1549
アイテムバッグから白い枷を取り出して小太りのオッサンに着けていると、後ろから抱きつかれた。まあ、ダナだと分かっているのだが、さっきの俺の怒りが嬉しかったらしく抱きついて離れない。
「アルド……アタシさ、ずっとアルドの女だからね///。ずっとずっと一緒だから、絶対に離れないし放さないから///」
「むぅ……このクソ貴族も使えませんね。私に対して言っていれば、今ごろは私が「俺の女」だと言われていたでしょうに。これだからクズというのは役に立たなくて困ります」
「本当にそうよ。ここまで妄想に浸っているなら、せめて私達全員に言うべきでしょうに。ここまで頭が悪いなんてね。アルドが聖人にしているから手を出さないけど、聖人にしないなら生きたまま焼き殺すところよ」
他の女性陣も文句を言っているが、それを聞いて王女一行がドン引きしてるぞ。もうちょっと言葉を選んでくれませんかね? ……まあ、俺も怖くて言えないから黙ってるんだけどさ。
それよりも兵士が割と多くて時間がかかるんで、女性陣に白い枷を渡して聖人化をしてもらう事にした。先ほどの事もあるから積極的に白い枷を嵌めているが、最初は使うのに少し驚いたようだ。
意志を持って念じれば、勝手に動いて嵌まるからなー。驚くのも仕方がない。見ているのと、実際に自分でやるのは違うからな。皆は見た事があっても自分でやるのは初めてだし、ビックリして当然だ。
聖人になったので枷を外し、王女一行に話させる。小太りのオッサンは急に憑き物が落ちたかのように穏やかな顔になり、平身低頭に謝罪し、自ら責任をとって当主を辞めると話し出した。
俺は横から、「責任をとるなら、自分の家も含めて立て直せ。それが責任のとり方だ」と言っておく。王女も納得したのでその話はそれで終わりだ。横転した馬車を【念動】で元に戻すと、車軸が折れていた。
おそらくだが原因はコレなので【錬成術】を使って直してやり、もう下らない事はしないように言って木像に乗る。……いや、乗りたいからそろそろ離れてほしいんだけど。ダナ、聞いてる?。
そう言っていると、後ろからシュラが引っ張って剥がしてくれた。シュラに怒られるという珍しい状況だが、ダナは俺を見ているだけで碌に話を聞いていない。なので、まずは王都に行こうと話すと渋々頷いた。
ダナが日中にあんな風になるのは初めてだ。ああなるのは大満足するまで好きにさせた時なんだが……今は思い出さなくてもいいな。それより王都まで急ごう。無駄に時間をとられた所為で、昼を過ぎるのは確実だ。
その後は何事も無く順調に進み、昼を過ぎたものの王都に到着した。やれやれ、皆の機嫌は回復したか。途中で薄く気付かれないように【心静】を使ったぐらいだからな。そこまでしないと回復しない程の怒りで驚いたけど。
王都前の列に並び順番を待つのだが、そこまで多くの人数が並んでいる訳じゃない。おそらく時間的な事なのだろうが、少ないのは助かる。大量に順番待ちが居て、長蛇の列になっているよりは遥かに良い。
今は火の季節であり日光が降り注ぐ季節だ、炎天下の中で待たされるのは地獄だからな。その少ない人数も素早く動いているので、俺達の番は早く回ってきた。門番の登録証を見せたら、一瞥だけで通された。
これはこれで大丈夫かと言いたくなるが、ちゃんと見ているんだろう……多分。王女一行もサラっと見て終了だったが、アレは良いんだろうか? そういえば、ガイアルムで王都の門番が誘拐組織の者だった事があったな。
あんな適当に見ているだけなら、むしろ仕事を真面目にしない不良兵士って感じかな? 奴隷密売組織の者って感じはしない。あくまでも第一印象だから何とも言えない部分はあるし、ああ見えて実は……という可能性もある。
王都に入った俺は、直ぐに大銅貨1枚を渡しながら5人から情報収集をしていく。すると、スラムの中にある宿が安いと教えてくれた。スラムの中で宿を経営している奴が居るんだな。そう思ったが、あくまでも貧民街というだけだった。
無法地帯でありギャングのようなものが蔓延っている訳じゃなく、王都のスラムはただの貧民街なだけだった。つまり、巡回の兵士も近づけないという様な場所ではない。しっかり王都に組み込まれている地域だ。
俺達としてはそこの宿の方が面白そうなので、スラムの宿に泊まろうと思う。王女一行は城に行かなきゃいけないんだろうし、ここでお別れだな。そう言って、俺達は聞きだしたスラムの方へ行く。
王女一行は全員妙な顔をしたが、それでも俺達を止める事は無かった。聞いていたスラムは王都の東の端だ。ここの王都はドーナツ型ではなく、王城が奥にあり、その手前に貴族街、その手前に平民街となっている。
王城の後ろは近衛を含めた兵の宿舎や訓練場があり、十分な防御網が敷いてある。それはともかく東の端のスラムに着いた俺達は、聞いていた場所にあった宿に入り部屋を確保する。大部屋が空いていて良かった。
10日の宿泊を頼むと銀貨3枚だったので支払い、ついでに食堂の場所を聞いた。すると、宿の2軒隣が食堂だったので、俺達は昼食を食べに移動する。近くに食堂があって助かるが、味の方はどうかね?。
聞いていた食堂に入り、大銅貨13枚を支払って昼食を頼んだ。適当に座り、雑談をしながら時間を潰していると、オーソドックスな食事が運ばれてきた。いわゆる、パンにスープに肉という非常に分かりやすいメニュー。
とはいえ、味の方は悪くなく払った金額に見合うものだったので、この食堂は当たりだったと言える。こういう店は敢えてこういう所に店を構えているんだろうなぁ。目を付けられたくないんだろう。
そんな事を思いながら食べていると、妙にガラの悪い連中が入ってきた。そいつらは注文し、金を払って椅子に座る。ガラは悪いものの大人しく待っていて、店に対して何かをするつもりは無いらしい。妙な連中だ。
俺達は食事も終わったので店を出るのだが、ガラの悪い連中は何故か喧嘩も売ってこず大人しくしている。ああいう連中は直ぐに喧嘩を売って来る筈なんだが、いったいどうなってるんだ?。
必ず喧嘩を売ってくると決まっている訳でもないが、それにしたって完全スルーって訳が分からない。宿の部屋に入った俺は、送風機と冷房を設置して起動しながら皆に話す。すると、皆も似たような事を考えていたようだ。
「スラムに居るガラの悪い連中。普通は暴れたり喧嘩を売って回るのが当たり前なんだけどねぇ……。そいつらを捕まえて吐かせれば情報を得られたんだろうけど、喧嘩も売ってこなけりゃ、こっちを見もしない」
「アレはどうなんでしょうね? ガラが悪く見せているだけで、実は軍の者だとか近衛の者だという可能性はありませんか? そうやってスラムの中の怪しい奴等を炙りだしているとか」
「ハッキリ無いとは言わないけれど、そこまで可能性は高くないと思うわ。面が割れていなければ出来るでしょうけど、裏の組織があるなら情報は出回っているでしょう。誰が近衛だとか、誰が軍の兵士だとかね」
「ここが通常のスラムならそうなんだけど、ここが唯の貧民街だというのが引っ掛かるね。本当に近衛か軍の兵士かもしれない。住民にとっては暗黙の了解の可能性もあるよ。皆が知ってるけど黙っている可能性が」
「つまり、騎士や兵士に見えないように巡回をしているという事か。その線なら分からなくもないし、妙な連中が入り込んでも監視されているとは思うまい。監視者としては上手いと思う」
「でも見せ掛けだから怪しいけどね。僕達でさえ何か怪しいと思ったくらいだし、喧嘩を売ってこないから変だと思ったんだ。そういうところからボロが出そうな気はするけど?」
言いたい事は分かる。俺もチンピラ的な雰囲気を感じなかったから疑問に思ったんだしな。
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1549終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1649枚
銀貨2439枚
大銅貨1637枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




