1534
カマクラのある拠点の場所まで戻ってきたのだが、その時には既に蓮とイデアは起きていたらしく椅子に座って寛いでいた。作ってきたばかりの神水をコップに入れてやると飲み始めたが、何処に行っていたのか聞かれた。
俺は南東の方にある川まで水を汲みに行っていたんだと話すと、興味を失ったのか適当な返事で会話が終わる。何だったら興味を持ったのか聞きたいところだが、面倒な事を言われても困るので止めよう。
そのままボーッとしていると女性陣も起きてきたので、朝食の準備を始める。今日の朝はパンで良いだろう。小麦の全粒粉と塩と神水を渡し、メルと子供達にパン作りを頼んだ。フォルとエリアにはスープ作りを頼み、俺は唐揚げだ。
ウインドチキンの肉があるので、鍋に竜の脂を入れて熱して溶かし、小麦の全粒粉を付けて揚げていく。久しぶりの唐揚げだからか、チラチラと蓮やイデアがこちらを見てくる。君達はパン作りに集中しなさい。
冷めても美味しいだろうから今の内から揚げているが、ちょっと早かったかもしれない。そう思いながらもどんどんと揚げていき、終わったらサラダの準備をする。マヨネーズをアルダ酢で作ったが、味は……こんなもんだろう。
全ての準備が終わった頃に王女一行は起きてきたが、昨日の酒が残っているのか頭が痛そうだ。あのまま放っておこう。それじゃあ、いただきます。
「カリっとして、ジュワってきて美味しい! 冷めてるけどね、それはそれで悪くないの。揚げたては当然美味しいけど、冷めてても美味しい。どっちも美味しい唐揚げは凄いんだよ!」
「まあ、熱々が食べたいなら【加熱】すれば済むから、自分で魔法を使えば良いだけだしね。それにしても美味しい。鶏肉じゃないと、このバランスは出ないんだろうね。他の肉だと味わいが変わっちゃうし」
「そうだね。豚系や牛系や蛇系。それぞれに、ぞれぞれの良さがあるから甲乙付け難いんだよ。蛇系は鶏肉に似てるけど、似てるだけでやっぱり違うしねぇ。熊肉の唐揚げって食べた事ないけど、どうなんだろう?」
「さて? 熊肉も部位によっては脂が多いですから、部位によるのではないですか? ただ、普通に料理した時より臭くは無さそうですけどね。高温で料理されると臭味も消えやすいんでしょう」
「それはそうかもしれないけど、油に臭いが移りそうよ? アルドなら全部【浄化】してしまえるから良いのでしょうけど、普通にやるなら臭味を抜いてからの方が良いと思うわ。もしかしたら【聖潔】なら消せるかもしれないけど」
「そこまでは試した事が無いから分からないね。熊肉を食べる機会もあまり多くはないし、狩れても売る場合が殆どだから仕方ないんだけど。熊肉は上手く料理しないと美味しくならないから、料理人に売るのが1番だし」
「まあ、それはそうだな。アーマーベアとかソードグリズリーの場合は肉よりも皮や爪が優先されるが、それ以外の場合は肉の買い取り金額の方が大きいぐらいだ。とはいえ、普通の毛皮でも取引金額は大きいのだが……」
「水の季節の防寒具になるし、防具の上から羽織るだけでも高い防御力はあるからね。特にアーマーベアの毛皮は、毛の防御力も高いし。下手な革鎧より優秀だと思うよ」
「私達のように、御主人様がポンポン作るなんて事はあり得ませんからね。それにアーマーベア1頭で上手くいけば金貨です。自分達で使おうとは思わないでしょうし、チームメンバーが怒るでしょう。普通は」
「あたし達の場合、お金はアルドが持ってるし、後は酒代とかの私物用のお金を稼げば良いだけだからねえ。それ以上に持ってるけど、特に使う事は無いしさ。最悪はアルドに借りれば済むし」
どうやら王女一行も朝食の準備が終わったようだ。適当に肉を焼いたのと野菜、それに昨日買っていたパンか。昨夜は自分達で焼いたパンだったからな、買ったのを朝食に回したのか。硬パン……は買わなかったな、そういえば。
やっぱり嫌われてるんだなぁ。人を撲殺できる程に硬いし、仕方がないとは思うけどさ。あれはあれで便利というか、保険で持っておいて良いと思うけどな。俺達には必要ないが。ゆっくりと食事をしていたが、終わったので片付けるか。
食器を【浄化】して仕舞っていると、ポツポツと雨が降り始めた。今日は嫌な感じの空模様だったが、予想した通りに雨が降ってきたようだ。屋根が付いているから濡れないが、王女一行のテントは大丈夫かね?。
まだ食事中だから俺達は声を掛けないが、何だか嫌な予感がする。ちなみに俺達のカマクラは、入り口が地面より10センチほど高いので浸水は無い。ここはだだっ広い平原だから、カマクラが浸水するより流れていく方が先だ。
王女一行が朝食を食べ終わったようなので聞いてみると、慌ててテントへと向かって行った。テントを畳んでアイテムバッグに仕舞っているところを見ると、どうやら浸水していたらしい。正しくは水が入ってきていると言うべきか。
俺達の方を問われたので、俺達のカマクラは問題無いと言っておく。ジトっとこちらを見てきたので、仕方なく作ってやった。女性用のカマクラと男性用のカマクラ。繋がっているのはトイレだと言うと物凄く喜んでいる。
いちいち外に出て用を足すのは面倒だし、外に出ると襲われる可能性はそれなりに高い。襲ってくるのは男じゃなくて魔物であり、用を足している最中は無防備だからな。簡単に殺されてしまう。そんな危険を冒しながらは嫌だろう。
今日は雨である以上、狩りには行けないので休みとなる。向こうの伯爵軍も何やら慌しく動いているが、どうやら水がテントに入ってこない様にしているらしい。大変だなと言いつつ眺めていると、王女一行に呆れられた。
「呆れるけれど、それより王女一行と言うのは止めてくれない? 私は名乗ったのだから、普通は名前で呼ぶなり姫と呼ぶなりするでしょう。何故、纏めて一括りなのかしら?」
「そんな事をアルドに言っても無駄さ。関わりが深くならないと相手の名前も覚えようとしないからね。アルドにとったら役職だろうが立場だろうが、等しくどうでもいいんだよ」
「どうでもいいと言うより、興味が無いと言う方が正しいな。どのみち処分する相手なら覚える必要も無いし。俺が覚えなかったり適当に呼ぶって事は、未だ判断を下していないという事だ」
「つまり何かあれば聖人にされるか、ひっそりと土の下に埋められるという事です。今までも多くの者が殺された後に焼かれ、灰と骨を粉砕されて土と混ぜられ、そして埋められましたから」
「ああ、そんなに警戒しなくても大丈夫よ。人格に問題があったり大きな罪を犯したりしていない限り、アルドが処罰をする事は無いわ。今はまだ、貴女達の事が分かっていないという事ね」
「分からないから判断が下せない。まあ、普通の事さ。少なくとも主様が手を出されていない以上は、君達に大きな問題は無いという事さ。そのうち名前か何かで呼ばれると思うよ。今までもそうだったしね」
「リンデやリヴィにキューレやカイリ、それにリズロッテやセシルにアディアムか……。よく考えれば多くの王族などと関わってきたのだな。アルドに会うまでは、王族と関わる事など殆ど無かったのだが……」
「僕もそうだよ。というか、アルドと会わなければ始祖と同じ姿になる事も無かっただろうね。何だかアルドを中心にして物事が動いている感じがするけど、もしかして神様が何かしてるのかな?」
「石板を下ろしたりとか、ご主人様に「ああしろ、こうしろ」と仰ってきてますよ? この国へ来たのも石板に地図が描かれていたからですし、神様のお導きで来たと言っても差し支えないのでは?」
「まあ、そうだね。神様はこの国で何をしろと仰ってるんだろうね? 賢くなったゴブリンの始末かな? でも、神様にとったら人間種もゴブリンも変わらない筈なんだけど……だよね?」
「特に変わらないな。神々にとったら、どちらも生き物でしかない。邪気の浄化をするなら、そちらを多少助けてやる……というぐらいか。だから邪気の浄化は進めなきゃいけないんだが、神殿の奴等はクズばかりだからな」
「「「「「………」」」」」
神様方のスタンスを知らなかったからか、王女一行は驚いている様だ。
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1534終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1635枚
銀貨2445枚
大銅貨1750枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




