1631
現在、身体強化を使わずに戦っているが、圧倒的にウチの女性陣の方が強い。とはいえ、それは仕方のない事でもある。特にリヴィ以外は、普通の戦闘を殆ど経験していない。それでも通常の傭兵に比べれば濃い経験をしてきているというアドバンテージはある。
普通の傭兵はソードグリズリーとソロで戦ったりはしないらしいし、その程度の実力なので、格上と戦った経験はリンデ達の方が多いだろう。とはいえ身体強化ありなので、それがどこまで響くかだな。順調に対応出来るようになっている気はするが……。
女性陣がキッチリ叩き込むだろうから、俺は何も言わず放っておくか。それよりも目の前のエイダと子供達に集中しないと、流石に失礼だろう。
昼になったので食堂へと移動し、大銅貨14枚を支払って昼食を注文する。【冷風】を使い涼しくしながら話していると、王女組が今の調子で大丈夫なのか聞いてきた。今までにもエイルズやザラと模擬戦みたいな事はしていたらしいのだが……。
ウチの女性陣との実力が違い過ぎて、自分達は出場しても恥を掻くだけではないかと思っているらしい。流石にウチの女性陣と同じ力量を持っている相手を想定してはいないが、それにしても実力が無さ過ぎるのではないかと思っているようだ。
上を見上げたって仕方ないという事と、挑戦してみなければ分からない事は言っておく。そもそも今年から一般人にも解禁されたくらいなんだから、大会の平均がどのレベルかも分からないんだ。それを想定しても意味が無い事は言っておく。
帝国の武術大会を知っているカイリに聞いた方が良いんじゃないか? そう言うとカイリに視線が集まったが、カイリも出場した事がある訳ではないので、詳しくは分からないとの事。おまけに帝国武術大会も、一般人は推薦がないと出られないそうだ。
ちなみに俺が殺したグライバとやらは、その一般枠で推薦されたらしい。まあ天才とか言われてた奴なので、それぐらいの力量がないと推薦されないのだろう。そして王国の武術大会では、一般人が出られる枠が最初からあると……。
王軍に優秀な者を入れたいのか、それとも王国は広く門戸を開いているとアピールしたいのか。どっちにしても、出場者も管理する王軍も大変だ。一般人も見に行けるらしいが、王軍が見張っている中だから悪さは出来ないだろう。
近衛の建物は東西南北の貴族街にあるが、王軍の建物は東西南北の平民街にある。そして試合が行われるのは、当然だが王軍の建物だ。貴族街に侵入を試みる馬鹿は出るだろうが、近衛に捕まって終わりだろうなー。
昼食後、再び訓練場に言って練習を始める。とはいえ、先ほどの事があるからか王女組は上の空になっている。仕方がないのでダナが近くのベテランを呼び、リンデと模擬戦をさせるようだ。まあ、それが1番いいか。
「たとえ相手が王女だと言っても本気でやんな。手を抜いてると分かったら、アタシ達との模擬戦をする事になるからね?」
「!? 全力で当たらせていただきます!!」
うん、分かるよ。目の前の王女に怪我をさせる事より、女性陣との模擬戦の方が100倍は怖いだろうさ。死刑宣告より酷い、殺してもらえない拷問のようなもんだ。やはり言う事を聞くのは権力より暴力だけど、これは仕方ないね。
模擬戦の結果だけど、善戦したと思うよ……ベテランは。リンデは普通に勝ってるし、途中からベテランはガチだった。フェイントを使って戦ってたが、悉く見切られてたな。とはいえ、これに関しては諦めるしかない。
王女の立場とかは関係なく、あのベテランはフェイントに殺気を込めてなかった。おそらくだけど、それができる技術は無いんだろう。ダナやシュラは当たり前のようにやるけど、あれも常人からしたら難しい技術だからなー。一応は。
つまり殺気の無いフェイントは本命じゃないって分かるんだよ、【気配察知】で。身体強化は使わないと言ったが、他の技まで使わないとは言っていないし、問題は無い。そもそも気配を掴む技なんて、達人の領域に居るなら当たり前に身につけている。
達人でなくとも殺気の有無ぐらいは掴む。結局、一定以上の実力の奴には殺気の無いフェイントなんて通用しない。あのベテランは、まだその領域に届いていない訳だ。そう、エイダや子供達に説明をしていく。ベテランが凹んでいるが、俺にとってはどうでもいい。
「まあ、アルドが全部説明してしまいましたが、戦いとはそんなものです。一定以上の実力者が格下に負けない理由でもありますしね。殺気や殺意の有無というのは重要なのですよ。更にリンデ達は命のやりとりを普通にしてきています。殺気や殺意にも慣れたでしょう」
「という事で、次は私だ。模擬戦の続きだが、私からは殺気と殺意が飛んでくる。気をつけて戦うようにな」
ディルはそう言ってリンデをボコり始めた。面白いように殺気や殺意に引っ掛かっているが、これはしょうがない。自分が死ぬとなれば、どうしたって反応してしまう。これは素人ですら変わらない。
殺気や殺意を浴びながら冷静に動くには、殺される覚悟を持って幻を無視する必要がある。これ、訓練しないと絶対に出来ない事なんだよ。殺気や殺意に対して体が動くのは反射だから、その反射を慣れで鈍らせる必要がある。
本能を鈍らせて、理性で体を動かさなきゃならない。訓練しないと無理なのがよく分かる。俺の場合は魂や精神が剥き出しだったので、皆の比じゃない程に大変だったのだが、思い出したくもないので指導に戻ろう。
「夕方までやっても、こんなもんかい。まあ、仕方ないんだろうけど、これからは模擬戦での扱きを追加するかねえ。途中から来たジャン達も、思ってた以上にヘッポコだったしさ」
「そうですね。サブマスターに就こうという若者がこれではいけません。まだ子供は出来ていないのですし、今の間に扱いていおいた方がいいでしょう。子供に見せられない程度の実力ではね?」
「………いや、幾らなんでも滅茶苦茶な気がするんですけど? 僕達だってそこまで弱い訳ではありませんし、これでも若手では最有力と言われていますし……」
「馬鹿ねえ、若手がどうかなんてどうでもいいの。貴方、自分より強い相手が出てきて命を狙われても、相手に同じ事を言う気かしら? ミレイアやシャローが殺されるかもしれないのに?」
「!?」
「若手の間で最有力なんて、唯の慢心でしかない。殺される時には文句無く、いきなり殺されるんだよ。だからこそ、そうなる前に力をつけておくしかない。いきなり来る死を避けるには、避けられるだけの力量が必要さ。慢心してボケていると……死ぬよ?」
「「「………」」」
「どうやら今一度、厳しさを教えてあげないといけないね。ああ、僕達は何度も味わっているから、言ったところで意味は無いよ。特に夜叉との戦いなんて、相手も同じぐらいの身体強化を当たり前にしてくるからね。僕達でさえ負けたと思う勝利でしかないんだ」
「まあ、お前さん達が夜叉と戦う事は無いだろうが、正しい身体強化が広まっていくと殺される可能性は増えていくぞ? 短時間の身体強化でも、上手く使えば相手を殺せるからな? 気を付けろよ」
「「「「「「「「「………」」」」」」」」」
どうやら王女組にも似た様な慢心はあったらしいな。自分達だけが使える訳じゃないんだ。自分が使えるなら相手も使える。そういう前提で物事を見ないと危ないんだが、まだそこまでの危機感は無かったようだ。
今の内に危険の元を修正できたと思えば、悪い事じゃないか。それにしても、俺達の方が慢心していないというのもな。ダンジョンの最奥まで攻略したり、其処で訳の分からない相手と戦っているからか。
神様かシステムの悪ふざけにしか思えないのも出てくるけど、それでも俺達にとって良い緊張感になってるのかね?。
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1631終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2906枚
大銀貨1713枚
銀貨2630枚
大銅貨1186枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




