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「重要なのは伯爵が知ってるかじゃなくて、ゴブリンをどうするかじゃないの? 特に見た目が同じだから、どのゴブリンが知恵のあるゴブリンか分からない事なんだよね。コイツだって分かれば倒せば済むんだけどさ」
「おそらくは1番奥に居るか、中央に居るとは思いますが……。裏を掻いてくる可能性は否定出来ませんし、知恵があるって本当に厄介ですよね。1体も逃がさずに殲滅するしか、方法は無いのでしょうか?」
「それが1番良いとは思うけど、あたし達の数じゃ圧倒的に足りないよ。かといって、あっちの連中が役に立つかと言えば……ねえ。あんなガチャガチャ五月蝿い奴等が近付いたら、頭の良い奴は直ぐに逃げるだろうさ」
「俺としては夜に調べに行って、知恵のありそうな奴は始末してこようかと思ってる。あの伯爵軍に任せてみろ、絶対に取り逃がす事になるぞ。とにかく知恵のあるゴブリンを逃がすと碌な事にならない。殺せる時に殺すべきだ」
その後も色々な話し合いをしたが、俺が暗殺しに行く事で結論は出た。400のゴブリン相手じゃ王女一行は足手纏いでしかない。5人だけで攻めても自殺行為でしかないし、伯爵軍が近付いたら逃げる恐れが高い。
結局、俺が暗殺するのが1番確実という答えになる。俺は皆からゴブリン等の死体を受け取ると離れた場所に行き、穴を掘って死体を放り込み【浄炎】で燃やす。灰と骨にしては放り込み、全て燃やしたら【粉砕】して土と混ぜ合わせて埋めた。
なかなかの数を殺してきていたが、場合によってはコレだけで逃げられる恐れがあるな。ゴブリンだけで40ほどは死体を焼いたから、あそこには450体ぐらいが居た事になる。少々殺し過ぎたとも言えるが、逃げない事を祈ろう。
皆の元に戻りながら全身を何度も【浄化】し、臭いを消しておく。そろそろ昼になるので昼食をと思ったが、何か言いた気にこっちを見ている王女一行。何かあったのか?。
「アルドがあっさり死体を燃やして埋めたから驚いてるだけさ。死体がアンデッドというかゾンビになっても困るんだし、燃やすのは当たり前だろうにね。最低限、首を別に埋めるくらいはするんだけどねぇ……」
「聞いたところ、この国では倒して埋めたらそれで終わりらしいですよ。それより酷い場合、野晒しが当たり前だそうです。その結果ゾンビが生まれているにも関わらず、この国では魔物の死体を野晒しにするそうで呆れますね」
「人間種だと穴を掘って埋めるくらいはするけれど、魔物に対してそこまでするのは1部の者くらいね。もちろんゾンビになるという事は知られているけれど、誰もが面倒臭がってやらないのよ」
「汚い国だね、本当に」
「「「「「………」」」」」
今まで、そういう視点は無かったんだな。死体の処理すらまともに出来ない国と思われるんだが、周辺国は何とも思わなかったのかね? それとも周辺国も似たり寄ったりなのか? そう思ったので料理しながら聞いてみた。
「我が国はそれなりに大きいから、顔色を窺ってくる国と我関せずの国しかないわ。南東にあるのが顔色を窺ってくる小国で、モリオム王国。南西にあるのが我関せずという態度を崩さない、ベルグスト商国よ」
「モリオム王国は国土が狭く、ダンジョンの無い国ですね。周りを山に囲まれていますので、毎年我が国から食糧を輸入しています。ベルゲスト商国は南西や西の方にある国と交易を盛んにしていますが、我が国には適度に物を売るだけですよ」
「ベルゲストは非常に強力な軍を持っているので、迂闊には攻められない国だと言われてるんだよ。商国の名の通り、商売が上手い国だから金を沢山持ってるとも聞いた事があるけど、あたしは詳しくは知らないね」
「大金を使っては良い装備を与え、更に兵士や騎士の報酬も良いので精強なんです。商売の国ですが、騎士になるのが金持ちへの近道と言われている程ですね。だからこそ金に靡く者は少なく、情報が取れないと上官が愚痴を言っていました」
「我が国は国土が広いですが元々連合です。かつての国境は開発されておらず、そこに魔物が沢山住み着いています。その御蔭で狩人の仕事はあるのですが、いつまで経っても開拓できずに放っておかれているのが現状でして……」
「それ以外にも多くの場所が開拓もされずに放っておかれ、魔物の住処と化しているわね。ここゴブリンの森もその1つよ。厄介な事だけど、国土だけは無駄に広いの。魔物が居ないなら良いのだけれど、そんな事はあり得ないし」
「魔物からの防衛費だけで膨大な金額を使う事になるので、我が国の発展は遅々として進まないと言われています。本当かどうかは……各貴族の収支なんて調べられませんし、年に1度の御前会議でも、毎回お金が無いと言うだけだそうです」
昼食が出来たので食べようか。メニューはジャガイモパンにグレイトシープの野菜炒め、後は貝と蟹のスープだ。王女一行はジャガイモパンを喜び、貝と蟹のスープに驚いている。実はこの国も内陸国で、海の幸は御馳走らしい。
誰かさんの椀には大量に赤いのが入っているが気にしなくて良い。代わりに蟹も貝も殆ど入ってないから。……いや、虐めじゃないよ。本人が貝や蟹よりも蛸を欲しがるんだから、どうしようもないだろう? 蟹も赤いけどさ。
蓮だけ大満足な昼食も終わり、今はゆっくりとしている。迂闊に集落に近付くと逃げる可能性があるので、今日の夜に暗殺するまで手出し禁止にしっておいた。王女一行も伯爵がやるよりマシだと思っているらしく、こっちに文句は言ってこない。
それに、現状をどう判断していいかも分からないそうだ。知恵のあるゴブリン自体なかなか生まれないものの、生まれたらどう対処すれば良いかというマニュアルも無い。逃がせば被害が拡大する。困った事になったと頭を抱えているのが現状だ。
つまり、俺が暗殺に行く以上に良い案は出せないし、そもそも何が良い案なのかの指針も無い。ついでに言えば、判断材料さえ碌に無いのが現状だ。古い時代に知恵のあるゴブリンが生まれた記録はあっても、どう解決したかの記録は殆ど残っていない。
今回ゴブリンの森の依頼を請けるにあたって色々調べたらしいが、どう解決したかの記録が狩人ギルドに殆ど無かったそうだ。人数を沢山集めて討ち取ったとあるだけで、それ以外は書いていなかったらしい。……判断材料には欠片もならないな。
子供達にそろばんを教えながら話を聞いていたが、女性陣は解決出来なかったから書けなかったんだろうと言っている。俺も同じ事を思ったが、皆も同じ事を考えたらしいな。ついでに王女一行も同じだった。
そのあたりの話をしながらも、何故か孫と三男は女性陣にそろばんを借りて学んでいる。フォルは矢を作成しているが、他のメンバーは雑談したりして過ごしているようだ。暇だろうが、今日は仕方がない。
夕日が出てきたので勉強を終え、夕食作りを始める。俺達は麦飯を食うが王女一行はどうするのか聞くと、王女一行も同じ物で良いそうだ。なんでも細長い米は見た事があり、モリオムやベルゲストでは食べられているらしい。
それを聞いたエリアと蓮のテンションが高いが、そこはスルーしてくれると助かる。ちなみに押し麦は知らなかったが、脚気に関しては知っていた。ただ、体が悪くなって死ぬ病気だとしか知られていなかったが。……ヤシマの国と一緒かよ。
俺はここでも栄養の事を多少話す事にした。脚気で死ななくなっても別の病気で死ぬだろうから、あまり大差は無いだろう。人間種なんて最後には病で死ぬもんだ。俺達は別だけど。
特に王女が熱心に聞いているのは、先代も先々代も脚気で亡くなっているからだそうだ。一応王女に詳細を聞くと、やはり麦白のパンしか食べていないらしい。それこそが脚気の原因なんだが、贅沢を知っていると難しいな。
まあ、王の健康なんて俺達にとってはどうでもいいんだけど。
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