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1563




 この国の大体のイメージは、儲かるなら何でもいい。これに尽きると思う。もちろん表向きには国としての建前があるし、法も制定されて執行されているのだろう。ただ、金で法が捻じ曲げられている可能性が高い。


 大なり小なり在るのが当然ではあるのだが、この国は金で左右できる部分が大きいのだろう。金で見逃すという事が当たり前に行われている。自分や家族が下に落ちた時の事を考えていないとしか思えない。まあ、俺達には関係無いんだが。


 それよりも昨日の侵入者の話だ。おそらくはディルが拘束してくれたんだとは思うが、実際にどうなのかは分かっていない。その辺りは聞いておかないと。



 「ああ、それは私がやった。神界に行った時に念神様から【衝気】などを始め、幾つかの技を修練させられたからな。使う事は出来る。ただし使い熟すまでには至らなかったが……」


 「それでも使えるだけで十分じゃないかい? アタシなんて闘気術よりも戦闘術ばかりだったよ。基本から奥義ともいえる体の動かし方まで、ひたすら練習させられたんだ。それよりはマシさ」


 「4人組を縛っていた縄はコレな。それよりも、そいつ等はイデアを始め、皆を誘拐や拉致して奴隷として売り飛ばそうとしていたようだ。この国はどうも賄賂に弱い奴が多いらしく、違法奴隷も横行しているみたいな事を言っていた」


 「碌でもないねえ。あたしら盗賊でもやらないような事をやっているなんてさ。真っ当に生きられる癖に何やってんだ……としか思えないよ。こういう奴等が居るから、盗賊が居なくならないんだ」


 「そうですね。儲かるなら何をやってもいいと考える者は居ますが、多くなると国の秩序にまで侵食してくるのですけど……この国は既に遅いのでしょう。違法に誘拐してきた者を奴隷にしても見逃されるなんて」


 「かつて僕が居た孤児院と変わらないと言えば、変わらないんだけどね。行き場の無い子供なんて幾らでも居るし、そういう子供の行き着く先なんて多くない。それでも殺されなければ傭兵という道があったんだよ、殺されなければ……」


 「異常な者や狂気に塗れた者は止められないからな、アルドも言っていたが殺すしかない。帝国の間者が居なければ、もっと早く殺せていたのだろうな。まあ、それは横に置いておくとして、アルドはどうするのだ?」


 「少なくとも喧嘩を売ってきた以上、聖人化は決定している。そのうえ次に向かうエッテオの町に本店があるらしい。店の名は<オムドン商会>だ。こいつらを潰すんだが、他にも絡んでいる奴は多くいそうなんで、そこをどうするか……」


 「ああ、成る程。何処までを潰すかは先に決めておいた方がいいね。でないと際限が無くなりそうだ。それに、この商会だけとは限っていない。ヴィラノーア連合国より小さいとはいえ、マールやヴェスティオンよりは大きい国のようだからね」


 「今後も喧嘩を売ってくる商会は出てきそうね。その度に適当に潰す訳にもいかないし、何処までを攻撃するのか線引きしておいた方がいいわ。まあ、商会の幹部などは聖人にした方が良いでしょうけど、ただの従業員はどうしたものかしらね?」


 「その辺りは何もしなくてもいいのでは? 上から命じられれば反抗は出来ないでしょうし、上の者を聖人にしてしまえば問題無いでしょう。下っ端は従うだけですから、上さえ変えれば良いだけです」


 「まあ、そうだろうね。貴族が絡んでるなら、その貴族も変えてしまえば良いんだよ。それで悪さをする奴は減るだろう。更に言えば、裏の連中まで変えてしまえば聖人に逆らう奴は居ないさ」


 「結局はそこに帰結しそうだなぁ。この国はゆっくり移動する事になるかもしれない。聖人にする奴が増えれば増えるほど、どうしても時間が掛かるから仕方ないんだけどさ。米と紅茶があるから、ゆっくりでもいいか」



 うんうんと大きく頷いているのは蓮とエリアだ。まあ、2人にとっては米のある国は居心地が良いだろう。あくまでも交易品として手に入れているだけで、この国で栽培しているかまでは知らないが。


 そろそろ部屋を片付けて食堂へ行こう。布団を片付けてあったので、送風機と冷房をアイテムバッグに仕舞って準備完了。皆も準備は整ったようなので、部屋を出て入り口に行き、キャンセルと返金不要を言って宿を出る。


 食堂に入って大銅貨13枚を支払い、朝食を注文したら席に座る。椅子に座って雑談していると、横のテーブルに座った町の人が侵入者の話を始めた。



 「今日の朝さ、あの犯罪者どもが近くの宿の前で倒れてたらしいぞ。起こしたら周りをキョロキョロした後、逃げるように早足でどっか行ったらしい。あいつらって誘拐するとか言われてた奴等だよな?」


 「おい、バカ! 余計な事を言うんじゃねえ! 奴等に聞かれてみろ何をされるか分からねえんだぞ。家族を奪われでもしたらどうする気だ」


 「す、すまん! ………どうやら居ないみたいだな。もっと小さい声で話そう」



 元々小さい声で話してたんだが、更に小さい声にしてゴニョゴニョ会話をしている。【天耳】か【空間把握】で音は拾えるが、面倒な他の音を外すなら【空間把握】が一番だ。彼等の口から出る振動だけを音に変換すれば済むからな。


 とはいえ、そこまでして聞く事でもないので、わざわざ【空間把握】を使う気は無い。朝食後、食堂を出て町の入り口まで歩く。門番に登録証を見せたら、聞こえないくらい小さく舌打ちされたが門は通してくれた。


 おそらく人攫いの商会と繋がってたんだろう。こちらを胡散臭そうに見ていたが、実際には商会に報告する奴を値踏みしてたって訳か。俺達は歩いてゆっくり離れるが、門番が確認などで動いている最中に足を【念動】で払う。


 門番がコケたと同時に足を捻って挫く。辺りに門番の悲鳴が木霊するが、俺達は離れているので疑われはしないだろう。女性陣は何となく察しているようだが、一応説明をしておこう。



 「成る程ねえ。あの門番は値踏みする奴だったのかい。そういえばガイアルムの王都の門番、アレも同じ事をしてたんだったね。遠く離れた国でも、クズの考える事は変わらないって事なんだろうさ」


 「それもあると思いますが、どちらも拉致や誘拐をするという意味でも同じです。御主人様が聞いたという小さな舌打ちをしなければ、見つからなかったものを……」


 「でもさ、バカってそんなものでしょ? アルドにやられなくても、最後には怨みと憎しみで殺されてた筈。もしかしたら、これから暴かれて殺されるかもしれないけど、それも含めてバカだと僕は思うけどね」



 皆は会話をしながら身体強化で走っているが、特に息を乱す事も無い。子供達の速度に合わせているという事もあるが、それ以上に上達したからだろう。この程度の速度では疲労は殆ど無い。本当に上手くなったなぁ。


 子供達も上手いが、それ以前に体の成長が追いついていない。幾ら技量が上がっても、根本の身体能力に成長の余地が多すぎる。成長したらしたで、また自分の肉体にアジャストさせなければいけない為、今はこれぐらいが限界だろう。


 ドテリオから南に走り、アッサン村らしき所を通り過ぎる。そのまま南進し、ソミサ村も通り過ぎて西へ。そのまま走っていると森があり、小さな小道が西へと伸びている。左右から攻められそうな場所だ。


 そう思っていると、左右の森から矢が射かけられた。本数は少ないので殺そうという意図は無く、足止めか怪我をさせる事が目的だろう。せっかく隠れていた奴等をスルーして来たんだ、出てきてくれなきゃ困るところだった。


 盗賊らしき連中が左右の森から出てくるが、おっそろしく弱そうな連中だ。下卑た顔でニタニタ笑いながら登場したんだが、俺達が走る速度を落としたから矢で足止めできたんだぞ?。


 まあ、この程度の連中じゃ理解できないから仕方ないけどさ。


 左右から8人ずつ、合わせて16人が前方で、後方からは12人がやって来ている。前後で挟まれているものの大した相手じゃないし、何を言うのか聞いてみてからでも遅くはないか。


 どうせ、下らない事だろうけど。



 ▽▽▽▽▽


 1563終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1704枚

 金貨2679枚

 大銀貨1649枚

 銀貨2432枚

 大銅貨1429枚

 銅貨50枚


 神鉄の刀

 神鉄の槍

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神金銀の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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