表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1566/1948

1565




 1人で街中をウロウロしつつ、店を確認していく。オムドン商会の建物は表通りの1番目立つ所にあった。値段は完全にボッタクリで、あり得ないと言えるような値段だ。ただし大半が交易品で、庶民生活には関わり無い物だった。


 そういった物を表では高値で売って、裏では悪事で儲けている訳か。様々な事を確認しながら歩き、食料店にも寄ってみる。幾つか確認したが、やはり今までの国に比べれば微妙に高い。それでも庶民の買う物は、そこまで値上がりしていない様だ。


 おそらくオムドン商会も町の人達の暴発は避けたいんだろう。実際に暴発すれば間違いなく、一家皆殺しにされるだろうしな。貴族や兵士や神官と結託していても、限度というものが存在する。それを越えれば一揆や打ち壊しとなるのは確実だ。


 それでもオムドン商会に対する恨みや憎しみは強そうだが、まだ暴発には至っていない。時間の問題な気はするが、そうなる前に聖人にしてしまえば良いだろう。スラム近くの裏組織が先だけどな。皆の安全を確保する意味でも。


 ……ふぁっ!? ……おい、マジか!? 緑茶が売ってるぞ! オムドン商会で見た紅茶がボッタクリだったんで買わなかったんだが、寂れた店で緑茶が売ってるってどういう事だ? 慌てて店主に話を聞いてみる。



 「ああ、コレかい? 紅茶と同じ産地の物らしいんだけど、王都でも何処でも売れなくてね、たらい回しにされてきた物なんだよ。茶として飲む事は出来るらしいけど、苦くてマズイんだ。その所為で全く売れなくてね」


 「苦くてマズイって……緑茶ってそういう味だし、そういう風味だろうに。分かってないなー。まあ、いいや。それで、緑茶はここにあるのが全部かい? まだあるなら出してくれ、全部買う」


 「え!? 全部かい? ………いや、ウチからすれば助かるんだけど、美味しくない物をお客さ……ああ、分かったよ。ちょっと待っててくれ」



 俺は裏から30キロぐらい入りそうな麻の袋を持ってきた店主から、店に陳列されている緑茶の茶葉も含めて買い取る。原価は全部で金貨2枚だったらしいので、色をつけて金貨3枚で買い取った。カビなどは一切無かったので何の問題も無い。


 どうも王都の有名商会から買い取ったらしいのだが、向こうでもサッパリ売れなかったそうだ。少しでも仕入れの代金を取り戻そうと金貨2枚で売ってくれたそうなんだが、ここまで売れないとは思っていなかったらしい。見積りが甘かったんだなぁ。


 俺としては大変ありがたいんだが、この国では緑茶はもう買えなさそうだ。どうせウチの女性陣は飲まないだろうから、俺だけで楽しもう。30キロぐらい入る袋とはいえ、30キロ入っている訳じゃない。沢山飲むと直ぐに無くなりそうだし、注意しよう。


 他にも色々見るものの欲しい物はもう無かったので、店を後にして更にウロウロする。適度に自分の周りだけ【冷風】を使っているので、そこまで暑くなく快適に過ごせている。それなりに時間を使って色々見回ったものの、長粒種の米しかなかった。


 サーサ自体はまだ持っているので、無理して買う必要も無い。ちなみに米自体輸入品なので高いが、輸送費などを差し引くと、そこまで高い物とは言えないくらいだった。無理に高値にしても売れないからだろうな。珍しさで買われているくらいだ。


 流石にそろそろ戻ろう。そう思い宿の方に向かって歩くも、後ろから尾けてくる奴が居る。3人ほどだが、緑茶を買ってからずっとなんだよな。金貨を出したから金を持っていると思われたのかね? 処理しても良いんだが、やるなら夜に一気にやるべきだ。


 逃げられても困るし、どうせ碌な連中じゃないだろうしな。そう思いながら宿へと入ると、そのまま宿の前を通り過ぎて行った。まあ、立ち止まってジロジロ見てたら不審者でしかないから当たり前ではあるが……本当にそれだけか?。


 部屋に戻ると皆が居たので、声を掛けてから話を始める。緑茶と米と尾行の話だ。



 「この町をウロウロしてたらオムドン商会を見つけたが、店に並んでたのは高級品ばかりだったな。表では交易品をボッタクリ価格で売る奴で、裏では違法奴隷や盗賊などをやらせているようだ」


 「想像通りと言うか、何と言うか……。あまりにも予想通りで笑うしかないね。よくいる奴って言えば終わる程度の悪党かい、下らない。1つの町を牛耳るほどって言えば、頑張った方なのかねぇ?」


 「でしょうね。1つの町とはいえ、貴族と神殿を黙らせている以上は優秀なのでは? ただ、その命運もここで尽きますけど。末端とはいえ、私達に喧嘩を売ってきた時点で終わりですよ」


 「逃げられると困るけれど、向こうは今日の夜に変えられるとは思ってもいないでしょう。逃げられる前に聖人にしてしまえば終わりよ。後は勝手に町を良くしてくれるでしょうしね」


 「俺としては明日を休みにして、今日の夜に全てを終わらせたい。この町の男爵に神殿にオムドン商会、そしてスラムに居ると思われる裏の連中に尾行。纏めて今日の夜に終わらせないと逃げられかねない。そう思うんだ」


 「尾行……。アルドが尾けてくる奴をわざわざ見逃すって事は何か理由があったんだろうけど、そいつらを泳がせてるのかい? アジトを知る為に」


 「いや、あくまでもアジトが見つかればいいなってくらいだ。この時間に聖人にしてしまうと、この町の裏組織の連中に警戒されるだけだからな。流石にそれをすると困った事になる。俺としては一網打尽にしたいんで、手を出してないんだよ」


 「しかし主様が尾行されるという事は、何がしかの事をしたのだとは思うけど……いったい何をしたのかな?」


 「やったのは緑茶を買ったぐらいだよ。王都で売れなかったらしく、金貨2枚で引き取ったという寂れた店があってさ。そこで緑茶が売ってたんだ。色をつけて金貨3枚で買い取ってきたけど、その店から宿の前まで尾けてきた。今は……」



 おいおい。この町の裏組織の奴が尾けていたんだと思っていたら、尾行していた奴等はオムドン商会の店に居るじゃないか。あの尾行がオムドン商会の者なのか、それとも裏組織自体がオムドン商会と裏で繋がっているのかは難しいところだな。


 その事を皆に伝えると、どうせ潰すんだから聖人にする時に聞けばいいと言われた。確かにその通りだな。ここでゴチャゴチャと考えても答えなんて出ないし、聞けば分かるんだから無駄な事は止めるか。


 俺はアイテムバッグから緑茶の入った袋を取り出して丁寧に【浄化】し、今回使う分の15グラム程度を残して後は仕舞う。鍋を取り出して神水を入れ、冷たいまま茶葉を入れたら【抽出】を使って成分を抜き出す。


 香りや味を出したらコップに入れて飲もう。………うん、水出しの緑茶だ。でも日本で飲んでいたのに比べて、随分マイルドというか渋味が少ない。【抽出】を使ったからか、それとも神水だからなのか。または水出しの御蔭かな?。


 まあ、美味しければ何でもいいか。蓮は普通に飲んでるが、やはり好き嫌いがあるようだ。こればっかりは仕方ないし、駄目なら無理に飲まないようになー。そもそも無理して飲むような物でもない。



 「これによく似たのね、れん飲んだ事あるよ。でもね、もっと苦くて美味しくなかったの。これは平気だし、美味しいから大丈夫」


 「ボクはどうだろう? 何か苦味というか渋味っぽい味があるけど、サラっと流れていく気がする。それが却って美味しく感じるのかな? 苦味と渋味がしつこく残らないし」


 「そうだね、コレは紅茶より美味しいかな。アタシはこっちの方が好きだよ。そういえばアルドは店に行くっていってたけど、米の方はどうしたんだい?」


 「米は駄目だったな。輸送費やら何やらで高値になってる。とはいえ、輸送費なんかを引くとサンズ王国と変わりない感じだったから、無くなってから買えばいいよ。どのみち持っている米を食べるのが先だ」


 「まあ、それはそうでしょうね。御主人様の持っているサーサですら、まだ無くなっていませんし……」



 そうなんだよな。エリアが持っている分もあるけど、俺のアイテムバッグのが無くなってもいない。それらが無くなってから買っても十分間に合う。


 夕日が出てきたみたいだから、そろそろ夕食に行くか。



 ▽▽▽▽▽


 1565終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1704枚

 金貨2676枚

 大銀貨1649枚

 銀貨2429枚

 大銅貨1412枚

 銅貨50枚


 神鉄の刀

 神鉄の槍

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神金銀の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ