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 部屋に入ってきたフヨウに水皿を出し、神水を入れてやる。フヨウは吸い上げると、胡坐の中に入って出てこなくなった。というより微動だにしないな。そんなフヨウは放っておき、俺は胡坐を掻いたまま爪を切る。


 最近伸びていたので、切ろうかどうしようか悩んでたんだよな。こんな静かな時間が日中に訪れるとは思わなかったが、ゆっくりとした時間をフヨウと過ごそう。そうやって静かな時間を過ごしていたら、急に子供達が部屋に入ってきた。


 それも狙われているインキュバスの子まで来てるじゃないか。こっちに来て大丈夫なのか? そう聞くと、「こっちに居た方が襲撃者を欺けて安全だ」と初代が言って許可したらしい。向こうは女性同士の話し合いだそうだ。


 まあ、同じ不老長寿の女性だから気が抜けるんだろう。ダリアもこっちに来てるし、子供達はトランプで遊び始めた。好きにしていいけど、あまり大きな声で騒がないようにな。居場所がバレるから。


 そう言うと、口元に人差し指を当てて「シーッ」と言っている。俺がやった事を真似して遊んでいるようだが、トランプで遊ぶんじゃなかったのか? その一言を聞いた子供達は慌てて遊び始めた。ころころ興味が移ってるなー。凄く子供らしくて良い事だ。


 遊んでいる子供達の横で爪を切っている俺。なんだか悲しくなってくる光景なので、早めに終わらせて子供達と一緒に遊ぶか。ダリアさんよ、俺が切った爪を弾いて遊ぶの止めてくれませんかね? 四方八方に飛んだじゃないか。


 俺がダリアを注意しているとフヨウが転がって吸収してくれた。ありがとう、フヨウ。迷惑掛けたんだから、フヨウに「ごめんなさい」しような。ダリアはフヨウの前に行って「ニャーニャー」言っているので謝っているんだろう。


 それを見たインキュバスの子が固まっているが、ダリアやフヨウは人間種の言葉が分かるからな。こんなもんだ。その説明を蓮とイデアがしているが、ポカーンとしながらも頭だけがコクコクと動いている。あれは理解してないな。


 そのうち再起動したのか、無かった事にしてトランプで遊び始めた。この子からは【誘惑】に似たものは発されてないし、特に問題無いと思うんだがな。何よりサキュバスもインキュバスも魔人族の一種だし、他の国でも差別なんてされてないぞ。


 原初に近い見た目とはいえ、何でこの子の命が狙われる? 男爵家なんだから権力でどうにでも出来る筈だし、この子を閉じ込めておけば被害なんて出ないだろう。にも関わらず、ここまで執拗に殺そうとするのは変だ。裏に何がある?。


 護衛の騎士の1人は幼児性愛的なことを言っていたが、だったら余計に殺さないだろう。何か所々がおかしい。妙に歪な、それでいて殺そうとする。いったいどういう事だろうな? 俺ってミステリーとか推理物って苦手だから、正直困った。


 皇都に居る貴族が関わってそうだし、そいつの名前を炙りだして夜中に吐かせればいいか。いちいち推理とか面倒だし、いつも通り力技で解決しよう。子供達と遊びながら、そんな事を考えていた。


 夕日が出てきたので1階に下り、店員に大銅貨6枚を支払って夕食を注文する。振り返ると女性陣も下りてきたので、追加で8枚を支払い子供達と同じテーブル席へと座る。初代は隣のテーブルだ。


 ウチの女性陣のうち6人が一緒だから大丈夫だろう。何故かエリアとフォルだけこっちに来たが……。決めてたのかね? とりあえず、料理が運ばれてくるまで適当に雑談をして待つ事にする。


 入り口近くの席から悪意が飛んでくるが、もしかして裏組織の連中か? 初代に対しては飛んでない、という事は……やはり狙いはこの子か。インキュバスの子は気付いていないので、知らないまま居てもらおう。その方が良い。


 ウチの子達? 2人とも気付いてるよ。そこまでボケてないし、敵意や悪意に関しては感覚で理解出来ている。そもそも子供達は【気配察知】が使えるので、そこから敵意や悪意を察知しているんだろう。2人とも優秀だからな。


 運ばれてきた夕食を食べていると、入り口近くの奴が席を立った。おそらく毒殺出来たと思ったんだろう、食べる前に【浄化】したけどな。しかし、ここまでされたって事は宿もグルだぞ。金で抱き込まれたか?。


 どっちでもいいと言えば、どっちでもいいのか。聖人化は決定した訳だし。夕食後、それぞれの部屋に戻った後で初代の部屋に話しに行く。ノックをし許可があったので扉を開けようとすると、中に居たメイドが先に開けてくれた。


 子供達も含めて全員が部屋の中に入った後、即座にメイドに白い枷を着ける。尋問を様々したが、このメイドは白だったので謝罪しておく。初代はジッとこっちを見てくるので、白い枷を外しながら防音の魔道具を使ってもらい話を始めた。



 「すまないな、急にこんな事をして。実は先ほどの食事時、入り口近くから敵意と悪意を向けてくる奴等がいたんだ。その連中は、そこの子が食事をある程度した後に席を立ち出て行った」


 「それがどうしたのだ。そなたが私のメイドを襲う理由にはならぬぞ。私が納得するだけの理由を示せるのであろうな?」


 「もちろんだ。ちなみに俺は食事前に必ず料理を浄化する、自分で作った物も含めてだ。そして今日の夕食、その子の料理だけ何かを浄化した感覚があった。おそらくは毒か何かが含まれていた筈だ。前にも何度か似た様な事はあったんでな、間違い無い」


 「つまり、この子が食べてから外へ出た奴等が極めて怪しいと……。うん? この宿に泊まる事は前から決めてた訳じゃないよね? 何でここの食事に毒を混ぜられる……ってまさか!?」


 「裏切り者が内部に居るのか、それとも見張られているのか。どちらにしても近い者から疑うしかない。白い枷を着けられた以上、絶対に嘘は吐けないからな。つまり、このメイドは安全だと証明された訳だ」


 「ああ。この者の為にも、無実なら白い枷を使っておいた方が良いのですね。そうしないと疑われ続ける事になりかねませんし、そんな者が護衛対象の近くに居るのは危険です。疑心暗鬼は碌な事になりません」


 「成る程の。それが事実であれば、何処までこの子を殺したいのか理解に苦しむわ。原初と似た姿とはいえ、それは私も同じ。何故この子だけに、そのような事をするのか……」


 「狂人に何故って聞いても意味は無いよ。狂っている者に何故と聞いたところで、答えられるなら狂ってはいないさ。とどのつまり、まともな者と狂人は相容れないという結論で終わるんだよ」


 「そう……であるな。そういった者は過去にも居た。後味が悪く、遣る瀬無い思いがだけが残る者達。周りの者も巻き込んで不幸にしていくだけ。早めに始末する事だけが、被害を抑える唯一の手段か」



 初代も苦労してきたのか、その辺りは分かっているようだ。狂人なんぞ反省もしないし出来ない。野放しにしていれば際限無く不幸を撒き散らし、多くの者を巻き込むだけだ。真面目に誠実に生きている者達の為にも、早く処分しないとな。


 俺は神官どもと裏組織の連中に加え、宿の奴等も聖人化する事を伝える。聖人を理解していなかったので説明し、ついでに【浄化】の権能も説明し見せておいた。体中が綺麗になって大喜びしているが、メイドが1番喜んでいるのはどうなんだろう?。


 我に返ったのか急に黙ってお澄まし顔になったが、お前さんの主からジト目で見られてるぞ。それはともかく、聖人化については顔を引き攣らせながらも、「流石は神から賜りし道具」と感動していた。感動するような道具か?。


 俺としては浄神の怨念というか、様々な不満や怒りや憎しみが篭った道具だと思うがなぁ。そうでなければ根切りに”しろ”とは言わないだろう。流石に殺し過ぎるのは色々都合が悪いので、利用する方になったのはありがたい限りだ。


 初代や子供を守る為に、女性陣や子供達には初代と同じ部屋で寝てもらう事にした。なので布団を敷き、寝る準備をしておく。送風機と冷房も解禁させて、部屋の中を快適に変える。1番大喜びしたのは当然だが初代だ。


 子供とメイドがジト目で見ると直ぐに態度を戻したが、さっきの喜び様は子供と変わらなかったな。



 ▽▽▽▽▽


 1599終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1795枚

 金貨2908枚

 大銀貨1713枚

 銀貨2651枚

 大銅貨1678枚

 銅貨50枚


 神鉄の刀

 神鉄の槍

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神金銀の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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