1669
その後も色々話していたのだが、皆が起きてきた事で立ち消えとなった。ウェリアの場合は今までが今までだから、皆に聞かれたら何を言われるか分からない。いちいち面倒臭い事は言われたくないという事もあるんだろう。
俺もそっとしておいた方がいいと思ったので、子供の話は終わりにした。今日も昨日の続きでウェリアは身体強化の練習だ。何度も言うが、群雄割拠の戦国乱世の国に居る以上は、早急に実力をつける必要がある。泣き言は受け付けない。
「まあ、それはそうなんでしょうけど。この尾張という国は、戦国乱世って感じはしないんですけどねー」
「ここがそうなだけですよ。元々は色々あったのを半分以上私達の協力で平定しましたからね。そのおかげもあって平穏なのですよ。ここまで一気に進んできましたけど、素早く来た御蔭ですよ襲われていないのは」
「そうよ? 西の国だって当初来た頃は盗賊がいたし、それらが城の跡を改装して拠点にしてたわ。小山の上に拠点があって、簡単には攻め落とせないようになっていたのよ。それが2年前でしかないの」
「そのうえ何度も戦があったし、僕達も参戦したしね。今、特に戦争が起きてないのは、2年前から何度かあって勝ってきてるからさ。特に最初の年は酷かったんだよ。あの年は激動と言って良いんじゃないかな」
朝食が出来たので運んで食べながら、皆は話を続ける。王女組も聞いた事はある筈だが、ガイアルム王国で聞くのと、ここヤシマの国で聞くのは受け取る印象も違うだろう。
「最初の年ではダンジョンも使われていなかったし、尾張国内も荒れてたんだよ。昨日言ってた尾張の守護。それが政治の上では頂点なんだけど、領地が無く乗っかってる奴が多いのさ。ここ尾張は違うけどね」
「領地が無いという事は兵が動員出来ないという事、だから領地を持っている者に頼るしかなくなる。その時点で力関係としては弱くなるという事です。そこは分かるでしょう?」
「まあ、そうですね。里長だって力が無きゃ下の者はいう事を聞きませんからね。調子に乗ってた連中も居ましたが、ディアーナ様がお帰りになってボッコボコにしたら、すぐに素直になりましたし」
「意味がちょっと違うけど、そういう事よ。このヤシマの国では戦争に農民を徴兵するんだけど、農民だって強くて自分達を守ってくれる者の言う事を聞くわ。力が無く税だけ持っていく者の言う事なんて聞かないのよ」
「まあ、当たり前と言えば当たり前ですね。力無き者の言など誰も聞きませんし、そんな事を聞くほど農民も甘くはないです。里だって力無き者の言など……そういう事ですか。だから頼むしかないと」
「そうですね。白衆と呼ばれる在地の者が戦争や治安を守り、紅衆と呼ばれる者達が政治を行う。ヤシマの国とはそうなっているのです。紅衆を別名で守護と言うそうです」
「他の国の紅衆ってのは、長い時間をかけて力を失い弱くなっていった訳さ。最初から弱かった訳じゃないんだけど、碌でもない事をしたり大ポカをやらかしたりして、どんどん力を失っていった訳だ」
朝食を終えて後片付けをしたら、庭に出てウェリアの身体強化の指導を始める。ウチの子供達もついでにやる気なので教えていこう。やる気になった時にやらせないと、次にやる気になるのが何時になるか分からないからな。
身体強化の訓練は話しながらでも出来るからな。子供達でも出来るんだから、お前さん達は頑張らなきゃ駄目だぞ。ほら、必死になって頑張れよー。子供より下手は恥ずかしいぞー。
「元々は尾張もそういう状況でね。斯波っていう力の無い紅衆と、織田っていう分裂した白衆の家があった訳だ。織田家も一つじゃなくてね。北半分を治めてた北部織田家と、南半分を治めてた南部織田家とあったんだよ」
「その南部織田家から更に分家として生まれたのが西部織田家。これが昨日いってた那古野城の織田家なんだよ。最初の年の争いで、南部織田家を傀儡にしていた家臣が主君を殺害、南部織田家を乗っ取ろうとしたけど失敗」
「そいつは乱心したのか、今度は斯波家の者まで殺害しました。これで南部織田家と斯波家が断絶。更に北の美濃の国から攻めて来たのと、先ほど言った傀儡にしていた裏切り者の挟み撃ちを受けて、北部織田家が断絶。残ったのは西部織田家だけです」
「「「「「「「あ~……」」」」」」」
「それで、一番下っ端の家でしかなかった西部織田家が繰り上がって、紅衆の地位につく事になったって訳ね。本来はなれる家柄じゃなかったんだけど、色々な贈り物で無理矢理してもらった感じかしら? だから成り上がり者と思われている訳よ」
「前に説明しているけど、ここヤシマの国で説明されると分かりやすいかもしれないね。実際にはもっと色々な事が細かくあったんだけど、簡単に説明するとそうなるんだ。まあ、周辺の国が暗躍していた結果なんだよ」
「北の美濃、東の三河、更に東の駿河。その辺りが組んで、米所の尾張を狙ってたってところだね。斯波家の先代は駿河の紅衆である今川って家に負けて、大恥を晒した事があるそうだよ。それで求心力が低下してたって聞いてる」
「それは駄目ですね。一番上にある方の求心力が低下したのでは、下の者は纏まれません。それはどう足掻いても無理です」
「それどころか、戦を強行しようとしたら家臣の南部織田家が言う事を聞かなくて、他の織田家の力を使って攻めたらしいよ。それで無理矢理に言う事を聞かせて攻めたら、負けて大恥を晒したんだってさ」
「「「「「「「………」」」」」」」
「ま、そういう事があったから信秀さん達も言ってた訳だ。紅衆の言う事を聞かない者が出てきたってな。アレもまだ優しい表現で、ここヤシマの国には似た様な事をした紅衆は多いって事さ」
「まあ、我が国もアレでしたから大きな声では言えませんが、何処の国にも似たような愚か者は居るのですね。どうしても納得出来なかったのかもしれませんが、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか?」
「さあね。その時に何があったのか分からないし、本人としてはどうしても許せなかったのかもしれないし。そういう風に敵が煽ったのかもしれない。コレばっかりは、アタシ達も知らないからねえ」
「ついでに深堀しても誰も得をしませんしね。まあ、尾張を含めて戦国乱世はそんなものです。色々あって落ち着いたのであって、戦国乱世がこんなものと言う訳ではありません」
その一言で納得したのか、その後は黙々と訓練を続ける皆。昼食を経ても繰り返し、夕方になったので終了する。ウェリアは今日一日で大分向上したとは思う。本人は相変わらず、無理に集中させられた所為で倒れこんでるが……。
俺はそれを無視して夕食の準備に取り掛かる。いつも通りエリアに麦飯を、メルと子供達にスープを、フォルにサラダを任せた。俺は竜の塊肉を用意し、香辛料を振って馴染ませておく。それを見た子供達が大声で歓声を挙げる。
王女組は気付いてないが、これは気にしなくていい。どうせ食べてから騒ぐし。そんなこんなで、塊肉を浮かせてじっくりと焼いていく。ゆっくりゆっくり、じっくりじっくりと熱を通していき、旨味を逃がさないようにして焼く。
俺が真剣に焼いているからだろう、王女組は明らかに怪訝な顔をしていたのだが、塊肉から流れてくる猛烈な香りに意識を持っていかれたようだ。竜の脂とは違った暴力的な香りなんだよなぁ。
そんな塊肉が焼けた時には、既に他の料理は出来ていたので削ぎ切りにしていく。切る度にムワッと肉の香りが広がり、それを必死に吸い込んでいる皆。気持ちは分かるが止めような?。
それぞれの皿に分けていき、肉の為に作っておいた3種類のソースを出して好きに食べさせる。さて、切るのも終わったし、そろそろ食べようか。それじゃあ、いただきます。
▽▽▽▽▽
1669終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2897枚
大銀貨1710枚
銀貨2620枚
大銅貨471枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




