1546
シュラが倒れて、アルメアが笑っている。奇妙な状況と言えばそうなので皆に聞いてみたんだが、単にシュラが怒って攻撃し、アルメアに返り討ちにされただけらしい。打撃で攻撃したら、悉く投げ飛ばされたそうだ。
血神の所で修行してたんだし、お互いの実力は知っていただろうに。何でシュラはアルメアに殴りかかったんだ? 往なされて投げ飛ばされたんだろうが、その辺りは分かりそうなものだが……。
「見ていましたよ。でも、手合わせなんてした事ないんです。まさか、あそこまで強いだなんて思った事もありませんよ。投げ飛ばすし、無理矢理に体当たりをしようとしたら避けされて倒され、足を極められるし……」
「まあ、投げ技とか関節技ってそういうもんだからなぁ。対人に特化し過ぎていて魔物なんかには使い難いだろうけど、人間種相手に押さえ込むのは得意だろう。特に1対1なら尚の事」
「ズルイです! 私だけ不利じゃないですか! 姉上にも勝てるような技を教えてください」
「いや、それを俺に言われても……。そもそもシュラがミノタウロスで遊ばなきゃ良かったと思うし、あれだけ大きな相手なら素手じゃ届かないって分かるだろうに。足は壊せただろうが、止めが刺せてなかったじゃないか」
そう言うと横を向いたが、遊んでいた自覚はあるらしい。いや、違うな。多少は遊んだものの、その後に倒せないので困ったのか。武器を取り出しても、シュラはリーチが短い武器が多いからな。あれ? 大太刀は持たせてある筈だが……。
「シュラには大太刀を持たせてある筈だよな。何で取り出して戦わなかったんだ? ………ああ。そのビックリした顔を見る限り、完全に忘れてたんだな。自分が持っている武器ぐらい把握しておこうか?」
「はい……」
俺は皆に中型のアイテムバッグがあった事と、中に罪を暴く水晶玉付きの腕輪があった事を話す。皆は聖人化の為の補助道具だと理解したんだろう、何とも言えない顔をしている。気持ちはよく分かるが、神命だから諦めてくれ。
俺は皆を立たせ、脱出紋へと向かう。既に脱出紋の位置は把握しているが、俺が居なきゃ大変な事になってるぞ。そもそも脱出紋でさえ石壁迷路から探し出さなきゃいけないって、相当の苦労をするし、場合によっては迷う。
迷路で迷子って地獄の様な状況だし、せっかく最奥まで来たのにこの仕打ちは流石になぁ。システムが見てるなら、流石に最奥でコレは可哀想だと思うぞ。せめて終わった後は速やかに帰してやれよ。
皆で愚痴を言いながら脱出紋に乗る。最後までウロウロさせられたが、やっと終わった。とはいえ、2日を予定していたのに1日で終わるとはな。石壁迷路だった反面、そこまで深くはなかったからか。
外に出たものの、まだ夕日は出ていないので夕方前らしい。狩ってきたモンスターをダンジョン街の解体所に売る。大した量を持って帰ってきていないので大きな金額にはならなかったが、それでも大銀貨13枚と銀貨4枚になった。
他のメンバーはもっと多く稼いでいるが、俺は血抜きとか【浄化】をしていたので多くを稼げてはいない。それでもランク1の新人が稼ぐ金額ではないんだろうけどね。木札をもらったので、町へと戻ろう。
門番に登録証を見せ、町の中へと入る。少し歩いて移動し、狩人ギルドの中に入ろうとすると「ドンッ」という音がした。……【空間把握】で調べると、巨人に投げられた奴が入り口の扉に叩きつけられたらしい。
またかと思いつつ扉を開けて中に入ろうとすると、入り口の扉に体重を預けていたのか扉が開かなかった。バカが支えて邪魔な所為で扉が開かないので、俺はノブを回した状態で無理矢理に押し込んだ。
男は立とうとしていたらしいが、俺に押される形になり前に倒されたようだ。俺にとっては知った事じゃないのでスルーし、受付の方に歩いて行く。
男はバカにされたと思ったのか近くに居た子供達を蹴ろうとしたが、股間にアッパーを喰らって現在悶絶している。他の狩人から爆笑されているが、本人はそれどころじゃないだろう。完全な自業自得だが。
俺達は木札と登録証を出し、手続きを頼む。チーム全員分なので時間が掛かるが仕方ない。素直に待っていると、股間を殴られた男がゆっくりと立ち上がり、憤怒の表情で子供達を睨みつけてきた。どうやらキレているらしい。
「こんの、クソガキィ!! よくも恥を掻かせてくれたな! 今すぐブッ殺してやる!!」
その瞬間、俺はウチのメンバー以外に威圧を放った。魔力と闘気と念力の複合だが、そこまで強くはしていない。それでも一瞬で冷や水を浴びせかけられた様に身動きが出来なくなる男。それを見ながら、俺はゆっくりと喋る。
「股間を殴られて怒るのは分からんでもないが、元々はお前がウチの子供達を蹴り飛ばそうとした事が原因だ。つまり自業自得な訳なんだが……お前、ウチの子供達をどうするって言った?」
「……ぅ……ぁ……」
「うん? どうするって言ったか聞いてるんだが答えてくれないか? …………答えろ!!!」
「……ひぅっ………」
少し強さを上げた威圧を言葉と共に放ったら、あっと言う間に気を失いやがった。調子に乗ってるザコなんてこんなもんか。そう思い振り返ると、受付を含めて完全に怯えていて、何やら臭いんだが……。仕方ない、【浄化】するか。
俺がこっそり【浄化】していると、上の階からドタドタと音がして、誰かが下りて来た。おそらくギルドマスターかサブマスターなんだろうけど、慌て過ぎたのか階段から転げ落ちている。おいおい、大丈夫か?。
「う……ぐ、痛たたたた。さっきの凄まじい威圧を放ったのは誰だ!? 場合によっては登録証を取り上げるぞ!!」
そのオッサンは体を起こした後で周りを見渡したが、周りの連中が一斉に俺を見たので、俺の方に歩いてくる。だが、その間に王女が体を滑り込ませて何やら話を始めた。最初オッサンは怒っていたが、今は顔面蒼白状態になっている。
「あ、ああ……そこのお前達。お前達が悪くない事は分かった。こ、今後は気を付けるようにな」
そう言って足早に去って行ったのだが、階段の最後の段で滑り、そのまま1番下まで落ちてきた。誰も笑わないが、笑いたくても笑えない状況なので必死に押し殺している。
オッサンは恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にして2階に戻って行った。
それにしても面白いオッサンだなと思っていると、俺達の登録証が戻ってきた。ランクは6になっているが、何故だ? 俺が首を傾げていると、王女一行が近寄ってきて教えてくれた。
「滅多に見ないソードバイソンとかデスサイズを狩ったのなら、上がって当然よ? そもそもデスサイズなんて普通なら殺されるような相手だもの、狩れたというだけで名が轟くぐらいなんだけど……分かってなさそうね」
「分かってないというより、アタシ達だとザコの1種でしかないからね。コレを狩った程度で? としか言えないんだよ。別に大して強くもないし、売れるのは相変わらず鎌部分だけだしね」
「あれはそのまま武器にして使うし、持っている奴は昔<首刈り>と言われて怖れられたんだけどね? あんた達なら大した事ないんだろうけど、鋼鉄の盾さえ切り裂く武器相手によく戦えるもんだよ」
「そもそもデスサイズが出る層まで行ける者なんて、殆ど居ないんだけど……それも通じてないかー。そこまで深く潜れる者も今は居ないし、過去に遡っても僅かに残っている記録だけ。倒して鎌を武器にしたのは<首刈り>1人」
「それ程までに名が売れる事をやっているのですが、興味無さそうですね。貴族が挙って護衛として雇おうとするぐらい……ああ、その顔で分かります」
「物凄く面倒臭そうな顔ですからね」
面倒臭いに決まってるだろ。何で貴族のお守りなんぞを名誉だと思わなきゃならないのか、意味が分からない。
▽▽▽▽▽
1546終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1649枚
銀貨2442枚
大銅貨1681枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




