1541
俺達は朝食後、準備を整えて伯爵軍を案内する。さすがに信じたと言っても説明は必要だ。俺は何処から入って行くかを教えつつ、実際に先行して案内する。後ろから伯爵軍がついてくるが、非常に足音が五月蝿い。
集落のゴブリンに気付かれる可能性が高いので、わざわざ【止音】を使って出来る限り聞かれないようにして進んでいる。何故俺がこんなことまでしなきゃいけないのか。そう思いながらも、ゴブリンの集落が見えるところまで来た。
俺達は後ろに下がり、後は伯爵軍にお任せだ。取り逃がしたとしても俺の責任じゃない。そう思い後方まで下がったら、一斉に突撃して行った。まあ、悪い策じゃない。一気呵成に攻撃し、混乱させれば殲滅の可能性は上がる。
取り逃がす可能性も上がるが、そこはベテランや騎士がカバーしているらしい。350もの兵士や騎士が居れば直ぐに終わるわな。そう思いながら見ていたが、意外に苦戦している。理由は死兵と化しているからだ。
流石に死なば諸共の相手を殲滅するのに、被害無しという訳にはいかないか。それでも少数の被害だけで終わらせている。どうやら騎士団は立派らしいな。それが救いか。俺達は邪魔にならない様に、先に森から出る事にした。
伯爵も森から出てきたが、非常に機嫌が良さそうだ。そこに王女が近付いて少し話すと、何やら紙を受け取っている。その後、俺達の方に来たので見せてもらうと、依頼完了の紙だった。これを提出して終了のようだ。
まだ昼にもなっていないので、カマクラまで戻ったら椅子やテーブルを壊し、その間にトイレを済ませてもらう。準備が全て終わったら木像を出し、カマクラを壊して全て更地にしたら、木像に乗って一気に移動する。
相変わらず乗せている奴等が五月蝿いが無視して移動し、途中で昼休憩と昼食を作って食べたら、再び町に向かって移動していく。昼と夕方の間くらいに町に帰ってくる事が出来たが、王女一行は地面に座り込んで起き上がれない。
最高速でも無かったのに、根性の無い奴等だな。そんな事を思ったが、いちいち言わないでおいた。三男は前に乗った時に慣れたからか、そこまでではない。ただし疲れているので座り込んでしまった。体力が無いなぁ。
「これって、体力の有り無しじゃないと思うのですが……。流石に簡単に耐えられるものじゃ、無いと思いますよ」
「そうか? ウチの女性陣も子供達も、お前さん達ほど疲れて無いだろ? まあ、慣れの部分も大きいとは思うが、それにしてもなぁ……」
そんな事を話している間に回復したのか、立ち上がり移動出来る程度にはなっていた。待たせていた門番に登録証を見せて町中に入ったら、まっすぐ狩人ギルドへと行く。扉を開けて中に入ったら、そのまま受付へ。
周りからジロジロ見られているが、気にせず王女一行と共に依頼完了の報告に入る。ゴブリンの森だから簡単に終わる訳が無いと訝しがられたが、王女が居る事と伯爵の直筆である依頼達成証があるので受理された。
ただ、俺達は寄生したとでも思われたのか、ランクは上がらなかった。まあ、ランク自体は極めてどうでもいいので、そこに興味は無い。俺達にとっては最早、町に入る時に税を払わずに済む物というぐらいだ。
それとスタンピードの時に何もしなくても済む可能性があるので、俺としては低い方がありがたい。そう言って、狩人ギルドを後にした。手続きにそれなりに時間が掛かったのか、夕方前と言う時間だったので食堂へと行く事に。
宿の4軒隣にある食堂に久しぶりに入り、大銅貨13枚を支払って夕食を注文し席に座る。王女一行は俺達のランクが上がらなかった事に対し、未だに納得できておらず文句を言っているので止めさせた。
流石に王女がブツブツ文句を言うのは、対外的に宜しくない。それに、前にもあったがランクだけで人を見る組織もある。お前のランクじゃ無理だってな。登録して直ぐだからランクが低いのであって、実力が低い訳じゃない。
そういう事を理解しない、数字でしか他者を計れない奴というのは必ず存在する。それが運悪く狩人ギルドの受付だっただけだ。ギルドマスターがそんな奴よりはマシだろう? 俺達が前に絡まれたのは、そんな奴だぞ?。
それを聞いたからか、王女一行も矛を収めた。そもそも貴族だって爵位でしか計れない奴が居るだろ? それと同じだよ。そう言うと、巨人以外は物凄く納得していた。この国にも似たような奴はやっぱり居るらしいな。
食事が来たので食べていると、王女から「何だか野営の時より味気無いわ」と小声で言われた。こっちにそんな事を言ってくるなよ。俺の料理は俺が納得するように、そして皆が納得するように作ってる。こういう店とは違ってな。
店だと仕入れ値や販売価格を始め、考えなきゃいけない事は沢山あるが、俺達の作る料理はその辺りをまったく考えていない。そりゃ美味い物が作れて当たり前だ。しかし店はそうはいかないんだから、そこは諦めろ。
まったく、余計な事を言い出しやがって。店の従業員なんかに聞かれてたらどうすんだ。限られた中で味を出すのは大変なんだから、せめてその辺りは分かってやれよな。何よりここは大衆食堂であって、高給料亭じゃないんだ。
外には見せず腹の中だけで収めたが、食事の際に気分が悪くなる事を言うなよな。それこそ王女だから腹の中に溜めこんで我慢してきただろうに……。いや、だからこそ市井に出ている今、表に出しているのか?。
まあ、どちらにしても俺には関わりの無い事か。夕食後、宿に戻って部屋へと入る。未だ部屋をとったままなので、休めるかどうかを気に掛ける必要も無い。王女一行も長めにとっていたので、さっさと部屋に戻ったようだ。
王女一行と話していて知ったのだが、この国にはダンジョンが2つあるらしい。1つはここワルダンの街から南に行った男爵の町にあり、もう1つは王都の近くにある。ちなみに南の男爵は三男とは関係の無い男爵だ。
そちらに行ってから王都に行く道順が良いだろう。そういえばゴブリンの森の討伐報酬が、1人大銀貨1枚だったのはどうだったんだろう? 傭兵的にどうなのか、酒を飲んでいるダナに聞いてみた。
「大銀貨1枚ねぇ……ゴブリンの群れというか集落と戦わせるとしたら安すぎる。ただ、騎士団や軍の手助けと考えたら結構奮発したというところだね。向こうもアタシ達が主体になったとは思ってないだろうから、こんなもんじゃないかい?」
「そうですね。そもそも上手く倒して血抜きをした後に浄化しても、大銅貨3枚でしか売れないゴブリンですから……大銀貨1枚というのは奮発したと言えるでしょう。400体を超える規模だとは思っていなかったでしょうが」
「もしかしたら、それで受付嬢は怪しんでいたのかもしれないね。ランク1の私達が役に立つ筈がないと。そう思い込んだのなら、王女一行を利用したように見えるんだろうさ。私達にとっては極めてどうでもいけどね」
「そりゃそうさ。あたし達は明日か明後日には出て行くんだから、この町でどう思われようが知った事じゃないね。次のダンジョンに行かなきゃいけないし、あんなのに関わってる暇は無いよ」
皆も多少カチンと来ていたのか、結構ボロクソに受付嬢を叩いている。まあ、宿の部屋の中で言うなら好きに言いなさい。<防音の魔道具>も使ってるしな。送風機も使っているが、今はそれだけで問題無いので冷房は使わない。
皆は久しぶりに外じゃないからか、ゆっくり酒を飲んでいる。とはいえ、カマクラでも旅の途中でもお構いなしに飲むので、そこまで落ち着いたからという感じはしない。強いて言えば町に居る安心感だが、ただの酒を飲む口実だろうな。
子供達は久しぶりに字の練習をしているので看ていてやると、先に女性陣の方が撃沈したらしい。女性陣をベッドに運んで寝かせた後、舟を漕いでいる子供達も布団に寝かせて、2匹と共に【昏睡】を使う。
ディルをキメて寝かせたら、体と部屋を綺麗にする。最後に勾玉で吸引と【浄化】をしたら、とっとと寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
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1541終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1636枚
銀貨2445枚
大銅貨1737枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




