1680
勝家君は門を跳び越えた後、そのまま台所に来たので一言いっておく。流石に人の家の門を勝手に跳び越えるのは駄目だ。千代女といい、藤といい、勝家君といい。何故他人の家の門を跳び越えて侵入してくるのか不思議でしょうがない。せめて一言ぐらいないもんか。
「すまん、申し訳ない。それよりも伝えねばならん事がある。越前と加賀がまた争いを始めたらしい。どちらも紅衆が不在なので妙な争いとも言えるのだが、今回は越前から攻めておる」
「神殿勢力がほぼ壊滅したからか? これ幸いと攻めたのかもしれないが、今までも一揆にやられていたものなんだから、反撃されて壊滅なんて事にならなきゃいいがな。指揮する奴が居れば違うぞ?」
「どういう事だい? 加賀っていえば神殿が国を乗っ取って好き勝手してた所の筈。その神殿の貨幣をアルドが徹底的に奪ってきたんだから、碌に力は残ってないだろう?」
「普通ならそうなんだが、ヤシマの国はなぁ……。民衆が一揆を起こして越前に雪崩れ込みかねないって事さ。追い詰められた民衆っていうのは何でもするぞ。それこそ狂乱の宴と言ってもいい」
「ああ、その可能性は十分あるだろうね。ヤシマの国だけじゃないさ、怒れる民衆というのは軍すら飲み込む事がある。狂乱まで行けば、彼らは死を厭わなくなるんだ。そうなると必ず兵の士気は砕ける」
「死兵が相手か……。越前の奴等ではどうにもなるまいな。あの名将とも言える朝倉教景を擁しても駄目だったのだ。今の越前の者ではどうにもなるまい。まして紅衆は不在となっている以上、泥沼に陥るかもしれん」
「で、貴方が持って来た情報はそれだけですか? その程度で門を跳び越える訳は無いと思うのですがね。他に何があるんです?」
「実はな、北伊勢に人が集まっておるらしいのだ。北伊勢は神殿が壊滅したが、民自体は残っておった。もちろん神殿の奴等について行かなかった連中だ。その者どもと他所から来たのが争っておるのだが……」
「あそこに影響力があった六角が何もしない? だから荒れているって事か?」
「うむ。六角としては近江が優先となるのは当然のことだがな、それでも影響力のあった六角が何もせんと見切られておるらしい。その所為で北伊勢は好き放題に荒らされておる。在地の武士も壊滅したからな」
「あそこは二年連続尾張を攻めて、悉く私達に弾き返されて叩き潰されたからな。当然と言えば当然なのだが……伊勢の国の紅衆は北畠というのではなかったか? そちらが何とかすれば済むような」
「それがな、北畠と長野の争いの決着が着いておらん。北畠は中伊勢から北伊勢の一部に影響のある家があるが、そこを使ってもなかなか切り崩せておらん。理由は長野に勝てんからだそうだ」
「中伊勢の長野に勝てない程度と思われている訳だな。それで求心力が上がらないか。確か北畠って公卿の家だったと思うけど、武士でもあるのか……。とはいえ、強くなければ従わないのが武士だから仕方ないのかね」
「まあ、弱い者に味方する者は殆どおらんな。血縁なりがあるから渋々味方するくらいか。弱き者と共に、己の家を滅ぼす訳にもいかんので当然の事なんだがな。それより、他にも動いておって困った事になっておる」
「まだあるのですか? 近隣で動く所と言えば、後は東でしょうか。駿河とか甲斐の近くが動いたなら分かりますが、両国は大規模には動けないでしょう。周りが攻めましたか?」
「いや、東ではない。東は相変わらずの小競り合い程度だ。動いたのは西になる。細川の家臣筋と紀伊の畠山と若狭の武田が合力して三好を攻めようとしておる。そして何故か三好の一部が大和に兵を向けたそうだ」
「という事は大和の国を支配する事に決めたかな? 確か大和って伊賀や伊勢に通じる場所だった筈。それにあそこは山が多いって聞くし、天然の要害みたいな場所。そこを奪って東からの抑えとしたいんだろうな。近江にも繋がってるし」
「山が多い場所って……守るには良さそうだけど、魔物との戦いは大丈夫なのかな? ヤシマの国は魔物の被害が大きいって聞くけど……」
「大和の中央神殿は兵を大量に抱えておると聞く。更には獣狩りも普通にしておるらしいので精強な兵を多く持つのは間違い無い。ただ、兵の数が多いかというと、そこまで多いとは聞いた事が無いな」
「魔物と戦うなら少なくてもいいだろうけど、戦争なら兵の数が物を言うしねえ。少数だと神殿とか城に篭もるくらいかい? その程度の所なら他の奴等が取っても不思議じゃないけど、何で取ろうとしなかったんだろうね?」
「大和の国を取るのは不敬に当たるからだとは思う。それと山ばかりだからな旨味が少ない。不敬というのは、元々の都は大和にあったと言われておってな、そこの管理を神殿に任されたのだ。古き帝が」
「つまり大和の国も神殿が紅衆をしているが、加賀のように強引に手に入れたものじゃないって事だ。古き時代に任じられてから、ずっと変わらないって事だな。古いと言っても、かつての王の命に逆らうのか? って事だ」
「「「「「「「「「あ~……」」」」」」」」」
「………エイダに逆らうのか? ってこと?」
「うーーん、蓮の言ってる事は微妙に違うな。エイダはまだ生きてるし。ここでいう古い帝はおそらく亡くなっている筈だ。それでも正式に今の帝も認めてるって事は、古くから連綿と続いているって事だな。それを壊すのか? って事だ」
「壊す側にも守る側にも言い分はあるだろうね。こういうのは結局のところ、最後には壊れていくものだとは思う。後生大事に残しておくものでもないよ。胡坐を掻いてふんぞり返るだけさ」
「昔に認められたからといって、今上手く国を治めているかといえば違いますしね。上手く治められる者が出てくれば崩壊すると言うべきか、胡坐を掻くのを止めさせる為に一度崩壊させると言うべきか……」
「どのみち大した違いは無いけどね。どこかで腐るし穢れる、そして破壊され新生し、また腐る。延々とその繰り返しさ。ただ、何処かの時点で壊れるというだけ。それが良いか悪いかは後になってみないと分からない」
「ああ、うむ。何か大きな話になったが、他にもあってな。後は小さいものばかりなのだが、美濃の大島殿の実家は無くなったそうだ。領地は没収で斉藤家の物になった。安藤の家は領地が減って当主交代だ」
「安藤の家は弟の方はまともだと聞いているから問題無いんじゃないか? 政の方が得意そうだと斉藤正義君から聞いたが……」
「さあ? その辺はオレも詳しくは知らんので何とも……。殿が今年に戦があるとすれば、おそらく攻められるのは三河だろうと言われておった。北伊勢は殆ど壊滅、北の美濃とは小さい小競り合いだからな」
「尾張の立地からすれば西の伊勢は海で隔てられてて、北の美濃か東の三河しか陸続きじゃない。北の美濃とは許婚で固め、東の三河は紅衆になった。尾張が攻められる可能性は極めて低いと言えるだろう」
「うむ。マムシも攻めてくる気配はまるで無い。むしろマムシは越前を狙っているかもしれん。殿もそう仰っておられた。我等は西か東か……ダンジョンの事を考えたら東に出る方が良いのかもしれん」
「ダンジョンは富の元とも言えるからな。そこを手に入れられるかどうかは大きい。京の都のダンジョンは多分帝が持ってるんだろうけど、他の所はどうなってんのかね? 特に美濃は今のところは斉藤家だろうけどさ」
「斉藤は白衆筆頭であって紅衆ではないからな。マムシは足利に働きかけておる筈だが、上手くいっておらんのか……それとも働きかけすらしておらんのかもしれん。このまま有耶無耶にする気かも……」
まあ、言いたい事は分からなくもない。京の都を中心に、また戦が起きるみたいだし。今度は丹波と紀伊と若狭か。日本と同じく松永久秀が大和を取った後どうなるかだな。
既に細川晴元が居ない事がどう出るのか……。
▽▽▽▽▽
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神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




