1561
食堂で朝食を食べて店を出た俺達は、町の入口に向かって歩いて行く。登録証を見せて外へと出たら、少し歩いて離れてから木像を出す。魔力を流して走らせ、南西のキアブ村へと移動を始める。
それなりに離れているものの、木像の速さであっさりと見えてきた。もちろんスルーして国境のある西へと進んで行く。それなりに掛かるかと思っていたが、昼までにヴィラノーア連合国を出そうだな。
そう思っているものの、本来なら色々な町や村を経由するべき所を最短ルートで移動しているから早いだけだ。俺達が普通の馬車の速度に合わせる義理も無いし、早いに越した事は無いので気にしないのだが。
かつては気分が悪くなった事も吐いた事もあるが、皆も流石に慣れて問題無い。使わない理由は無いので、なるべく使う方向で行こう。ベルゲスト商国が儲かれば何でもいい国なら、バカが大量に釣れるだろうしな。
国境らしき所に着いたが、どうもヴィラノーア側の兵士しか居ない気がする。俺達は木像を降りて声を掛けながら近付き、登録証を兵士に見せた。向こうも木像を見ていたが、特に咎められる事も無く通す。
ただ、向こう側の国境で魔道具などを見せると、奪われるかもしれないから注意しろと教えてくれた。情報料として銀貨1枚を渡してから国境を越える。一応国境で揉めるのも嫌なので、向こうの国境までは走ろう。
皆も了承したので身体強化を使って走って行く。10分ほど走るとベルゲスト側の国境の砦が見えてきたので、近付くと速度を落として歩きに変える。特にこちらに悪意などは向けてこないが、一応注意しておこう。
登録証を見せると、適当にサッと見て返してくる。ちゃんと見てないと思うのだが、楽でいいなと考え直す。全員分をチラ見して通る許可が出た。どうやら、唯のやる気の無い兵士だったらしい。
元々悪意を向けてこなかったので、そこまで大きく警戒はしていなかったが、余計な揉め事が無くて良かった。ここで余計な揉め事があると情報が一気に拡散しかねないし、賞金首にでもされたら堪ったもんじゃない。
国境から離れながら話をし、見えない所まで離れたら木像に乗る。国境から西に村か町があるとは聞いたが、何という名前かも分かっていない。とりあえず進んで行くが、【探知】と【空間把握】は密に使っていく。
木像に乗って西に進んで行くと、町があるのを発見した。木像を降りて収納し、走って町の門まで行く。列などは無いので登録証を見せると、胡散臭そうな顔をしながらも通してくれた。
中に入ると普通の町なんだが、さっきの門番の顔が妙に印象に残るな。普通に見せた裏組織の牛耳る町とかだと、それはそれで面白いんだが……。前に一度そういう町があった以上、無いとは言い切れない。
まあ、そんな事は無いだろうけど、頭の中で遊ぶくらいは許されるだろう。町に入った後、6人に大銅貨1枚ずつを渡して情報を得る。まずは聞いた宿に行き、銀貨2枚で4日部屋をとった。結構高めだな。
その後、聞いていた食堂に入り、大銅貨13枚で昼食を頼む。席に着いて雑談していると、近くの席から話が聞こえてくる。
「相変わらずですな、この町は。国境に近いというのに、兵士にやる気が見られません。今までは相手から勧告があった後に戦争をしていますから良いのですが、もし奇襲などされたらどうするつもりなのか……」
「何も考えておらんのでしょう。王から任されている地という意識が無いのでしょうな。上手く統治出来ていなければ査定に響くというのに……無難に治めるとは、何もしないという事では無いのですがな」
「言っても無駄でしょうな。我等商人の言葉も聞きませんし、商国の名折れという事すら分かっておりません。典型的な小役人と申しますか、表面だけでも上手く治めているように見せたいのでしょうな」
「そんな事は我ら商人の伝手でやがて王都にバレるというのに……。賢くない者とは結局のところ、こういった者なのでしょうな」
この国は商人の国と言われているが、王城でさえ商人のネットワークを駆使しているのか。そりゃ侮れない国だわ。ヴィラノーアで聞いた事は一旦忘れて、自分の手で見聞きした方がいいな。明らかに情報網はこちらが上だろ。
昼食を食べ終わった俺達は、それぞれに分かれて情報収集を始めた。俺は子供達と2匹を連れてウロウロし、大銅貨を1枚渡しながら商国の地理を聞いていく。全部で9人に聞き、流石に十分だと思った俺は宿に戻る。
誰も宿に戻っていなかったので俺達が1番早かったらしい。送風機と冷房を設置し、キンキンに冷えた神水を入れて起動する。思っているより南に来たからか結構暑い。汗が噴出すほどではないものの、気温は上がっている。
地形的なことかもしれないが、ヴィラノーアよりは明らかに暑い。それでもサンズ王国ほどじゃない。あそこでも日本の夏ほどじゃないんだから、かつての祖国はどれほど暑かったのやら。
涼みながら子供達と遊んでいると、続々と皆が帰ってきた。外は暑かったんだろう、皆は涼しい部屋に御満悦だ。それはそうと、早速情報の擦り合わせを始めようか。
「俺の方はこの町ドテリオから南にアッサンという村があり、その南にソミサ村、そこから西にエッテオ町。そこがダンジョンのある町らしいという事が分かった。他には米が売ってる事と、紅茶も売ってる事ぐらいかね?」
「アタシ達の方も似たような情報さ。酒場に行ったりしたけど大した情報は得られなかったよ。まだこんな時間だしね」
「私の方は芳しくなかったわ。狩人ギルドに行っても、下らない者達から言い寄られたぐらいね。いちいち面倒だから流したかったのだけれど、手を出してきたから床にキスさせてあげたわ」
「僕の方もコレといった情報は無かったね。後はダンジョンのある町に行ってからかな? この国の国土自体は小さいらしいから、走って移動した方が良いかも。がめつい商人が多そうだし、木像がバレると粘着してくると思う」
「そうだな。俺だって面倒事は御免だし、そうするか。炙り出す場合は良いんだけど、商人は絶対にしつこいだろうし余計に面倒な事になりかねない。なら走っての移動で決定だな」
皆も異論は無いようなので、明日からはダンジョンのあるエッテオ町に向けて出発だ。少々早いものの、混雑する前に夕食を食べる事になり食堂へ行く。大銅貨13枚を払って食事を頼もうとすると、ダッシュボーアの丸焼きを指差された。
大銅貨を26枚追加し、丸焼きの削ぎ切り肉も追加する。席に着いた後、皆から時間が掛かった事を問われたので、丸焼きの削ぎ切りも注文した事を伝えた。子供達が目を輝かせて丸焼きを見ているが、まだ出来ていないので直ぐには無理だ。
雑談をしながらゆっくりしていると、徐々に客も入ってきたものの完成しない。子供達は適当に遊んでいるのでいいが、早く出来てくれないと機嫌が悪くなりそうだ。気を揉んでいると、近くから興味深い話が聞こえてきた。
「昨日、神殿で演説した奴が居るらしい。何でも神官どもが腐ってて碌な浄化魔法が使えねえんだと。だから神殿に頼るのは止めようって言ってたそうだ。たまたま出くわした奴が聞いてたらしい」
「よくそんな事を神殿で言ったな、そいつ。ある意味で凄いけど、凄いバカでもあると思うぞ。完全に神殿と神官に喧嘩を売ってるじゃないか。確かに誰もが効いてるか分からないって言うけどさ、それでも全く効かない訳じゃないからなぁ」
「それはな。まったく効かないなら邪生を弱らせたりなんて出来ないぜ。町で出た邪生を浄化してるところも見た事があるからなぁ。あれを見て、まったく効かないとは思わないよな。効いてるかは疑問があるけどよ」
「まあな。俺達に対しては手抜きしてるかもしれないし、そういうのは分からねえからなー。そもそも神官の奴等も信用ならねえしよ。心情的には演説した奴の気持ちも分かるぜ」
ここでも嫌われてるみたいだな。奴等が好かれたり敬われたりする場所は、この惑星上にあるんだろうか?。
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1561終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1649枚
銀貨2432枚
大銅貨1442枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




