1622
俺はエイダと並んで傭兵ギルドへの道を歩いているのだが、周りの人達が男女関係なくエイダに見惚れている。そのうち治まるし慣れるとは思うが、それまで騒がれそうな気がするなぁ。それでも拠点としている町だからな、捻じ伏せて黙らせるか。
他の町なら面倒なんでさっさと移動するかもしれないが、拠点としているルーデル町で騒がれても困る。そのまま歩いていき、傭兵ギルドの扉を開けた。中に居る連中は相変わらず入ってきた者を一斉に見るが、俺達は気にせずミュウさんの所へ行く。
「ミュウさんお久しぶり。ここに銀貨1枚置くからエイダの傭兵登録を頼むよ」
「………」
「ミュウさん! 傭兵登録を頼む!」
「え? あ、はい! 傭兵登録ですね! 少々お待ち下さい!」
ミュウさんはエイダの顔を見て惚けていたが、俺が強く言った事で意識を取り戻したらしい。他の受付嬢はそこまでではなかったのに、何故あそこまで心ここにあらずな感しだったんだろう。もしかして女性好きなのか……?。
勝手な想像で決め付けるのは良くないな。こんな下らない想像は止めておこう。ミュウさんが登録用紙を持って来たようだし、エイダは読み書きなどは全く問題無いので教える事も無い。それにミュウさんが何故か熱心に教えているので、任せておこう。
どうやら書き終わった様で、エイダがミュウさんに紙を渡しているが、それを見たミュウさんが俺にジト目を向けてきた。いったい何故そんな目を向けてくるのかは知らないが、俺達は不老長寿が集まってるだけだぞ。
「えっと、エイルアーダ・ユル・ディカストルさん? ですか……。お名前を聞くに貴族の方かそれに近しい方な気がするんですが、サキュバスの不老長寿の方って大丈夫なんですか? 確か異性を強力に魅了するんですよね?」
「それは勘違いをしておる。確かに力は使えるが、それは【誘惑】の力だ。誘惑は意識を誘導するような力での、その後は己の手練手管で男を篭絡せねばならん。自在に相手を動かしたりする力など、神以外には持っておらんよ」
「は、はぁ……そうなんですね。何というか、話し方が古風といいますか、変わった方ですね。貴族のような感じではなくて、シュライアさんやアルメアさんに近い方なのでしょうか? 不老長寿の方ですし」
「エイダはエイルアーダ王国初代女王だよ。今はエイルアーダ皇国として更に版図を広げたが、その原点とも言えるエイルアーダ王国の初代女王陛下となる。ちなみに350年ほど生きているらしい」
「うむ。旦那様の仰る通り、私はエイルアーダの初代女王だ。国の名前と間違えるかもしれぬので、気軽にエイダと読んでくれればよい。こちらの大陸では知られておらぬであろうし、堅苦しい事など好まぬ。女王になる前は、単なる町娘でしかなかったのだ」
「………わ、分かりました。エイダさん、ですね……。少々お待ち下さい。今、木札の作成中ですので、終わり次第お渡し致します」
「あい分かった。急がずともよいので、確実に頼む。何故か心ここにあらずという顔をしておったのでな」
「まあ、エイダが綺麗だからしょうがない。少しの間は騒がしいだろうが、その都度叩き潰せば落ち着くだろう。バカは幾らでも湧いてくるだろうが、それでも潰すしか方法がないからな」
「また、そんな事を……。まあ、私達受付嬢も仕事に行けばいいのにと思う事はよくあります。何故仕事に行かず、傭兵ギルドに屯するのか理解出来ませんしね。傭兵なのに何をやっているのか知りませんけど」
「何もしていないからギルドに居るんじゃないか? そもそも金の無い奴は依頼か狩りに行くし、金のある奴は遊んでいるか寝ているだろう。毎日わざわざ朝っぱらからギルドに来る理由が無い。ギルドの仕事をしているなら分かるがな」
「ですよねぇ。毎日同じ人が、何故か朝から居たりするんです。私達の間でも話に上るんですよ。あの人、また居る……って。当たり前ですけど、良い意味なんて欠片もありません。毎日居るのに何もしている様子が無……っと出来たみたいです」
ミュさんは裏にエイダの木札を取りに行き、戻ってきて基本的な説明を始めた。どのみち簡単な決まりがあるだけなので難しい事など無い。それもサラっと済んだので、俺達はギルドを出て戻る事にした。
何故かギルド内がおかしな雰囲気になっていたが、俺は気にしていない。結構な悪意と敵意が俺に向けられていたが、威圧を向けたら途端に萎んだなんて俺は知らないよ。さっさと宿に戻ってゆっくりしよう。
宿に戻ると、蓮とイデアがテーブル席に座って麦茶を飲んでいて、女性従業員が看てくれていたようだ。女性陣は女将さんや王女組と何やらテーブル席で話している。女将さんは妊娠してて、お腹が大きくなっているんだから気を付けてほしい。
安全に座っているからいいけどさ、何かあったらと思うと怖いよ。まあ、今は皆と楽しく喋っているみたいだから、野暮な事はいちいち言わないけどさ。とりあえず帰ってきた事を言っておこう。
「ただいま。盛り上がっているところ悪いけど、エイダの登録証は無事に発行されたよ。当たり前だけどさ。後、何故かミュウさんがエイダを見て固まってたな。………お前等もか」
俺が念力を込めて手を叩くと、王女組は正気に戻ったらしくビックリしていた。エイダが美人すぎるからだろうが、王女組まで見惚れるって凄いな。俺もそこまでだとは思っていなかった。サキュバスなのに男女関係ないな?。
「………あの、驚くのは当たり前だと思いますよ。ここまで美しい方を、今まで見た事がありません。角と目の色からアルエルと同じサキュバス族の方だとは思いますが、それにしてもアルエルが木っ端と思えるほど美しいですね」
「まあ、あの子はどちらかと言うと可愛い方のタイプだから、この人の様に美人タイプじゃないけどね。それにしても、ちょっと桁違いすぎて笑うしか出来ないよ。王女という立場が霞むけど、どうしようもないね、コレは」
「ええ、そうですね。何と言いますか、立場とか地位とかが何も意味を為さない美しさって、本当に存在するんだと見せ付けられています。ここまで美しい方が居ると、どうにもなりませんね」
「ああ。全くもってその通りなのだが……醜い嫉妬を一身に受けそうでもある。正直に言って、大丈夫なのかと言いたくなる程だ。ここまで美しいと、その分の妬みや嫉みも凄かろう」
「まあ、そのような事は慣れているので気にはせぬ。どのみちサキュバスの手練手管を使う以上、危険であった事は1度や2度ではない。立場を得てからは無くなったが、それまでに体や命を狙われた事は何度もある故にな」
「「「「………」」」」
リンデ、リヴィ、キューレ、カイリは急にエイダを訝しみ始めた。先ほどの喋り方で、何となく地位のある人物なんじゃないかと思ったようだ。間違ってはいないんだが、まずは座って落ち着いて話していこうか。
「各国の王女がそんな顔をするのは良くないと思うよ? だから止めな。まず、そこに居るのはアタシ達の仲間になったというか、アルドの新しい女になったエイダさ。で、アンタ達が訝しんでる通り、王族だ」
「王族……の方ですか。はじめまして、私はリンデリア・エッド・ガイアルムと申します。ここガイアルム王国の第三王女です」
「私はリヴィアーテ・ヴィル・ラグナンド。ガイアルムの北にある聖王国ラグナンドの第一王女だったよ。今は王妹だけど」
「キューレ・ウィム・マールと申します。ガイアルムの南東にある商業国家マールの王妹です」
「私はカイルリア・ゼオル・ディザルオンという。ガイアルムの東、ディザルオン帝国の第二皇女だ」
「私ら下っ端が自己紹介する必要があるのか分からないけど、エイルズだよ。ディアーナ様の故郷である、魔眼族の里出身の傭兵で、今は王女様方の護衛だね」
「私はザラ・シャンティです。シュライア様やアルメア様の故郷である、吸血鬼族の里出身の傭兵で、エイルズと共に王女様方の護衛をしています」
王女組の紹介が終わったので、次はエイダの紹介か。驚くんだろうなぁ……。
▽▽▽▽▽
1622終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2906枚
大銀貨1713枚
銀貨2636枚
大銅貨1256枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神銀の錫杖
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
神銅の数珠2個
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




