1609
丸まって転がってくるタンブルウィードが地味に面倒臭い地形だ。アレって絶対に【火魔法】使ったら、燃えながら転がるよな? それぞれの魔法を使っても邪魔されて威力が減衰するだろうし、近接戦闘時にぶつかってこられても邪魔だ。
大きな威力があったりするわけではないだろうが、地味に厄介である事は想像しただけでも分かる。そんな地味な嫌がらせの層を北に進んで突破した。転移紋の方向が素直だが、これは俺に邪気を【浄化】させたいからシステムがこうしてるんだろう。
初めてダンジョンに入った時とかは、もっと転移紋の位置が分かり難かったが、いつからかは分からないがとても簡単になった。邪気を【浄化】するのが目的だし、ダンジョンの目的も浄化させる事だからな。難しくしてもしょうがない。
6~10層を突破し、次は11層へと進む。今度はどんな層なんだと思ったら草原だった。ただし、久しぶりの雑草地獄が見えている。背の高い雑草が大量に生えていて、公家レベルの厭らしさが滲み出ている層だ。
久しぶりの地形にゲンナリしながらも北西に進んで行き、転移紋に乗って次の層へ。11~15層を突破し、次は16層だ。今度はマシかと思いきや、16層は山の地形だった。土と岩ばかりの山だけど……。
そのうえ珍しく、層の全体が山の地形だ。普通は小山が幾つもあるのが山の地形なのだが、この層は違っている。ただし同じような景色と傾斜が続いているので、地味に居場所が分かり難い。そのうえ、上から強襲してくる奴が旋回している。
あれはスカイスピアーか。槍鳥じゃないが面倒臭いハゲタカだ。……で、岩山にはロックリザードとロックスネーク。本当に面倒臭い地形だな! この2匹は食えない事で有名な魔物だ。この層もさっさと走り抜けよう。
上空から強襲してくるハゲタカを【念動】でロックリザードにぶつけたりしながら進む。大きさはロックリザードが尻尾も含めて2メートル。ロックスネークが全長1メートル50センチほど。
ただし小さい所為で数が多い。食べられない奴が無駄に多いという、やっぱり面倒臭い地形だった。食べられるのはスカイスピアーぐらいだが、普通の狩人だとアレが1番面倒で厄介な相手だろう。本当に嫌味なダンジョンだ。
16~20層を突破し、そろそろ昼食にしたいところだが次は……森か。どんな嫌がらせか分からないが、少なくとも脱出紋の近くはモンスターも近寄らないので食事にしよう。今日の昼食は竜肉だ。
エリアとフォルには饅頭を作ってもらい、子供達とメルには海老と蟹と野菜のスープを作ってもらう。俺は大飛竜の肉の塊に香辛料を満遍なく塗したら、じっくり丁寧に焼いていく。エイダは肉が浮いている事に驚いているが、皆の目は釘付けだ。
すまないが料理組はちゃんと料理をしてくれ。止まったまま居られても困るからさ。そうそう、ちゃんと料理してくれないと昼食が遅れるだけだ。ゆっくりと焼かれていく竜肉から暴力的な香りが広がるが、その匂いに陶酔しかかっているのが1人いる。
やはり慣れていないからだろう、仕方がないし邪魔でもないので放っとこう。竜肉の焼きが終わったタイミングで饅頭も終わった。2度目の饅頭を蒸篭にセットして、それじゃあ食べようか。いただきます。
「あ……あぁ……。何という事………。こんな肉が、この世にあったなんて………」
「ん~~~!! やっぱり、りゅうのおにくはおいしい!! きょうは、だいひりゅうだけど、かむとおにくのあじがつよくてすっごくおいしい!!」
「また蓮の語彙力が低下してるな。ついでに話し方も幼くなっているが、食事の時しかならないから別に良いか。ついでに美味しい物を食べた時しかならないし」
「まあ、そうですね。そこまで興奮する気持ちも分かりますけど、ボクはならないので不思議です。何で蓮はああなんでしょうか?」
「さあねえ。あれが蓮の個性なんだから、あれで良いんじゃない? 自分らしくあるっていうのは、ある意味で何も考えないという事でもある。面倒臭いものや理性を全部無くした先にあるのが、本当の自分だとも言えるからね」
「そこに何があるかは人それぞれですが、大抵は自分の根源的欲望がありますね。それぞれの者によって違うだけで、本質的には人間種というのは欲そのものなのでしょう。だからこそ抑える理性が大事なんですが」
「その辺りが正しく理解出来ているなら、欲のままに動いたりしないものさ。そこで欲のままに動くなら人間種ではなく唯の獣だからね。人間種も獣だと言うなら、自然に帰ればいいんだよ。そんなヤツ」
だんだんおかしな方向に向いてきたので、話を変える。ダンジョンの話をしても厭らしいダンジョンなのでイライラするだけだし、ここは料理の話にでもしておこう。竜肉の話題ならおかしな方向へ向かないだろう。
その後は良い雰囲気で美味しく昼食を食べ、英気を養った俺達は片付けを終えて出発する。この森にはどんな面倒が待っているか分からないが、進まなければ始まらない。
1~5層は北東、6~10層は北、11~15層は北西、16~20層は西。ここは南西だと思われるので、そちらの方角へと進んでいく。森なので見通しが悪く奇襲を受けやすい。
もちろん俺達は【気配察知】が使えるので、地形に潜まれても敵を発見できる。なので奇襲を受けたりはしないが、進めども進めども転移紋が見つか……った。限界ギリギリの場所に転移紋があるのかよ。
この層は特に厭らしい場所など無かったから変だとは思ってたんだ。まさか南西の1番端に転移紋があるなんて、本当にここのダンジョンは面倒臭いな。分かったから我慢するが、無駄に疲れる構造にしやがって。
21~25層を突破し、次の26層に到着すると何の変哲も無い平原だった。周りに居るのはネイルラビット? ……ここ、26層だよな? 他のダンジョンに転移してないよな? 何でこんな奥でネイルラビットが出てくるんだよ。
皆もおかしな状況を警戒して、周りをキョロキョロしている。ネイルラビットに似た何かじゃない、あれは間違いなくネイルラビットだ。俺の【探知】は誤魔化せない。いったい何故?。
そう思った矢先、とんでもなくドス黒い何かを南から感じた。皆も硬直しているし、エイダは気絶と同時に失禁してしまっている。しかしそれを笑えないくらい、おぞましくドス黒い何かが南に居るぞ。
子供達とエイダと木馬を【浄化】してから起こし、俺達は慎重に南へと行く。この層の転移紋は南にある筈だと思ったら、転移紋の前にドス黒い猪のようなのが居る。そいつがこちらを見つける前に、俺は皆に逃げるように言って前に出た。
アレは間違いなく今までの中でも最上位に入る。それほどの邪気と呪いに塗れている奴だ。そいつが動き出すよりも先に、皆の直線上から外れた俺は【浄化】の権能で先制攻撃を始めた。しかし、相手も大人しく浄化されてはくれない。
【浄化】を攻撃だと思った相手は、凄まじい速さで突進してきた。俺が回避するのに苦労するほどの速さで突っ込んできた猪は、怖ろしい速さでターンし、再び俺に突進してくる。正直に言って、戦い方は酒呑童子の時と同じにならざるを得ない。
回避しつつ勾玉を使い、合間に【神聖世界】を使う。相手が弱ってくれれば一気に決めるんだが、【神聖世界】は結構な魔力を使う。勿論4、5回で使えなくなるほど俺の魔力は少なくないが、それでも権能とは違って限度があるのが苦しい。
勾玉の吸引と、4回目の【神聖世界】でやっと弱ってくれたので、そこからは一気に【浄化】の権能で片付けた。最後に【集中】を使い、空間まで真っ白にして終わったが、幾らなんでもコイツはヤバイだろう。
酒呑童子よりはマシだが、それでも極めて強力な個体だった。俺はそいつに近付くと腹を裂いて心臓を取り出す。それをエイダに食べさせるのだが、女性陣がさっさと羽交い絞めにしてくれた。
無理矢理に食べさせ飲み込ませると怒り出したものの、急に倒れて痛みに呻き始める。どうやら相当の人体改造が行われているようだ。まあ、あれほどの邪気と呪いに塗れていた奴の心臓だ、それだけのパワーが溜め込まれていたんだろう。
俺はエイダの痛みが治まるまで、解体した皮でエイダ用のブーツを作っておこう。
▽▽▽▽▽
1609終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1795枚
金貨2908枚
大銀貨1713枚
銀貨2647枚
大銅貨1598枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




