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1606




 「まったく、情けない。皇帝に即位して数年しか経っておらぬとはいえ、ここまで心も頭も弱いと心配になってくるの。周りの者はいったい何をやっておるのだ。厳しく教える者はおらんのか? それとも媚び諂われて当たり前とでも思っておるのか?」


 「おぶっ……そんな、事はありません。……宰相からも厳しくされておりますし、媚び諂う者など幾らでも見てきました。それが分からぬ等という事はありませぬ。皇帝の責は、そのような甘いものではありませぬ!」


 「ならば何故こうなった? おのれが甘い物の見方をしておるからであろうが。だからこそ、無為に騎士の命が失われたのだぞ。おのれが不老長寿の事も満足に知らず、己の命が握られておる事さえ知らなんだのであろうが」


 「先ほども申した通り、私はエイルアーダ皇国の皇帝ですぞ! 皇帝としての面目があります! エイルアーダのトップとして、媚び諂えと言う気ですか!?」


 「ならば不老長寿の面目を踏み躙ったのは何故だ? 相手にも当然面目があろうが。それも考えずに処刑などとホザき、その結果が今ぞ。皇国の皇帝として、責任をどうやって果たすつもりだ」


 「………」


 「下らん。所詮は子供の浅知恵か。それが調子に乗っておると言う以外に、どう表せというのだ。皇帝になれば何でも叶う訳ではないぞ。皇帝は国の面目を背負うが、不老長寿は神の面目を背負う。神の面目だ。私のように弱いならともかく、強者が引く事は無い」


 「「「「「………」」」」」



 どうやら皇帝も含めて、ようやく俺が絶対に引かない理由を正しく理解出来たらしい。神の面目は、たかが1国の面目より遥かに重いんだよ。自分がようやく”何を”傷つけたのか理解したんだろう、急に皇帝はこちらを見なくなった。



 「アタシ達はガイアルム王国という東の大陸にある国を拠点にしているけど、向こうはもうちょっと危機感というか、小競り合いとか戦争とかあるけどね? 大国だからなのか、それとも東にしか敵国がないからなのか……」


 「ああ、確かにそっちかもしれませんね。東にしか敵がいないというのは、分かりやすいですし対処もしやすいでしょう。その御蔭で危機感が薄いと言われれば、分からなくもありません。長きに渡って対処が出来ていると、敵を侮るようになるのでしょう」


 「何だか引っ繰り返されそうね? いつだって敵は自分なのだけれど、そういう危機感も薄いのでしょう。平和が長く続くと平和ボケするらしいし、どんどん危機感が薄れるらしいから、ある意味では仕方のない事なのかも……」


 「確かに。危機感が無い結果、致命的な失敗をやらかしそうだ。自分の甘さの所為で、後世の歴史書には<愚帝>と書かれたりするんだよ。歴史においても、本人は失敗をしようと思って行動などしていない。正しいと思って行動した結果、大失敗をしているんだ」


 「甘いという事は、見落としを起こしやすいという事だ。危機感が無いから大事なものを見落とす。その結果、現状を正しく理解せずに行動を行い、派手に失敗する訳だな。アルドに対して処刑などと言ったのが、正に現状を正しく認識していない事の証明だ」


 「………」



 皇帝がぐうの音も出ないほどボッコボコにされているが、メイド達は誰1人助けようとはしていない。むしろ、いい気味だと言わんばかりの態度をしている。これは皇帝が嫌われているのか? それとも情けない皇帝として見限られている?。



 「うん? ああ、私の側近達の事か。この者達は私の商会のエリート達なのだ。私は女王を辞した後で自分の商会を立ち上げてな、それ以降様々な者達の助けで商会を維持出来ているのだが……。いつ頃からか私を守る訓練まで始めるようになり、気付いたらこうなのだ」


 「特級騎士とかいう者じゃなくて、商会の従業員なのかよ。そこにいる女性達、間違いなく国の特級騎士より上だろ。そこまで鍛える意味も分からないが、命を狙われてるのか?」


 「命を狙うというより、荷を奪わんとする者はどうしてもいるのでな。それの護衛も含めた力なのだ。そこまで強くなくても……とは私も思うが、強さがあって悪い事は無い。商会を辞めた者も、狩人として活躍していたりして名を聞く事もある」



 そんな話を聞きながら、俺は使ってもいいとメイドが言っていた部分を使い焼き場を作る。子供達がお腹を空かせてるんで、そろそろ昼食にしたい。笑い終わった子供達は冷静になったのか、一斉に「お腹が空いた」と言い出したんだよ。


 俺達も空いていたし丁度良い。そう思って料理を始めた。魚醤や鰹節で味付けした調味液にウインドチキンの肉を混ぜて、エリアに炊き込みご飯を炊いてもらっている。フォルには骨で出汁をとった野菜スープ、子供達とメルにはポテトサラダ。


 そして俺は全員分の玉子焼きを作っている。肉は炊き込みの方に沢山入っているので、これ以上は必要ない。それに竜の肉はアレ過ぎて出せないんだ。これぐらいの料理で勘弁してもらおう。


 何故かメイドが此方を見ながらブツブツ言っているし、初代はガン見してくる。良い匂いがするから分からなくもないが、もうちょっと隠そうな君達? さすがに淑女の仮面が剥がれてるよ、食欲で。


 仕方ないので初代のと子供の分も作ってやり、全員で食べる事にした。それじゃあ、いただきます。



 「ほう! ライはこのような料理にも出来たのか。それにしても美味しいものよな。ここまでの料理は早々味わえぬ。皇帝め、いつの間にか黙って居なくなったが、むしろ都合が良かったわ。アレに食わせるなど勿体ない」


 「おいしい! 何か分からないけど、味付きのライが凄くおいしい!! この黄色いのもおいしいし、食べたのは初めてだ」



 この子は一応男爵家の子じゃなかったか? 別に大した物は使ってないのに美味しいを連呼するなぁ。あんまり実家じゃ良い物を食べさせてもらえなかったんだろうか? それとも珍しい味だから喜んでるんだろうか?。



 「そういえば商会の皆に言うておかねばならん。皆、よく聞け。我が商会はファティア、そなたに譲る。以降はそなたの好きにするがよい。私は愛神様の命に従い、新たな旦那様と共に行かねばならん。ただし、この子だけは頼む。守ってやってくれ」


 「!? ………分かりました。謹んでお受け取り致します」


 「新たな旦那って、まさか……。まあ、今さらか。不老長寿ならしょうがないって言ってたら増えていって、気付いたらこの状況だからねぇ。今さら1人増えたところで大して変わらないか」


 「まあ、1人増えたところで敗れる事に変わりありませんし、結果として大差無いと思いますよ。あらゆる技を駆使するアルドには勝てませんので……。まあ、勝つ意味も無いですけど」


 「念神からの【念話】で既に知ってたけど、名前をどうするかな。他の国でエイルアーダと呼ぶのはマズいし……。皆が呼んでたのと同じくエイダと呼んでいいか?」


 「うむ。そのように呼んでほしい。私もアルドと呼ぼう。それとも旦那様と呼ぶか、もしくは貴方様と呼ぼうか? ……嫌われそうだから止めておこう」



 これでエイダが加入して9人か……。大所帯になったなぁ。ついでに鍛えなきゃいけないし、邪生の心臓を食べさせなきゃいけない。特に40代くらいの見た目である以上、結構食べさせなきゃ魔力も闘気もそこまで増えないだろう。


 先ずは皇都近くにあるダンジョンへ連れて行くか。大して役にも立たないだろうが、雰囲気ぐらいは把握してもらおう。特に最奥を経験させておきたい。


 遅い昼食後、初代ことエイダは着替えに離宮に入り、動きやすい服装で出てきた。随分庶民的な服だなと思っていたら、市井に紛れて平民街を見て回る事があったらしく、その時の服装だそうだ。


 時代劇みたいな事やってるなぁ……。<暴れん坊女王>、もしくは<遊び人のエイダさん>だろうか? ……どっちもエイダには合わないな。



 ▽▽▽▽▽


 1606終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1795枚

 金貨2908枚

 大銀貨1713枚

 銀貨2651枚

 大銅貨1626枚

 銅貨50枚


 神鉄の刀

 神鉄の槍

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神金銀の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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