1585
皆と集めてきた情報を話し合う。時間的にはそこまである訳じゃないが、夕食までには多少話せる筈だ。皆も考えが纏まったので話し合いに移行するが、最初に話し始めたのはエリアだった。
「あたしとリューはあんまり聞き込めなかったから、最初に話させてもらうよ。王都から西にはルゴルの町、パ-ナの村、ソミニの町、テテイラの村、コルドスの町、そして国境となっているそうだよ」
「じゃあ次は僕達だね。コウト町から南へ行った後で南東の方に行くと、オールゲント王国という国があるんだって。これがダンジョンの無い国らしいよ。ここの南は草原で、誰も越えた事が無い魔物の天国なんだって」
「そこまで喋られると話す事が残ってないけど、西の国の名前はアサロマ王国というらしいよ。ただ、その西にエイルアーダ皇国という皇帝の居る国があって、西のアサロマ王国は属国だという噂だった」
「ええ。姉上と聞き込みをしていると、姉上に聞かれずとも答える女が居て助かるんです。それは横に置いておくとして、そのエイルアーダ皇国の属国だから攻めて来るんじゃないかという噂があったんですよ」
「アタシもメルと似た噂を聞いたけど、商人も似た様な話をしてたらしいね。エイルアーダからの要求が激しいとかなんとか。貢物の要求が年々多くなっているらしくて、本格的に攻めてくるかもしれないってさ」
「そうね。仮に本気で攻めてきたら結構な規模の戦争になりそうだけど、果たして本当に攻めてくるかしら? 私ならむしろエイルアーダという国に攻め込むわよ。何と言うか、無理矢理に貢物を増やして暴発させようとしているでしょう?」
「まあ、私も聞いた感じそう思ったけど、アサロマ王国に行ってみないと本当のところは分からないね。ちなみに、狩人ギルド発祥の地はエイルアーダ皇国らしいよ。各国が真似て作ったそうだけど、元々は皇国で出来た組織らしい」
「それは本当だと思う。俺も同じ事を聞いたからな。それより一旦話を止めて食堂に行こう。夕日も出てきたし、子供達もお腹を空かせてる。続きは食後にしよう」
俺はそう言って話を打ち切り、送風機と冷房を仕舞って部屋を出る。食堂に入り大銅貨13枚を支払って夕食を注文したら、皆の下へと行き席に座る。適当な雑談をしていると、いきなり大声が聞こえてきた。
「皆、大変だ! 南東のオールゲントが攻めてきたらしい! 明日、大通りで兵士の募集をするそうだから、腕に覚えのある奴は集まれ! 臨時だから高い給金が出るぞ!」
「高い給金かもしれねえが、代わりに肉の壁にされちゃあ敵わないぜ。せめて普通の兵と同じならいいが、誰だって死にたかねーよ。騎士の奴等も兵士の奴等も、俺達を肉の壁にしか思ってねーじゃねえか」
「「「「「「「そーだ! そーだ!」」」」」」」
「俺に言うんじゃねえよ! 俺は伝えろって言われただけだ。伝えなきゃ何されるか分かんねえんだから、しょうがねえだろ!」
まあスラムに言いに来る奴はいないか。誰か適当に捕まえて伝言を託すぐらいしかしないだろうし、何をされるか分からない所には行かないよな、普通は。それはともかくとして、南東の国が攻めて来るか……小競り合いかな?。
これでもし西も攻めてきたら、誰かが後ろで糸を引いているとみて間違いないだろうな。その場合ヴィラノーアはどうするのかねぇ……あそこ聖人にしたとはいえ、近衛騎士団長がポンコツなんだよなー。
まあ、自分達で何とかするか。これまでも何とかしてきたんだし、甘い見通しはしないだろう。このまま聞いていても仕方ないし、さっさと食事を終えて部屋に戻ろう。
宿の部屋に戻り、送風機と冷房を設置して起動する。布団を敷いて寝る準備をしたら皆と話し合う。イデアはダリアやフヨウとリバーシをし、蓮は絵を描いて遊んでいるので放っておいても大丈夫そうだ。
「さっき食堂で攻めてきたと話してたオールゲント王国には行く必要は無いと思うんだが、皆はどうだ? ダンジョンの無い国と言っても、神官を聖人にしたりと色々する事はあるが……」
「それをしたところでねぇ……ダンジョンが無いから邪気は流れている筈だし、無理に行く必要性を感じないよ。それに神官どもを聖人にしても、この世界? 星? からすれば微々たるもんだろ。だったら無視してもいいと思うけどね」
「あたしもダナの意見の賛成だね。わざわざ小さい所をどうこうする前に、大きな所をガツンと浄化した方が絶対に良いよ。仮に小さい所を浄化するにしても、それは後になってからじゃないかい?」
「そうね。それに、邪気はダンジョンに吸い込まれるのだから、ダンジョンが無い場所は無視しても綺麗になるわ。神官に関しては、そもそも聖人にされる前に神殿がなんとかしなければいけない事よ」
「メルの言う通りだよ。私達や主様がわざわざ性根を叩きなおしたり、無理矢理に聖人にするのがおかしいのであって、本来はあの連中が自分達で直すべき愚行というか業さ」
「ある程度の所に聖人は居るのですから、後はゆっくり波及していくと思いますよ。そうすれば腐った者どもは聖人と比べられますからね。徐々にですが、変わらざるを得なくなるでしょう。そうしなければ押し込まれるかもしれませんし」
「とりあえず、明日からは西の国であるアサロマ王国に向かって出発だな。この国でも結構な数の神官を聖人にしたし、第2王女も助けたから大丈夫だろう。特に財務関連の人物だったみたいだしな」
「そういえば、あの王は結局アルドが教えた拷問をやっているのかな? 凌遅刑だっけ? 聞いた時には耳を疑ったけど、何を考えてこんな刑罰を生み出したんだろうね。あまりにも酷すぎると思うけど」
「昔は荒れてたからだと思う。そもそも凌遅刑に関しては俺の祖国には無いしな。車裂きの刑も無かった筈。<市中引き回しの上、打ち首獄門>はあったけど。多くの刑って<所払い>だったと思う」
「「「「「「「「所払い?」」」」」」」」
「平和になったと言われる江戸時代。江戸の周りには特に多くの関所があったんだけど、所払いの刑を受けると江戸に入る関所を通れなくなるんだ。つまり国の都に立ち入れないという罰だな。他の場所で生きるしかなくなる」
「……最初は軽い罰だと思ったが、よく考えれば知り合いも誰も居ない場所で生きるしかない訳か。誰にも頼れないし、余所者など誰も助けない。そう考えれば重い罰だと言えるな。何処かで野垂れ死ぬ刑罰か……」
「まともな人なら助けてもらえるかもしれませんが、そもそもが刑罰であり犯罪者なんですよね。そんな者が心を入れ替えて真面目に生きていくとは思えません。なので、賊を放逐したようなものでは?」
「こっちに捨てるなって文句を言われそうな刑罰ねえ。そこまでの罪ではないから、都に入るなという刑罰で済むのかしら? 何だかんだと言っても、重い罰を受ける者はそこまで多くないのよね」
「重罪ばかりの国など、もう国とは言えないでしょう。ですので、軽い罪の方が多いのは当たり前の事ですよ。……おっと、子供達は自分から布団に行きましたね」
確かに蓮もイデアもフラフラしながら布団に行き、そのまま倒れるように寝てしまった。蓮がうつ伏せになってしまっているので、抱き上げて仰向けに寝かせる。隣にダリアとフヨウが寝転がったので、【昏睡】を使って深く眠らせた。
丁度【昏睡】を使い終わったタイミングで、腕を持たれて連行されていく。相変わらず性欲に忠実な女性陣だ。今日は【集中】を使いつつ丁寧に優しく撃沈し、部屋と体を綺麗に【浄化】する。
勾玉を使って吸引と【浄化】をしたら、椅子に座って一休みしよう。神水を飲んでいると、遠くで邪気が膨れあがったので慌てて調べる。すると、王城の牢屋が発生源だと分かった。
【空間把握】を使って確認すると、地面に大の字に拘束されている公爵が邪生に変わったようだ。どうやら皮を削がれていたらしいが、激痛の中、怨みと憎しみで邪生になったのだろう。ある程度は浄化しておいてやるか。
もちろん完全浄化はしない。誰が心臓を食うか分からないからな。別に人間種だけとは限っていない。蝿や蛆が食べて強化されても困る。そんな事になったらファンタジーがB級映画に早変わりだ。
流石にお断りしたい。
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神鉄の刀
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精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




