いと思えてくるよ。本来なら伝わるにしても、もっともっと後だった筈なのに、誰かさんが物凄く早くに伝えちゃったんだろうね」
「いつか伝わる物が早く伝わっただけ。多分そう言われて終わると思いますよ? 遅いか早いかに関しては、あまり意味が無さそうですしね。それより伝わった事が重要では? 我が国だと香辛料たっぷりの麺料理とかが出来そうです」
「我が国だとニョッキが広まりそうだ。米は無理だな、水の少ない我が国では育てられん。後はダルダン芋か……それでも食べ物が増えるのは良い事だが、送った物は叔父上に届いただろうか?」
「私もエイルズも里に届けてもらっている筈ですけど、届きましたかね? 特にジャガイモとダルダン芋は育て方さえ間違わなければ優秀な食べ物です。保存の方法で失敗する訳にはいきませんけども……」
「ジャガイモの芽に毒があるってヤツね。最初聞いた時は驚いたけど、作物だって自分を守ろうとするって言われたら、そりゃそうだとしか思えないしね。まあ、当たり前ではないけど他にもあるって言われたら納得できたよ」
朝食の時に食べ物の話っていうのも……と思いつつ、朝食を終えた。今日は再び練習とする事になったが、そろそろ再びの実戦として美濃のダンジョンに行こうという話になった。実戦と練習を交互に繰り返す感じかな。
そのうち肉を狩りに行かなきゃいけないんで、丁度いいとは言えるんだけどさ。庭と台所で訓練を開始すると、再びズレているウェリアを修正していく。まだキチンと正しい感覚も無いからしょうがないんだけど、すぐにズレるな。
それを直してから再び闘神の体操を行わせていく。ゆっくりの動き方を意図的にし、無理に速く動かしてしまう部分を矯正する。自分の動きのおかしい所を自覚させ、修正させる事でズレを把握させていく。
そうする事によって自分の中のズレやすい場所や、無意識に間違っている動きをしてしまう場所を矯正させる。骨格であったり筋肉のつき方でズレるし、人によってズレやすい方向や角度は違う。そこの修正だ。
今は分からなくとも後で分かるようになる。だからこそ、今の時点から間違っている部分を自覚させなきゃいけない。体の事って感覚だから、知識と違って分からない間はずーっと分からない。代わりに分かるようになると、すぐに理解できるようになる。
何故分からなかったのか理解できないくらいに、あっさりと分かるようになるのが感覚だ。それを覚えさせるのに必要なのは練習回数であって怒鳴ることじゃない。教える際にすぐ怒鳴るバカがいるが、怒鳴ったところで何も解決しない。
練習回数が物を言うし、ひたすら自己と向き合うしかない。怒鳴るという事は言葉として伝えられないという事を証明している。言うなれば「キー!キー!」喚く猿と何も変わらないんだ。それを怒鳴っている本人が一番理解していない。
おっと、思考が逸れた。バカの真似事なんてしてもしょうがないんだから、俺は俺の方法でやっていけばいいだけ。そもそも感覚を他人に伝えるなんて難しい事だ。それが分かっていながら怒鳴るのは唯の阿呆でしかない。
そろそろ昼食を作る為に台所へ行くかね。今日の昼食は……っと考えた際に、炊き込んでしまえばいいやと思った。実は、鯛が余りっぱなしなんだよ。贅沢な話だけど、食べる機会が遠のいてさ。なので鯛めしにしてしまおう。
正確には鯛の炊き込みとなるが、贅沢に使ってしまおう。綺麗に【浄化】した鯛の身を三枚におろし、骨を焼いてから出汁をとる。他にも乾燥椎茸や鰹節に灰持酒や魚醤などを加えて味付けし、鯛の身と共に炊いて行く。ちなみにワザと白米だ。
更に余っている鯛をアサリや蛤と共に煮ていき、蒲鉾や野菜も加えて更に煮ていく。鯛の身から出る出汁で十分に美味しそうな香りがしているな。肉類を入れてないが、代わりにこれでもかと鯛が入っている。怖ろしいほど贅沢な鍋物になったな。
女性陣と一緒に練習していた筈の子供達がすぐ近くに来ている。特に蓮は土鍋の前で張り付いているぞ。白米なのが見なくても分かったのだろうか? 白狼族だし、あの味覚だ。もしかしたら分かったのかもしれない。
御飯が炊けたので配膳をしていってもらうんだが、蓮とエリアのテンションが異様に高い。白米オンリーだから当然かもしれないが、周囲がちょっと引くぐらいのテンションって何だよ。
ま、とりあえず食べようか。それじゃあ、いただきます。
「ん~~~!! おこめがね! おこめがさかなとまざってすごくおいしい!! さかなのあじがね! すごいんだよ!! すごくこいあじとにおいがするの!!!」
「いやー、コレは美味いねえ! 白い米だけなのはワザとだね。この繊細な香りを邪魔しない為には麦飯じゃ駄目だよ。これは白い米に余す事なく滲み込ませなきゃいけないものさ!!」
「興奮している2人はともかく、狙った通りに米に滲み込んでるな。鯛は旨味の強い魚ではあるんだけど、味は繊細で割と潰されやすい。俺としてはそう思っているから、余計な事はしなかったんだが、これは成功だな」
「言いたい事は分かるね。確かに弱そうというか流されそうなのに、力強さも感じる味だよ。どちらかというと香りの方が強いのかな? この香りは確かに麦飯なら邪魔するだろうね」
「うん、これは美味しいね。魚の旨味という物を感じるよ。米に移さないと感じ難いのかもしれないね。こちらの鍋物はまた別の感じがするし、なかなか難しい魚だ。鯵とか秋刀魚は割りと味が強いのに」
「こらこら、お前さん達はそういう顔をするんじゃない。夕食が肉だからこそ、朝はともかく昼はこうしたんだよ。魚を使い切ってしまいたかったんでな」
パンと肉の国の王族は難儀なもんだ。ウェリアなんて貪るように喰ってるぞ? 辺境伯の娘なのに。
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1683終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2897枚
大銀貨1710枚
銀貨2620枚
大銅貨471枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




