1589
朝食後、町の入り口へと歩いているが、皆に先ほど聞いた話を教えたら考え込んでいる。兵士の出発を遅らせる。わざわざ無駄に金を使ってまでやったとしたら、考えられるのはオールゲントを囮にするぐらいだろう。
それ以外なら辺境伯領に金を落とす為か? 一応合法的に支援する形にはなっていると思う。でもなー、兵士が増えると治安も悪くなるし、あんまり良い方法とは思えない。だから多分違うな。
オールゲントに先に攻めさせておいて、西側の兵が減る、もしくは増援が無いと分かったら攻め込む。皆と話すも結局は同じ意見だった。この状況で兵士を留め置くなんて普通は考えられないし、わざわざしない事だ。
となると、少なくとも3国で合意が成されているか、それともオールゲントは知らないか。多分どちらかだろうと結論付けた。今の段階ではこの辺りが限度で、これ以上は妄想にしかならない。
現段階での結論も妄想に片足突っ込んでいるくらいだし、これ以上の予想は意味が無いので止めよう。そうやって走っている内に、既にカーエイの町が見えてきた。この国の東西の町や村は、それなりに距離が離れている。
意図的に離されているのかは分からないが、本来はジグザグに移動しながら進むらしい。何となくではあるものの、皆が侵攻を遅らせる為にワザとそうしているのだろうと思ったようだ。俺も思ったので、やはりそうなのだろう。
もしかしたら、こういう国だからこそエイルアーダは迂闊に攻め込まないのかもしれない。侵攻するには面倒な距離が空いているし、ジグザグに進まないと拠点確保も出来ない。仮に電撃的にまっすぐ王都に進攻しても、横から叩かれるだけだ。
思っているよりアサロマ王国は強かなのかもしれないな。でも小国なんてそんなものか。頭が悪ければ大きな国か強い国に飲み込まれるだけだし、少なくとも生き残ってこれている訳だから当然とも言える。
カーエイの町から西に走り続け、昼過ぎには王都に到着した。登録証を見せて中に入り、平民街の住民に大銅貨1枚を支払いながらお薦めの宿と食堂を聞く。8人に聞いたところ、なかなか優良な店を教えてもらえたので早速行こう。
宿も食堂も平民街の西側にある神殿近くらしい。何だか怪しい気はするものの、おかしな事に巻き込まれたら聖人にすればいいかと思い向かう。まずは食堂に入り、大銅貨13枚を支払って昼食を注文する。
運ばれてきた物を食べるも特に問題は無し。神殿の近くだからって警戒し過ぎたか? 食事後、教えて貰った宿に行って5日間大部屋をとる。銀貨2枚と大銅貨10枚を支払って部屋を確保したら、とりあえず部屋に行って休もう。
送風機と冷房を設置して起動し、【冷風】を使って部屋の熱気を窓から外に出したら窓を閉める。休憩しながら話すものの、随分と王都が穏やかだな?。
「幾ら攻められていないからって、雰囲気が穏やか過ぎないか? もうちょっと熱気というか、戦争や小競り合いの話って町中ですると思うんだが……。王都の民が知らないって事も無いだろうし、変だよな?」
「確かに変と言われれば変だけど、普通と言えば普通かね? 言うほど王都だと関心無い事もあるよ。特に隣の強大な国にやらされてるんじゃ、五体満足で帰って来てくれって家族が思うくらいだろうさ」
「ですね。自国が攻められれば関心も湧くでしょうが、無理矢理にやらされているならこんなものだと思いますよ。何処の民でも、自分に利益が無ければ無関心にもなります。勝って帰ってきたら騒ぐでしょうけどね」
「騒ぐ切っ掛けが欲しいというか、結果が出るまでは騒がないという思いもあるだろうね。知っている者も騒いだから負けたとか言われたくないだろうし、こういう時は静かにしていた方が良いんだよ。こちらは少し古いんだろうね」
「戦争で騒ぐ事に、古いとか新しいとかあるのかい? あたしはそんなの聞いた事が無いけどね」
「古いと言うか、昔は騒がない事が良しとされていたんだよ。あまり言いたくはないけど、負けた理由を騒いでいた者の所為にしたりとかね……。実際に暴行を受けて殺されたなんて話もある。何処かに不満をぶつけたいのさ」
「私が100歳ぐらいの頃には無くなっていた気がするので、それより前でしょうけど、確かにそんな事がありましたね。何かが悪いとして目を付けられかねません。民が勝手にやり出すので始末に負えないのですよ、コレは」
だれかに責任を押し付けるというか、負けた腹いせの為に生贄を探した結果か……。碌なものじゃないが、昔の事なんて大抵そんなものとも言えるな。真実が明るみに出ると、非常に下らない事が発端だったという事は実際にある話だ。
まあここで話していても結論は出ないんだけど、向こうの大陸の古い時代と同じ可能性があるって事か。騒いでいる奴は目に付くから、後で負けた腹いせを受けると。厄介な事だが、止めると面倒な事になるので誰もが避けるんだろう。
話の後は子供達と遊んでいたが、夕方近くになってきたので食堂へ行く。大銅貨13枚を支払って夕食を頼んだら、席に座って雑談をしながら待つ。早かったからか客は少ないが、それでも居る客はヒソヒソ話している。
「東の国を攻めるという話、どうなったのか知っておりますか? こちらにはウォップの町で兵士が遊んでいるという話しか来ておらぬので、何が起きているのか分からぬのです」
「私の方もあまり……。ただ、兵士達を遅く行かせる事に意味があるのだと思いますぞ。我が国の国王陛下は強かですからな。意味も無い事をさせたりは致しますまい。それに、現場の者も愚か者は居らぬでしょう」
「現場の者は命が掛かっておりますからな。愚か者には命を預けられませぬし、秘密裏に亡き者にされるだけ。もしかしたら行軍中に魔物に殺されておるやもしれません。まあ、そんな愚か者はさておき、勝てるでしょうか?」
「私は難しいと思います。ベルゲストは我が国以上に儲けておりますからな。だからこそ、今までも崩せなかったのです。今回はオールゲントも動いていると聞いております。もしかしたら当て馬にしたのやも……」
「ああ。それなら国境で動かなかった理由も分かりますな。オールゲントに攻めさせ、疲弊するか増援が来ない確信があれば攻められます。向こうの国境の町が落とせれば、随分と変わりますな」
「ええ。東にはヴィラノーアという大国もあるそうですが、ベルゲストが高値でこちらの商品を売っておるとも聞きます。私達がそこに喰い込めれば、今以上の商売をする事も……」
獲らぬ狸の何とかは別にして、アサロマとしてもベルゲストの一部領土は欲している訳か。エイルアーダに対抗する為には、少しでも領土を広げたいというのは分からなくもない。とはいえ、根本的な国力に差があると難しいだろうけど。
簡単に引っ繰り返るような差なら、この国も苦労してないだろうしな。それよりも、食事も終わったし部屋に戻るか。宿の部屋に戻り、送風機と冷房を設置して起動する。キンキンに冷えた水を入れたので、室温は直ぐに下がるだろう。
子供達とトランプで遊びながら、ダリアやフヨウの相手をする。結構忙しいが、やってやれない事もない。そうやって相手をしていると、今日は直ぐに舟を漕ぎ始めた。キンキンに冷えた水を使ったからかな?。
子供達と2匹を布団に運び、【昏睡】を使って眠らせる。あまり室温が下がりすぎると子供達に悪影響が出そうだが、そこまで下がらなかった筈なので大丈夫だと思う。毛布を出そうか悩んでいると、腕を持たれて連れて行かれた。
女性陣をキメてさっさと寝かせると、部屋と体を綺麗にした後で勾玉を使い吸引と【浄化】をする。準備も整ったので、そろそろ神殿へと行こう。近くにあるので分かりやすく、【空間把握】で調べやすい。
それなりの神官は既に寝ているみたいなので、眠っていない奴は強制的に眠らせれば済む。さて、そろそろ出発しよう。
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1589終了時点
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金貨2908枚
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銀貨2651枚
大銅貨1840枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




