1569
蓮を膝の上に乗せながら、3人で雑談をしていると女性陣が起きてきた。朝の挨拶をし、布団を【浄化】してから【念動】で片付けていると、蓮が真似をして片付け始めた。イデアは種族特性として念力の扱いが難しいからなぁ。
そんな事を話ながらの片付けは直ぐに終わり、皆が戻ってくる。神水の小樽を出していたが、足りないので大樽の方も出す。それなりに減ってきているので、何処かで補充したいところだ。おそらくダンジョン内で補充できるだろう。
送風機と冷房などを仕舞い、忘れ物がないかを確認したら部屋を出た。食堂に移動して大銅貨13枚を支払ったら、朝食を注文して席に座る。適当に待っていると、昨日の4人組が隣の席に座り話し掛けてきた。
「昨日は喜びのあまりに御迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。昨日もお聞きしましたが、本当に対価は無くて良いのですか? あれほどの薬です、私自身どれほどお支払いすれば良いのか見当もつきませんが……」
「昨日も言ったが別に構わない。そもそも余っている薬だから使っただけで、余っていなければ使っていないだけだ。まあ、余っているからといって簡単に使うような物ではないんだが、あれほどの火傷跡なら構わないさ」
「そうだね。だからこそアタシ達は連れて行ったんだし、予想通りにアルドは治したって事さ。誰かに売るのは危険だし、使う相手は選ばなきゃいけない薬だけどね。それはアンタ達にも分かるだろ?」
「はい。物凄く痛かったですが、あれほどの火傷跡が完全に無くなるほどの薬です。広まると命を狙われる可能性すらあるでしょう。恩人の為にも決して洩らしたりは致しません」
「そう言っていても洩れますけどね。貴女も貴族の一員でしょう? ならば家の者に聞かれる筈ですし、貴女は答えない訳にはいかない。元々そこは想定しているのですよ。ですので襲ってくる者が居れば、こちらは一切容赦をしないだけです」
「しかし……裏の者を使う者も居るでしょう。ゴロツキを雇う程度ならば優しい方で、暗殺組織に頼む可能性もあります。それほどの薬だと理解したならば、何をしてくるか分かりません」
「それこそ此方の望む通りの結果と言えるわね。大々的に広めるのは止めてほしいけれど、ある程度の者が手を出してくるのは想定内なのよ。先ほど言っていたでしょう? 想定していると」
「「「「………」」」」
「魔鳥便か何かで報せたらどうだ? 君の親もそれを知れば喜ぶだろう。その後、政略結婚の駒に戻されるかもしれないが……」
「それは無いでしょう。狩人を本気でやると決めた時に、私は家とは切り離されています。家を継ぐ事は出来ない代わりに、貴族の事情に巻き込まれない形にしてありますので大丈夫でしょう。掌を返すおそれはありますが……」
「それは言ってもキリが無いね。まずは家に戻ってみたら良いんじゃないかい? 君の顔を見なければ家の者も理解しないだろうし、その後どうするか話し合えばいいと思うよ」
「せめて、狩人として恩返しをしようと思ったのですが……」
「恩返しなら、ついてきてくれた子達にするべきではないか? 私達は偶然知り合っただけにすぎない。3年もの間、支えてくれたのは仲間だろう。感謝と恩返しはそちらにするべきだ」
「うん、そうだよ。それに僕達はこれからダンジョンに行くしね。知らない他人が入っても連携が乱れるだけだから、却って危険が増えてしまう。だから先ずは実家に帰って説明するといいよ」
「はあ………いえ、分かりました。皆さんの邪魔をする訳にも参りません。この度は、本当にありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
そう言った4人組と町中で別れた。朝食の最中も喋る羽目になり、あまり食事に集中できなかったのが残念だ。俺達は町を出てダンジョン街に行き、迷宮紋の前に並ぶ。そこまで多くの者が並んでいる訳でもないので直ぐに入る事が出来た。
1層は平原だったが、昨日言っていたのと変わっていない気がする。メルは北だと言っていた筈なので再度聞くと、北で正しかったので北へ。勾玉で吸引と【浄化】をしながら北へと進み、転移紋を発見。やはり変わっていないようだ。
1~4層は平原で北、5~8層は草原で東、9~12層は山で西、13層は森だが南だろう。何故か東の後に西だが、ここはそういうダンジョンだと思えばいいだけか。13層を南に行くと、転移紋を発見したので14層へ。
そのまま14、15、16層と突破して、次の地形の17層へ。海だったので、ここで水を補充してから進むか。そう思い海に近付くも、今までのダンジョンの海は穏やかだったのにも係わらず、ここの海は何故か荒れ狂っている。冬の日本海かよ。
それでも水を補充する事に関しては特に問題無いので、古い神水を捨てて新しいのを入れていく。猛烈にダンジョン内の海水が浄化されていく、気にしたら負けだ。そもそもダンジョン内を浄化するのは良い事なので、気にしてもしょうがない。
そう話すとジト目で見られるも、俺はスルーして神水を補充した。荒れ狂ってる海で海産物を獲っても仕方ないので、さっさと先へと進む。おそらく北東なのは分かっているので進み、予想通り転移紋を発見し18層へと移動する。
18~20層を進み、次の21層へ。ここへ来て洞窟とか、なかなか面倒臭い地形になってるな。それでも北西だろうという当たりはつけてある。西の方に進みながら調べていると北西方向に転移門を発見したので、ぐるっと回って目的地へ。
21~24層を急いで抜け、25層へと進む。そこは平原で、ダンジョンモンスターが普通に居た。やれやれ、やっと昼食が食べられる。17層からは海で昼には早かった、21層は洞窟なのであそこで昼食を食べたくない。
その所為で、空腹を抱えなからの攻略になってしまった。タイミングが悪かったが直ぐに昼食の準備をしよう。皆、お腹が空いているので、簡単に早く作れるものにする。という事で饅頭作りの開始だが、少し米粉を混ぜよう。
小麦の全粒粉と米の全粒粉を混ぜたら、塩と神水で練っていく。俺はデスボーアの肉を解凍し、魚醤などで味付けしたら角煮を作る。子供達とメルはスープを作ってくれていて、残りは生地作りと包む作業だ。
それらが終わると蒸篭で蒸していき、出来上がった物は直ぐに食べていく。皆が満足するまで饅頭を蒸しながら食事をする事になった。行儀は悪いが、お腹が減っているのでしょうがない。
十分に満足したら後片付けを終わらせて、皆と一緒に休憩する。お腹が満たされるとダレてくるので、ある程度は休憩して精神を回復させておいた方が良いだろう。そう思い、お腹が落ち着くまでは休む事にした。
………皆も落ち着いただろうし、そろそろ壊して出発するか。声をかけた後、焼き場やテーブルに椅子などを壊して攻略に戻る。気が抜けているので声をかけ、緊張感を持って進んで行こう。
俺は勾玉で邪気を吸引し、【浄化】しながら南西に進んでいるか確認をしていく。ここまでの道中でもそうだが、モンスターの血抜きはフォルがしていて、各自の獲物は自分で浄化している。そして、それは子供達も変わらない。
25~28層を南西に進み、転移紋に乗って29層へ。ここの地形は草原なのだが、1体しか反応が無い。つまりダンジョンの最奥という事だ。しかも相手は既に見えている。
「皆! ここがダンジョンの最奥で、アレがここのボスだ。小細工は必要無い、全力で倒す! 子供達は木像を出すので乗れ!!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
「分かった!」 「わかりました!」
「ニャー!」 「………」
しっかし、前に兵馬俑の陶器人形が出てきたが、今度はゴーレムかよ。何を思ってこんなのを創ったのか知らないが、このゴーレムはダンジョン内しか無理だろうな。
そもそも生物じゃないからどうやって動いているか分からないし、燃料は何となくだが邪気だと思われる。そういう意味でもダンジョンの中でしか使えない。もし外で作り出せたら邪気吸収装置として使えるが、壊れるまで暴れ続けるだろう。
邪気自体が怨みとか憎しみだから、人間種を殺して回る最悪の兵器になるな。
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1569終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2676枚
大銀貨1649枚
銀貨2429枚
大銅貨1360枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




