1543
「まあ、君達の狙いは分かった。けど、私達に対して喰いつくか……いや、イデアに喰いつく可能性は高そうだね。イデアにとっては嫌だろうけど、顔とオーラはどうにもならないから諦めるしかないよ」
「それよりお腹空いたし、そろそろお昼だから1階に行こうよ。奴隷組織の事は話さなくても、他にも話のタネはいっぱいあるからさ」
エリアの一言に子供対も喜んだので、俺達は1階の食堂に行き大銅貨13枚を支払って昼食を頼んだ。テーブル席に移動して座ると、皆はダンジョンの事に関して話しているようだ。聞いた時には驚いたが、マジかー……。
「ええ、ここのダンジョンは王都近くのものとは違って独特なの。石の壁で区切られた迷路みたいなものでウロウロさせられるし、細い道からモンスターが飛び出してきたりするのよ。本当に厄介」
「1季節ほど前にも挑戦したんだけど、そのときも大変だったよ。酷い所だと、あたし1人がギリギリ通れる狭さの通路とかもあるのさ。そのうえ扉とかあるんだよ? 開けたらいきなりモンスターに襲われたりとかね」
それ、ある意味普通の”ダンジョン”じゃね? そう思うのは俺だけなようで、この世界の人からすれば凶悪なダンジョンらしい。明日から行く事になるだろうダンジョンは石壁迷路のゲーム的ダンジョンだと覚えておこう。
まあ、全てが石壁迷路じゃないらしく普通の屋外な地形もあるらしいので、そこまで難易度が高い訳じゃない。強いて言えば、洞窟よりもモンスターの配置が厭らしいぐらいだろう。それでも厄介な事に変わりは無いが。
それなりの昼食を食べて部屋に戻ると、王女一行もついていきて一緒に酒を飲んでいる。それが1国の王女のやる事か! とも思うが、よくよく考えればリンデ達と変わらないのか……。それがこの星の王女だと諦めよう。
送風機で涼みながら酒を飲んで寝てしまった連中は無視して、子供達と一緒に買い物に出る事にした。留守番はディルに任せ、俺達はエットンの町を散策する。ウロウロしていると食料店を見つけたので入り、中で買い物をする。
野菜を銀貨2枚分買って店を出たら、またブラブラと町を歩いて回る。後ろから尾けてくる者が居るが無視して回り、夕方前には宿に戻った。夜に仕掛けてくるなら、神殿に行くついでに聖人化決定だな。
部屋に入ると、酒を飲んでいたのか寝ている女性陣に王女一行が見える。またかこいつら……と思わなくもないが、この部屋の中だけなら眼を瞑ってやるか。起きているのはメルとリューとディルだけで、後は撃沈したようだ。
部屋の中と体を【浄化】し、空いてる窓へ【微風】の魔法で換気する。流石に酒臭いままでは子供達が嫌がるからな。まあ、俺も好きではないが、耐えられない訳でも無い。それはともかくとして、【冷風】で室温を下げよう。
流石にこれだけの人数が居たら暑苦しい。ここ最近、急に気温が上がっているので熱中症を警戒しないと危険だ。特に酒を飲むと理性が低下するからな。熱中症に気付かないまま意識を失う恐れもある。
冷たい神水を配りながら熱中症に気を付けるように話していると、撃沈していたメンバーも起きてきた。そちらにも冷たい神水を渡しつつ、熱中症の危険を改めて説く。去年か一昨年か忘れたが、帝国の山で倒れた傭兵が居たろ?。
「あー……そういえば、そんなの居たねえ。仲間も気付いてなくて倒れたんだっけ? 慌ててアルドが近寄って、水にハチミツとか混ぜたのを飲ませてた。……うん、今ちゃんと思い出したよ」
「私も思い出しました。あの新人女傭兵は気を失ってましたし、意識を取り戻しても眼は虚ろで危険な状態でしたね。確か、汗を大量に掻いて水分が減りすぎると、気を失って倒れるんでしたっけ?」
「ええ、私もそう覚えているわ。他にも色々あるんでしょうけど、アルドはこまめに水を飲んでいれば防げるって言っていた筈よ。色々難しい事は分からないけど、暑い時に水を飲めば良いだけなのは楽で助かるわね」
「難しい事が分からなくても、命の危険を回避出来ればそれで良いですしね。大事なのはそちらですし、細かいのは学者の領分です。私達が入り込むような所ではありませんよ」
俺だって体内のミネラルバランス云々と言われたって困るしな。そもそも自分が食べている物にどれだけの栄養が含まれているかなんて、この星じゃ今のところ不明だ。それを調べるだけの器具も知識も無い。
魔力や闘気が普通の世界で、元の世界と同じ栄養と考える方がおかしいからな。変な栄養の1つや2つは有ったとしても、何の不思議も無い。それよりも、そろそろ夕食の時間だし1階に下りよう。
神水を飲んだ王女一行も酒が完全に抜けているので、今は正気だし大丈夫だろう。何故か驚いたまま固まっていたが、アレは神水の効果に驚いていただけだ。そこまで驚く事か? とは思うがね。
1階の食堂で大銅貨13枚を支払い夕食を注文したら、席に座って適当に待つ。ボーッとしながら待っていると運ばれてきたので食べるのだが、至って普通の食事の中に何故か米が入っている。
正しくはスープの中に入れられているんだが、どういう事だ? エリアも蓮も頭の上に「?」と出るくらい困惑している。そんな中、何となくだが俺は分かった。
地球でも米を野菜扱いしていた時代とか地域があった筈。おそらくそれと同じで、米を野菜扱いしているからこうなったんだろう。でないとパンがあるのにスープ粥が出てくるっておかしいし。どっちかだけで良いだろう。
そんな事を話しながら食べるも、スープ粥が美味しくない。正しくは、間違って入れられた米がスープの良さを殺してる。何とも言い難い料理だなぁ……とはいえ米の扱いを知らないとこんなもんか。諦めよう。
エリアや蓮にとっては納得出来ない食事が終わり、双方が部屋に戻る。俺は送風機に冷房をだし、キンキンに冷えた神水をセットする。窓を開け、【凝水】を使って室内の湿度を下げてから閉めた。
子供達は絵を描いたりして遊んでいるので放っておき、俺は久しぶりにディルの指導をする。結構色々な技を教えられているので修正をさせながら過ごしていると、時間が経っていたらしく子供達が舟を漕いでいる。
なので子供達の物を片付けた後、2人を布団に寝かせてから2匹を寝かせる。【昏睡】を使うと早速連れて行かれたので、大満足させて寝かせる。全員の体と部屋を綺麗にし、勾玉で邪気を吸引して【浄化】した。
準備が整ったので、そろそろ出発するか。尾けてきていた奴等は、何故か宿の近くには追って来なかった。この宿に何かあるのか、それともスラムには近付きたくないのか。とりあえず後回しにして出発しよう。
隠密の4つの技を使い、窓から外に出た俺は神殿へと走る。敷地内へ侵入したら直ぐに宿舎へと向かい。中に居る連中に白い枷を嵌めていく。次々に聖人化しながら進み、さっさと終わらせていこう。
相変わらず時間が掛かるが仕方ないと思いつつ、それでも1人1人に聞いていく。それでも人数が少ないだけマシだと思おう。何処の国でも王都の数は多いし、聖人化しなきゃいけない数も多い。
神殿の聖人化がようやく終わったので、とっとと戻って寝よう。6割が多いか少ないかは何とも言いづらいがな。そんな事を考えながら宿の近くまで戻ると、何やら中で動きがある。
外から【探知】と【空間把握】で調べると、宿の従業員が何やらしているぞ? そもそもこんな時間に何故起きてるんだ? 俺も他人の事は言えないが、それにしてもおかしい。
従業員を確認していると、そいつはアイテムバッグを漁っていた。……あのバッグ、アレって王女の物じゃないか! 俺はアイテムバッグに集中している従業員に【衝気】を使い気絶させると、近付いて白い枷を嵌める。
色々考えられるが、まずは尋問が先だな。
▽▽▽▽▽
1543終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1636枚
銀貨2438枚
大銅貨1694枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




