0159
「何だい、そのスッカスカの鍬は? そんなの役に立つのかい?」
「これは備中鍬と言って、荒起こし用の農具だよ。湿った土なんかが付き難くて使い勝手が良いんだ」
「へぇー。でもムルーガに引かせる、大型の物の方が良いんじゃないですか?」
「それはブラウと言うか馬鍬と言うか……。結局同じなんだけど、大型の物じゃ細かい畑の端とか隅は無理だからな」
「そういう細かい所とかに使うのか。その為だけって言うのもどうなのかな?」
「さっきも言ったが土の質によるんだよ。湿った土は重くなりやすい。だから付き難くなっている物じゃないと、直ぐに疲れて耕すどころじゃなくなるんだ」
「あー……。つまりこれが必要な土質のところで使うって事だね?」
「多分な。俺としては依頼されたから作ってるだけだからさ」
「そう言えば、そうでしたね。いつもの癖で、アルドが作りたい物作ってると思ってました」
「アタシもだよ。何でこんな物が要るんだろうって、不思議に思ってた」
「私もさ。役に立つか分からなかったんだけど、依頼されて作ってるんだったね」
「これよりも良い農具をアルドは知ってるのかしら?」
「ん? ……急にどうしたんだ? まぁ、知ってると言えば知ってるが……。一応説明しておくと、知ってるけど作れないな。完全に技術革新になってしまうから、神様から怒られる」
「そう………農業が楽になればと思ったんだけど……」
「それなら【土魔法】を鍛えた方が手っ取り早い。元の世界の農業機械より、【土魔法】の方が優秀だからな」
「成る程ね。でも、農業の合間に【土魔法】の鍛錬をしろって言っても……」
「まぁ、聞かないだろうな。そんな暇あるか! って言われて終わりだろう」
「そうよねぇ。簡単に上手くいったりしたら、誰も苦労をしないわよね」
「子供達に教えるって手も、無い訳じゃないんだが……。その子達が大人になった時に、ある程度でも使えると楽になるとは思う」
「そうだね。それが今出来る事なのかもしれない。現実は簡単に変わったりしないからさ」
「それでも、少しずつでも良くしていかないと、何にも変わりませんから」
備中鍬を3本作った時点で材料が足りなくなり、後は会話をするだけだった。やっぱり被覆するだけの石より、全体を作る木の方が沢山必要になるなぁ。だが、明日で全て終わるだろう。
期限は10日あるとはいえ、早く終わらせるに越した事はない。……うん、2匹が寝たからね。気持ちは分かるんだが早速か? 朝からだっただろうに……分かった、分かったから!。
ズボンを引っ張らない! 羽交い絞めにしない! 自分で脱ぐから……分かった、分かった。もう好きにしなさい。何でこんなに性欲強いんだろうか? 毎日浄化してるのに。
毎日浄化してるから気持ちがリセットされてるのか? それとも邪生の心臓で性欲も強化されてるのか? 2匹にはそんな効果無さそうだし……よく分からないな。
【鋭覚】のみで優しく撃沈しておいた。浄化も早く終わらせて、今日はさっさと寝よう。おやすみなさい。
<異世界91日目>
おはようございます。今日は木を伐ってきて農具の残りを作ります。それで農具作りは終了だが、終わったら狩りにでも行くか。あんまり狩りに行ってないし、腕が鈍りそうだ。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャー」 「グルゥ」
浄水を出してやると美味しそうに飲んでいる。浄化はもう終わっているので、2匹とも綺麗になっていて元気だ。寝ている間も汚れるから、ちゃんと浄化しておかないとな。
「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」
「おはよう、皆」 「ニャッ」 「グルッ」
「今日は木を伐りに行くんだったね。アタシはどうしようかな?」
「一緒に行っても良いですし、お酒を飲んでても良いですし……」
「でも、2日連続で朝からお酒を飲むのも、どうなのかしら?」
「うーん。とはいえ、私達は何をするべきなのか? 4人だけで狩りに行ってみるかい?」
「それも良いかもしれないね。アタシ達はアルドに頼り過ぎてる気もするし」
「私達だけで戦うとどうなるのかも、知っておいた方が良いですしね」
皆は狩りに行く方向で決まった様だ。俺は昨日と変わらず農具作りなので、見ているだけなのは暇だろうしな。……まずは下りて朝食だな。食堂に行くと何故か朝早くからヴェルが居た。
食堂で大銅貨7枚を支払った後、ヴェルの話しを聞く。
「おはようございます。実はですね武器を追加で作ってほしいんです」
「………足りなかったのか? 結構多かった気がするが」
「商人の護衛で付いて来た傭兵が、ギルドで買って帰るんですよ。とはいえ、買うなとは言えませんし、村に落ち着く傭兵も居ますので……」
「気持ちはよく分かるけどね。大森林があるし山もある、そのうえ優秀な安い武器がある。となれば、他の所に行くにしても、村でお金を稼いでからになるだろうね」
「そうなんですよ。でも、その中で村に残ってくれる者も居るので、無碍には出来ません」
「そこら辺は知らないけどさ。作るのは前と一緒?」
「ええ。結構売れてしまって、あまり残っていないんです。本来は予備武器として置いておく分も売っているので、仕方ないんですが」
朝食を食べながら依頼を請けた。食後、部屋に戻って準備を整える。途中までは全員一緒だ。森の拠点への道まで来たら、俺は1人で木を伐り皆は狩りに行く。
木を伐り倒して圧縮した丸太を作成していき、全部で20本作成したら宿へと帰る。石はまだまだ余っているので作る必要は無い。宿の部屋に戻り装備を外して浄化する。
まずは昨日の続きである備中鍬からだ。残りの27本を作成したら村長の家へ。前に来た事があるので迷う事も無く、村長さんに渡し金貨1枚を貰った。
宿の部屋に戻って前回と同じグラディウス型の剣10本、短槍20本、メイス10本、戦斧10本を作る。途中で昼食を大銅貨3枚払って食べて、夕方前には全て終了した。
終わったのでギルドへ持って行こう。……ギルドに到着したので扉を開けると、床に倒れている男女6人とウチの4人が居た。また何かに巻き込まれたらしいな。
丁度ヴェルが居たので話し掛ける事にした。
「スマンが朝言っていた武器が作り終わったんで持ってきた。倉庫を開けてくれないか?」
「え? ……えぇ。分かりました。先に倉庫に行って下さい、鍵を持って行きます」
「了解」
俺はその場の雰囲気を完全に無視し、倉庫へと武器を持って行く。直ぐにヴェルが来たので、倉庫の中にしまい依頼は完了。大銀貨2枚を貰ったので、ギルドの建物へと戻る。
ミュウさんに手続きをしてもらっていると、何とかしてくれ! と視線を送られるが全て無視する。そもそも俺には関わりが無い事だし、手続きが終わるのを待ってるんだ。
何でよく分からん奴等を助けてやらなきゃならないんだ? 助ける必要も義理も無いぞ。
「このバカどもはどうするかねぇ?」
「私達をここまでコケにしてくれましたから、殺してやった方がいいのでは?」
「頭の悪いのって、これだから嫌いなのよ」
「幾らなんでも弱過ぎないかな。君達本当にランク7なのかい?」
「う……ぅ、こんなバカな………」
「バカはアンタ達だよ。高々ランク7如きが、何で調子に乗ってるんだい?」
「ですねー。しかもランク詐欺と言える程に弱いですし、どうなってるんでしょうね?」
「ランク7だもの。適当な貴族を利用したんじゃないかしら?」
「そういえば、ランク6が貴族に推薦を受けて、ランク7になるんだったかな?」
「そうさ。この調子だと、適当に寄生してきた奴等のチームかもしれないね?」
「寄生ですか、傭兵としてのプライドも無い連中の事ですね!」
何かノリノリで煽ってるなぁ。コイツ等はいったい何をやったんだろう?。
▽▽▽▽▽
0159終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨63枚
大銀貨83枚
銀貨50枚
大銅貨13枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
ヒヒイロカネの小太刀
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ