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 王女一行とウダウダ話していると【探知】に森へと向かう反応があった。【空間把握】で確認してみると、伯爵軍の兵士が森に入って行っている。その話をすると、王女一行の方が驚いた。



 「伯爵は何故こんな雨の日に兵士を森に行かせるのかしら? それなりに雨が降っていて視界が悪く危険でしょうに。兵士の命を何だと思っているの?」


 「貴族なんてそんなものだろうに、今さら何を言ってるんだろうね? この国の王女は。何処の国でも貴族というのは変わりゃしないよ。所詮あんなものだし、こんな面倒な事、早く終わらせて帰りたいんだろうさ」


 「そうは言っても、雨の降る森の中なんて非常に危険じゃないかい? 臭いは薄れるだろうけどさ、得なのはそれだけで他は損しかないよ。幾らなんでも、近衛でさえ雨の日に戦えとは言われないけどね」


 「そもそも雨であろうが無かろうが、罠が仕掛けられている森に踏み込むのは慎重に慎重を期さねばなりません。もしくは非常に多くの経験をしてきている者を向かわせるかです。とてもではありませんが、そういった者は居なさそうですね」



 その時、遠くの方から悲鳴が聞こえた。雨が降っているから聞こえ難いが、【天耳】を使わなくても聞こえるほどの悲鳴だった。おそらく罠に掛かったか、魔物に殺されたんだろう。無茶振りのうえでコレかよ。碌なもんじゃないな。


 どうやら武人と聞く伯爵には、指揮能力も戦術を考えつく能力も無いらしい。こんな日は警戒の兵士だけ置いて、残りは素直に休ませるべきだろうに。雨の日にまで働かせて、兵士はいつ休むんだよ。


 ここまで移動してくる疲れも抱えたまま、テントの設営と森の探索。そして今日は雨の中の森への強行軍だ。指揮官としての能力が欠如しているとしか思えないな。普通は到着して野営の準備を終えたら1日は休ませるもんだろ。


 そうしないと兵士の集中力は散漫になり、不必要な怪我や事故に繋がる。疲労したまま戦わせるとか、正気の沙汰じゃない。切羽詰っている時ならしょうがないが、今はそんな時でもないぞ。



 「本当にね。主様が仰っている事が全てさ。あの伯爵は武人の家系だと言っていたけど、明らかに指揮官としての能力が欠如している。兵士の状態も把握しない、雨の日の危険も把握していない。何も理解していないとしか思えないね」


 「ただ兵士を突っ込ませるだけなのを、指揮していると思い込んでいるんだろうね。あたしを育ててくれた盗賊の親父でも、そんな事はしなかったっていうのにさ。貴族ってのは随分と頭が悪いんだね」


 「「「「「………」」」」」


 「擁護してあげるとすれば、この国の貴族だけではなく、多くの国の貴族が同じですよ。大体が大して役にも立たない連中です。極稀にまともな方が居ますが、それが珍しいという時点で答えが出ています」


 「本当にそうね。伯爵をまだマシと言ったけれど訂正するわ。伯爵も武人である事を誇る癖に、普通の貴族だったようよ。今日は兵士を休ませるべきっていうのは、私でも分かる事じゃない。誰か進言しないのかしら?」



 子供達がリバーシをしているので、俺はダリアの相手をしながら観戦している。途中、小腹が空いたみたいなので、凍らせてあるアルダを取り出し8分割して出してやった。すると、皆も欲しがったのでビレンも出す。


 王女一行も欲しがったので渡してやり、ゆっくりしていると昼が近くなったので料理を始める。今日の昼は簡単な物でいいやと思い、タコスモドキで終わらせる事にした。王女一行が何故か自分達の分も頼んできたので、自分達の分は自分達で作らせる。


 作り方を教えてやりながら、自分達で全粒粉を練らせていく。出来上がった生地は置いておき、フライパンでミンチ肉を炒めていくのだが、これは俺達の持ち出しでやる。向こうはゴブリン肉しか持ってないしな。


 余っているデスボーアの肉を炒めたら皿に盛り、野菜を適度に千切ったり切ったりして用意する。チャパティを焼いて皿に乗せたら、その上に野菜を敷いてミンチ肉を乗せソースを掛け、最後に二つ折りにして挟めば完成だ。出来た人から食べていく。



 「齧り付くってどうかと思ったけれど、コレ美味しいわね。それなりに簡単って言って良いのかしら? 知っていれば私達でも作れるし、肉を細かくしない作り方もあるそうだしね。まあ、知らなければ分からないのだけれど」


 「あたしみたいな庶民からすれば、齧り付く事には何とも思わないけどね? お貴族様とかは大変なんだろうけど、庶民なんて大したマナーも無いしさ。近衛になってから、いちいち覚えさせられたくらいだよ」


 「近衛は要人警護の際に晩餐に出席する可能性があるから、全員が問答無用で教わるのよね。近衛に庶民が入ってくる事はあまり無いけど、庶民と同程度のマナーしかない奴も居るから……」


 「甘やかされたボンボンか、それとも準男爵家とかですね。男爵家の場合は、上の家のお付きやメイドをさせる場合があるので、意外にしっかりマナーを熟知しているのですよ。1番隙が多いのが子爵家ですね。次いで伯爵家」


 「我が家の様な男爵家は大抵どこかの上位家の子供のお付きにされます。警護者であり、最後の盾として……。まあ、幸い我が家の者に関しては誰も死んでないので助かってますが、知り合いの家の者は盾になりましたよ」



 貴族は貴族で大変みたいだが、それを言われても「知った事じゃない」で終わる話なんだよなぁ。そもそも貴族が決めた、貴族社会の中でしか通用しない暗黙のルールなんて、庶民にとっては本当にどうでもいい話でしかない。


 先ほどの子供が盾にされるってのもそうだ。それが嫌なら爵位を返上して庶民になれば良いんだよ。爵位を持ったまま、やりたくない事はやりたくないって言われてもな。庶民からすれば、どうでもいい事にしか聞こえないし。


 そう言うと、子爵家の娘と宰相の孫と男爵家の三男が顔を背けた。貴族社会の馬鹿ルールという自覚があるんだろう、この件に関してはノーコメントらしい。王女は呆れていて、巨人族の女は我関せずだ。まあ、そりゃそうだろうな。



 「そんな馬鹿なルールが蔓延っていて、下らない上位の家の子供に振り回されて死ぬの? 何と言うか、何故そこまで……と思うし、何故そんなに愚かなの? とも思うわね。お付きまでは問題無いのに、なぜ身を挺する事になったのかしら?」


 「考えても無駄だよ。私は650年も生きてきたけどね、それで分かった事は、貴族という生き物は愚かで醜悪だという事さ。歴史上において、誰かが下位の家の者に庇われたんだろう。その子は亡くなったが、素晴らしいと褒め称えられた過去がある筈さ」


 「ああ、成る程。素晴らしい事を褒めただけなのに、いつ頃からかそれが当たり前になったという事ですね。最初は素晴らしい出来事だったのに、それを悪用する貴族が現れ、そして慣習化してしまった」


 「立派な事が、いつしか都合良く使われる道具になったって事かい? 本当に貴族どもは碌な事をしないね。自分の子を救ってくれた出来事が、自分の子を庇って当たり前に変わったと。そりゃ醜悪だと言われるよ」



 そんな話をして暇を潰している皆の横で、子供達にそろばんを教えている。何故か孫と三男はジッと見ているが、そろばんが珍しいのかね? 孫と三男は、面倒臭いので略す事にしたんだ。


 王女、巨人、長女、孫、三男。それぞれを現す言葉だ。俺は名前を呼ぶ気が無いのでこうなったのだが、5人全員が何とも言えない顔をしている。とはいえ、各国の王女さえ最初は名前呼びしていないのだから、俺としては当たり前だ。


 リンデは第3王女と呼んでたし、リヴィはランク12、キューレは王妹で、カイリは第2皇女。名前でなんて、そもそも呼んでいないからな。何故か猛烈に嫌がるが、間違いじゃないだろうに。


 下らない事は横に置いといて、そろそろ夕食だから準備するか。



 ▽▽▽▽▽


 1535終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1704枚

 金貨2679枚

 大銀貨1635枚

 銀貨2445枚

 大銅貨1750枚

 銅貨50枚


 神鉄の刀

 神鉄の槍

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神金銀の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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