0156
霊薬から魔力薬の話になって、霊薬が一部の種族にしか作れない事の説明を求められた。4人には俺があらゆる薬を作れる事は伝えてあるからだろうな。ま、いいか。
「簡単に言うと、種族によって作れない薬なんて存在しない。どんな種族でも作りたい薬を作る事が出来る」
「そんな! そんな事は無理です! 昔から……」
「そうだ。昔から作り方を知ってる種族は、他の種族を見下す為に黙っていた。誰でも作れる事を」
「そんな事はあり得ません! 作れる種族は決まっています!」
「決まっている事にしたいのさ、醜い感情の為に。よく考えてみろ、霊薬の手順と材料、どこにエルフの必要がある? 何故エルフでなければ不可能なんだ?」
「そ、それ……は………」
「エルフの必要性なんてどこにもない。ただ、技術と知識を独占して見下したかっただけだ。作れないのは知識と技術が無いからで、あれば誰でも霊薬を作れる」
「………」
「ちなみに、霊薬は魔力の直接操作が出来ないと作れない。だから魔力操作の得意な種族の方が難易度は低いんだ。それがいつの間にか優越感の為の道具になった」
「そんな……でも……だったら………」
「更に言えば、仙女族しか作れないと言われている仙丹も作れる。あれも闘気の直接操作が出来れば作れるし、材料は霊薬より簡単な物ばかりだ」
「「「「「えーーーーっ!?」」」」」
「そうだったんだね。前にアルドが霊薬や仙丹も作れるって言ってたけど……。アタシ達でも作れるのかい?」
「霊薬や仙丹を作る時のコツや知識さえ知っていれば、後は材料の問題ぐらいかな」
「そこが大変そうなんだけれど……。魔力薬も思われてる程には簡単じゃないのよね」
「それは仕方がない。俺が言いたかったのは誰でも作れるって事だ。多分エルフの長老とかは知ってるんじゃないか? 知ってて黙ってるんだろうけどな」
「一気に”誇り”が”埃”になった気分です……」
「そこまで卑下しなくても良いと思うんだが……。難しい事に変わりは無いんだ。それが作れる俺達スゲーって悦に入ってるだけさ、エルフや一部の種族は」
「「「「「………」」」」
何だろう? エルフのエルはガックリしているし、他の奴等はジト目で見てくる。でもなー、それが偽りの無い真実なんだぜ? 見下す為に独占しているのは神殿と同じなんだよ。
優越感に浸っていたいのは神殿のクズどもと何も変わらない。それが事実なんだよ。自分達で生み出した訳でもなく、神様が伝えてくれたものを独占しているだけだ。
真実を知っていれば、バカバカしくなるのは当たり前なんだよなー。継いでるだけの今の奴等と、独占しようとした奴等は同じじゃない。だが、伝えられたもので優越感持たれてもなぁ。
「そろそろ宿に帰ろうか。もう夕方だ」
4人と2匹を連れて宿に戻る。その頃には復活していたので、エルも立ち直ったんだろう。この後どうするかは知らないが、多分何もしないだろう。今までのエルフがそうだったように。
行動を起こして真実を明るみにして、何か意味があるのか? って事だ。違う部分とも言えるが、霊薬や仙丹と【浄化魔法】は同じじゃない。体を治す薬と邪気の浄化は全く違う事だ。
神様が怒ってるのもココになる。邪気は浄化しないと溜まる一方なんだ。この惑星に邪気が溜め込まれ続ければ、生物が全て邪生になりかねない。その危険があるから神様は怒ってる。
俺の仕事は神殿のゴミどもの尻拭いと言えるんだよ。本当に碌な事をしない連中だが、マトモな奴も居るから余計に面倒臭いんだ。これ以上考えてもムカつくだけなんで止めよう。
宿の部屋に戻り、装備を外して浄化をする。十手だけ持って1階の食堂へ行き、大銅貨7枚を支払う。注文が終わりゆっくり待っていると女将さんが来た。
「おかえり、皆」
「「「「「ただいま」」」」」 「ニャン」 「ガウッ」
「なんかね、頭に髪の無い連中が泣きながら村を出て行ったらしいよ。お隣の侯爵家の領地で1番強かったらしいんだけど」
「あのモヒカンどもが!? あれが1番強いって……どんだけ人が居ないんだよ?」
「あの髪型はモヒカンって言うのかい? 凄く毟りやすかったねぇ」
「あの髪型に何か意味でもあるんですか?」
「あれは俺の故郷の有名な物語に出てくる、やられ役のザコがしてる髪型なんだよ」
「「「「あー……」」」」
「何だか納得してるみたいだね。そんな髪型だったのかい?」
「1列だけ残して立ててるって言えば、分かりやすいかな?」
「うーん……? 何となくは分かるけど………」
「ザコの髪型ですから、気にしなくてもいいでしょう」
「そうね。あれは弱くて小さい人の髪型ね」
メルが1番酷い気がするのは、絶対に気の所為じゃない。ある意味、消えないレッテルが貼られてしまった。ソフトモヒカンにも被害が出るな。昔、有名なサッカー選手がしてたのに。
「まぁ、髪型の事はもういいだろう。それより、帝国の駒になっている侯爵家の領地から、何故今ごろ実力の高い傭兵が来たのか……だ」
「侯爵家の領地では……だけどね。まぁ、それは横に置いておいて、逃げて来たんだと思うけどねぇ」
「侯爵家が王に睨まれている。それが傭兵まで伝わったという事ですね?」
「でも傭兵は自由よ? そんな事で逃げ出すかしら? 一応1番の実力者だったのでしょうし……」
「侯爵に言われて、この村に手を出してきた可能性もあるね。この村は豊かだから、取りに来る可能性は十分にあるよ」
「それは怖いね……。村の自警団じゃどうにもならないよ」
「大丈夫だと思うよ。そもそも伯爵家がアレでも、王国はこの村を手放さないさ。伯爵家が手放したら、王の直轄地にされるぐらいじゃないかい?」
「その可能性は高いだろうね。ただでさえ、大森林の素材が手に入る土地なんだ。そのうえ今は魔銅もある。他の貴族も狙ってるだろう」
「今はまだ戦争も起きてないし、戦争を起こす気も無い様だから大丈夫だろう」
「そういえば帝国側は、戦争をする気が無かったんだったね」
「えっ!? そうなのかい?」
「そうなんですよ。帝国の皇帝も皇太子も戦争をする気は無くて、その下の貴族が勝手な事をしてるって言ってました」
「あれは多分本当の事だと思うわ。呆れて悲しそうだったし」
「貴族がバカな事をして、その尻拭いをさせられてたんだ。昔からよく見る光景だけど、腹立たしい事に変わりは無いんだよね」
「可能性としては高くないと思うが、帝国が手を引いたら侯爵は暴走するかもしれない」
「既に王から睨まれてるから、後戻り出来ないと考えて周りに攻め込む。そういう可能性だね?」
「ああ。勝てないだろうから、意味は無い。でも、追い詰められると、形振り構わず暴れる可能性はある」
「それでも、ここまで来れるかしら? 目指す可能性はあるけれど……」
「目指されるだけで迷惑ですね。余計な準備とかが必要になります」
「それもこれも、今話しても仕方ないさ。もう少し色々動かないと分からないよ」
「あくまでも予想でしかないからね。何にも無い可能性もあるから、不安になる必要は無いよ」
「そうかい? それならいいんだけど……」
「まぁ、ルーデル村が戦争に巻き込まれる事はまず無いよ。帝国の工作員に警戒しなきゃいけないぐらいだ」
食事が終わった後も話し込んでいた所為で邪魔になっている。そろそろ部屋に戻るか、いたずらに不安を煽るべきじゃないし。あのモヒカンどもが全ての原因なんだが、逃げたからなぁ。
こんな事なら捕まえて吐かせるべきだったな。流石にあんな奴等が侯爵領で1番の実力者だとは思わない。それに気が付けって言われても無理だ。だってヒャッハーだぜ?。
普通どう考えても、三下にしか思わない。あんなの究極のザコキャラだろうに。
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0156終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨62枚
大銀貨81枚
銀貨50枚
大銅貨44枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
ヒヒイロカネの小太刀
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ