1658
「大陸の方には分かり難いのかもしれませんが、細川家はあくまでも複数の国の守護なだけです。実際に兵を集めるのも、兵糧を集めるのも、戦の際に集うのも在地の者なのですよ」
「つまり守護というのは上にある者であり、命じる者でしかないのだ。下の者にそっぽを向かれては戦も出来ん。もちろん敵が攻めてくれば戦うだろうがな。ハッキリ言ってしまえば守護の命を聞かぬ者も多い」
「それもそれで問題だと思いますが、自分で兵を集められない者というのは軽んじられますか……。要するに、そこまで好き勝手にされても戦の際に困るので我慢するしかないと。何の為に上に立っているのか分かりませんね」
「もちろんだが、それを許しておらぬ者も多い。ただ、守護はあくまでも上に立つ者でしかないのだ。下で支える者がおらねば戦も出来んのが事実だ。今回の事は丹波の者が細川に対して圧力をかけるという戦だった」
「目の前の敵じゃなくて、主君に対して自分達のいう事を聞けという争い? 意味が分からなさ過ぎて呆れるしかないわね。そのうえ何故か町を焼いているし……」
「あれもそうです。自分達を無視するとこういう事をするぞ、細川家の評判が下がるぞとやっている訳ですね。大陸の方からすれば呆れる事でしょうが、当人達は真剣にやってます。あんな事ですが……」
「何故そこまでするんだろうね? それこそ周りの者達に攻められる隙を晒すだけだと思うんだけど。一国の都を焼いたとなれば建前は整うよ? そうなった時に困るのは自分達だろうに」
「丹波の者どもにとって三好は格下なのだ。いや、下に見ていると言った方が正しいな。その三好と細川家の当主である氏綱は関わりが悪くない。そして三好は京の差配を上様から認められておる。それが納得いかんのだろう」
「要するに、下っ端と思っていた奴等が出世して気に入らないとか、そういう事? バカバカしいにも程がある。大の男が醜い嫉妬で町を焼くって……バカバカしいを通り越して気持ち悪い」
「まあ、言わんとする事は分かる。我々も下らんとしか思わんからな。だが御家騒動もそうなのだが、やっている者達は真剣にやっておるので始末に負えんのだ。真剣にやっておるので譲る事はない」
「譲ると負けだと思っていますから。それに細川の当主と三好の当主の関わりは、悪くないというより良いんです。だからこそ、丹波の者達は必死なのですよ。場合によると、自分達は捨てられかねないと思っている。実際にそんな事は無いんですけどね」
「捨てられる……ああ、三好に兵を頼めばいいからか。つまり自分達の価値が低くなり、下だった筈の三好の価値が上がる。それによって用済みと言われかねないという危機感か。実際には無いのだろうが、不安からやらかしたと」
「それでも呆れるしかありませんけどね。結局、上の方の名前を勝手に使い、一国の都を焼いたのは事実ですし。それで道連れにされたのですから、更に心証が悪くなっただけでしょう。自分で自分の首を絞めてますよ?」
「ところがそうでもない。帝や上様から細川氏綱に対して使者が出ておる。その使者は当然、帝や上様の怒りを伝えた筈だ。どれだけ腹立たしかろうが、守護の責任で丹波の者を抑えねばならん」
「「「「「「「うわぁ……」」」」」」」
「それって散々主君の足を引っ張って自分達の言い分を通すって事だろう? 滅茶苦茶過ぎてイカレてるとしか思えないねぇ。何度考えても頭がおかしいというか、狂ってるとしか思えないよ」
「言いたい事は分からんでもないが、昔からそれなりにある事なのだ。こういった事はな。まあ、我等は慣れ過ぎているのかもしれん。もしかしたら、大陸の方のように思わねばならんのかもしれんな」
「確かに。今回のような事が続くとなれば、ヤシマの国はこんなものと思われかねませんし……。慣れ過ぎているという清常殿の言も、我等は今一度考え直さねばならぬやも」
「周りからどう見えるかって大事だからなー。丹波っていう国の奴等は主君のいう事も聞かない。もし本当に見捨てられたらどうするつもりなんだろうな? 次の守護が甘いとは限らないんだが……」
「「………」」
そうだろう? 丹波の奴等がやっている事は綱渡りに等しい。もし失敗したらこれから先、困る事になるぞ。しかも大部分で失敗してる。それこそ細川は三好の力を借りて、丹波征伐とかい言い出しかねないって分かってないのか?。
そんな事を口にすると、清常さんも源氏も考えているようだ。そういえば源氏の人に初めて会ったな。カシマに行く際にはスルーしたし、別に関東の事にまで首を突っ込む気なんてないし。
「丹波の者どもも分かっていない筈はないのだ。奴等とて長く細川に従ってきた者らであるし、自分達が攻められかねぬという事は分かっておる。とはいえ管領が穢れ者となり、当主が替わったからな」
「ええ。大陸の方には分かり難いかもしれませんが、我が国において当主交代の後はこんなものです。もちろん何も無い事もありますが、大抵は自分達の都合の良いようにしようとしますよ」
「守護というのが上に在るだけだからですか……。実際に土地を治めている訳でもなく、自身の軍を持っている訳でもない。この国は下の者の権限が強くないですか? いえ、任せすぎでは?」
「長きに渡って色々あった結果、守護がお飾りのようになってしまっておるのだ。元はそうでなかったと聞くが、守護は守護で色々やらかしてきたという事がある。気付けば守護に従っても碌な事にならんと思われておるのだよ」
「中には土岐とかいう奴も居たし、間違ってないところが何ともなー。あっちこっちの奴を巻き込んで、自分が守護をしている国で争いを起こす。そんな奴も居た訳だから、下の連中が駄目だと思っても仕方ない」
「「「「「「「………」」」」」」」
俺は昼が近くなったので台所に行き、麦飯を炊きながらウインドチキンを揚げていく。野菜はさっと解凍して、子供達にはマヨネーズを作ってもらっている。メルにはスープだ。まだ台所の人達は来て居ないが、今の内なら大丈夫だろう。
俺が料理を終える頃に丁度台所の人達が来た。俺達はすぐに離れ、後は広間の方に持っていく事になった。流石に大人数で台所に居たら邪魔になるだけだし。そうやって広間に行くと、まだ色々話していたみたいだ。
土鍋を置いたり寸胴鍋を置いたりしながら、食事の用意をしていく。床に置く事になるが仕方ない。膳を借りる訳にはいかないし、あれも使い難いんだよな。慣れてないから。
流石に昼という事で源氏の人は帰ったみたいだが、結局あの人物は何をしにきたんだ? 今まで見なかったけど、その事と関係あるのかね?。
「朝光殿か。彼は今までの方と替わって新しく京の都に来たのだ。今までの方は老齢でな、それで若い朝光殿に代わったのだよ。あの容姿だ、当初は騒がれておったのだが……今は静かになった」
「まあ、女が騒ぎそうな容姿はしていると思うけどね。そこまで騒がれるには何かあったという事かい?」
「朝光殿はああ見えて優秀でな、剣の腕前も結構なものなのだ。来た当初、何度か賊退治もしたし、不逞の輩を都の中で叩きのめしたりしておる。それで若い女子が騒いでおったという訳よ」
「よくある事でしかありませんね。容姿が良く見栄えのする者が強い。いつの世でも人気は出るでしょう。しかし、それだけですか?」
「それだけとも言えんのだが……。若い女子に割と手を出しておってな。そういう浮名を流した後はサッパリというところだ。一部では今も騒がれておるが、知っている者はな……」
「「「「「「「「「「あ~………」」」」」」」」」」
皆は声を挙げながら一斉にウェリアを見る。コイツも誰彼構わず喰う女だからなぁ。男版のウェリアだと考えれば分からなくもないが、碌なもんじゃないとも思う。後ろから刺されたりしなきゃいいが……。
まあ、ああいう奴は刺されても自業自得か。
▽▽▽▽▽
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