1605
何だか急に余計な事になってきたな。そもそもこの国の建国女王だぞ? 俺について行かせるとか国が許さないだろうし、絶対に揉め事になるに決まってるじゃん。また面倒な事を俺がするのかよー。勘弁してくれませんかね?。
皇都の外に出て、適当な場所に穴を掘って首から下の死体を放り込み、【浄炎】で焼いた後【粉砕】して埋める。さて、そろそろ皇城に戻るか。俺は身体強化で一気に駆け抜け、皇城の奥にある離宮へと行く。
皆の反応を【探知】で拾えば簡単に位置は分かる。誰にもバレる事無く離宮まで進み、隠密の技を解除したら、庭にある白い椅子に座っている皆に声を掛ける。周りに居る数人のメイドが慌てて隠し武器を抜いたが、初代がそれを止めた。
「すまぬ。急に現れた故にな、この者達も殺気だってしまった。ところでヴァルンドル侯爵家は如何なったのだ? そなたは根切りにすると申しておったが……」
「とっくに根切りにして執務室の上に首だけ並べてある。首から下は皇都の近くの何処かに埋まってるよ。灰と骨だけになってな。不老長寿に喧嘩を売るという事を、この国の奴等は理解していないらしいな」
「申し訳ない。言い訳ではないが、私は戦う力など碌に無い。それ故に妙な力を持つ程度の小娘と見られてきた。実際、舐められたのも1度や2度ではない。あくまでも【誘惑】の力が使える程度だからな」
「その力も絶対という訳じゃなさそうだね。強い力なら、アンタが舐められる事なんてありえないだろう? なんたって建国女王なんだ。にも関わらず舐められたって事は……」
「そうだ。もともと私は町娘でしかなかった。義憤に駆られ、【誘惑】の力を使って前の国を打倒したのが運の尽きよ。【誘惑】の力はあくまでも誘導する程度でしかない。絶対に相手に言う事を聞かせるなど、神々しか無理な事」
「でしょうね。つまり、貴女は自分の体を利用して前の国を打倒したと。そうしたところ、建国者にされてしまい苦労をする羽目になった。……何故、他の者は建国者になろうとしなかったのです?」
「ヴァルンドルだ。あの男が1番上は苦労ばかりで実入りが良くない。女王陛下に即位してもらい、我等は下で楽をするべきだと言い出したのだ。その時は冗談で言うておると思っておった」
「冗談だと思っていたら、本気で女王に即位させられたと……。何だか呆れてしまう話ねえ。建国の話がそれでいいのかしら? と思うけれど、実際にはそんなものなのかも。所詮、人間種が作っているのだし」
「かもしれん。ヴァルンドルは私の下で最後まで忠を尽くし支えてくれたが、その理由は私との逢瀬だったな。それが取引条件だった。あの男、亡くなる1季節前まで私の下に訪れては抱いていた。少なくともヴァルンドルだけは本気で私を愛していたのだろう」
「それでも子供は作ってないんだろう? ……だろうね。君は建国女王になってしまったんだ。女王としては好きでもない男との間に子を生さねばならないから、仕方がないんだろうけど」
「あの当時は国も小さくてな。今の様な大きさになったのは随分後になってからだ。その時には忠義の家になっていたのだが、何処で間違えたのか……。ヴァルンドルの家も、結局は私を大した力の無い者としか思ってなかったのだろう」
「それは違います。初代女王陛下」
若い男……と言っても、30歳前後の人物と数人の騎士が近付いてきていたのは知っていたのだが、コイツもしかしてこの国の皇帝か? 初代の反応を見てもそんな感じだな。いや、ちょっと面倒臭そうにしているか?。
そいつは用意された椅子に座ると、初代が何も言わない事をいい事にペラペラ喋り始めた。ここは初代女王の離宮だという事を忘れているのか? 周りのメイドが明らかに落胆したような顔をしているぞ。
「ヴァルンドル侯爵は初代女王陛下と同じ力を持つ者が現れた為、その子供が我が国を打倒するのではないかと考えていたのです。初代女王陛下がされた様に我が国を打倒されては困る、そう言っておりました。私も止めたのですが……」
そう言って、この国の皇帝らしき奴はこちらを睨んできた。コイツの中ではヴァルンドル侯爵は忠臣で、俺はその一族を根切りにした者となっているんだろう。まあ、間違ってはいない。そこだけを見ればな。
「だからこそ、何としてでも国家転覆の芽を摘もうとしただけです。勿論、初代女王陛下への背信である事は分かっておるようでした。それでも、国家の忠臣として動いていた事は間違いありません」
「そうか。だからと言って、何もしていない幼子を殺してよいなどという事は無い。そなたが何を考えておるかは知らぬが、この子はここに住まわせるし手出しはさせぬぞ」
「ええ。私はそもそもヴァルンドル侯爵のやりように納得していた訳ではありませんので。それよりも、我が皇城にてとんでもない事をしでかした者がおりますな。私としては、その者を処刑せねばなら……」
処刑という単語が出た瞬間ウチの女性陣が殺気だったが、それよりも早く俺はこの阿呆の首に神鉄の刀を添えた。既に触れているので動けないのだろう。言葉が完全に止まってしまっている。周りの騎士も慌てて剣を抜くが遅い。
「お前達が俺に切りかかるよりも遥かに早く、このクズの首が落ちるぞ? 試してみたければ試せ。どのみち敵対者は皆殺しだ。俺達不老長寿を舐めた者の末路は変わらん」
「お、お前達……剣を、剣を仕舞うのだ。……早くせよ、剣を仕舞え!!」
そう言うと、慌てて剣を鞘に戻した。コイツは阿呆なのか? 俺が刀を首に添えた理由は、騎士が剣を抜いたからじゃないぞ。俺を処刑するとホザいたからだ。何なんだコイツはと思っていたら、周りのメイドは深く溜息を吐いている。
「な、何故この剣をどけぬのだ。私は剣を仕舞えと、そう命じたではないか……」
「おのれは阿呆か? 貴様が不老長寿を処刑などとホザいたから、そうなっておるのだろうが。騎士どもが剣を抜くかどうかなど関係無いわ。今代がここまで頭が悪いとはな。下らぬ言葉1つで死ぬのだぞ、理解せい!」
「し、しかし……。私はエイルアーダ皇国の皇帝ですぞ。その私にこのような仕打ち、決して許されるものでは……あ、ありますまい」
「遺言はそれだけか? ………もう1度だけ聞いてやる、遺言はそれだけか?」
俺がそう言った後、周りの騎士が剣を抜いたが、一応それを見届けてやってから5人の騎士の首を刎ねた。血がシャワーのように噴出しているが、それを見て皇帝が「ゲーゲー」吐いている。
初代もメイドも白い目で見ているが、付き従っていたメイドが子供の目を手で隠してくれていた。ちなみにウチの子は何の問題も無い。死体にも慣れているし、こんな光景も何回も見てきている。
「ウチの子供ですら吐く事も無く普通にしているというのに……所詮は戦争も知らん平和ボケしたボンボンか。本当に無様で憐れだな。皆殺しと言った事の意味すら理解していないとは……」
「私が女王をしていたエイルアーダ王国の頃にはそれなりに戦争もあったが、様々な国に打ち勝った今は兵力も多い。戦争を軽んじる者も増えてしまったが、まさか今代の皇帝がここまで酷いとは。宰相に教育しろと言うておかねばならんな」
「おぅぐ……私は皇帝になるべく、研鑽をヴォエーーッ!!」
吐くか喋るかどっちかにしろよ。この国は皇帝が他国の者を笑わせる国なのか? ウチの子達が笑い出して止まらなくなったろうが。先ほどの「ヴォエー」がツボに入ったらしく、蓮もイデアも笑いが抑えられないみたいだ。
まあ、落ち着くまで笑ってなさい。無理に止めようとしても止まるもんじゃないからさ。……それにしても、初代の近くに居るメイドは全員騎士より優秀だな。特級騎士か、それより上なのは間違い無い。
初代の近くに最高戦力が揃っている。普通なら皇帝を優先する筈だが、何か理由がありそうだ。もちろん聞く気は無いというか、掘り下げる気はない。
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氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
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王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
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王角竜の剣帯
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海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
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白い大型のアイテムバッグ




