1529
町に帰りながらも話は続けているが、俺達がこの国の者ではないとは思っていたものの、北からやって来たとは思っていなかったらしい。その事を説明したら驚いていた。それと山奥の村が壊滅している事も伝えたら、何とも言えない顔をしている。
とはいえ、自国の村が壊滅していたという情報だ。感謝は伝えてきた。あの村の話を聞くと、どうやらスラムに住んでいた者を強制疎開のようにして連れて行き、作らせた村らしい。町に居ても邪魔だったんだろうな。
スラムの住人は全て犯罪者という訳じゃない、そこで生まれ落ちた子供はどうする事も出来ないからだ。だが、町で普通に生きている人からすれば、いつ犯罪者になるか分からない者達となる。どう考えても、両者は相容れない。
当たり前の事ではあるものの、だからこそ支援してでも山奥の村へと無理矢理に移住させたんだろう。その後は徹底的にスラムを作らせない様にしているらしいし。それ自体は良い事なのだが、多分また作られるだろうとは思う。
そんな事を話しながら町へと戻ると、領主の軍が丁度出発するところだった。ゴブリンの森へと行くらしいが、随分と遅い出発だな? 何かトラブルでもあったのかは知らないが、今から出発して、向こうに着くのはいつになるのやら。
そう思っていると、領主らしき貴族がこちらにきて王女と話し始めた。俺達は関係無いんで、そのままスルーしようとしたら止められる。……何でだよ。
「貴方達にもゴブリンの森の討伐をお願いすると言ったでしょう? 代わりに貴族関係の面倒な事は私が排除するわ。だから手伝ってもらいたいの」
「ふむ。姫様、こちらの者達が役に立つと申されるので? それならば良いのですが……」
面倒臭い奴だな、いちいち口を開く気も失せる。どうしてこう、貴族どもというのは同じ様な事しかしないし言わないんだ。貴族はテンプレ通りに行動しなければいけない決まりでもあるのか? 意味が分からないな。
「マッコール伯爵。彼らに対する嫌味より、ゴブリンの森の討伐の方が重要なのではなくて? このような所で、愚かな貴族どもと同じ事をされるのかしら?」
「ハハハハハ! これは失敬。ではそろそろ出発すると致しましょうかな。……おいっ! 出発だ!!」
「「「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」」」
伯爵は馬に乗り、馬に乗った騎士達に周りを護衛される形で出発した。兵士達がブーツで土を踏み鳴らす音が大きく、なかなか迫力のある光景だ。まあ、それだけと言えばそれだけなんだが……。
俺達は町の入口のすぐ近くにある解体所へ獲物を持って行き、そこで売ったものの大銅貨5枚にしかならなかった。ネイルラビットはそれなりに持ち込まれるからだろう。ルーデル町の近くでもよく狩られる魔物だしな。
終わったので俺達は宿に戻ろうと思ったら、何故か王女一行がついてくる事に。どういう事だと思ったら、明日からの日程を決めたいとの事だった。どうやら本当に俺達をゴブリンの森に行かせたいらしい。
仕方なく宿の部屋まで連れて来て、話し合いとなった。何でこの国の者ではない俺達に、ここまで言ってくるんだろうな? 普通は自分の国の者でどうにかするべき事だぞ。そんな事を丁寧に包んで言ってやる。
「言いたい事は分かるのだけれど、ゴブリンの森では結構な狩人も亡くなっているのよ。更に言えば、被害が多すぎると言うべきね。ゴブリンがそこから出てこないなら良いのだけれど、私達の国を滅ぼすほど巨大な群れになっていたら……」
「その可能性が否定出来ないって事かい。……厄介な事に巻き込んでくれるじゃないか。聞いた以上は「知りません、関係ありません」なんて言えないしねぇ……。皆、どうする?」
「私としてはどちらでも良いですけどね。ただ、あの伯爵の指揮下は御免被ります。もしアレの下で戦えと言うなら、私達はここから去りますよ。典型的なクソ貴族みたいですしね」
「いえ、一応アレでもマシな方ですよ。マッコール伯爵は良くも悪くも武人系の貴族で、力の無い者を認めません。逆を言えば、実力のある者は平民でも認める方です。貴族という特権階級に凝り固まっている者よりはマシなんです」
「その割には本人の身のこなしや足運び、体重移動や重心移動も素人そのものだったけどね? アレで武人系とか言われても、私達にすれば「素人に何が分かる」としか思わないよ」
「まあ、そうねえ。私達もそれなりには色々と戦ってきたし、私達でなければ殺されてるんじゃないかという敵とも戦ってきたわ。その立場からすると……どうしても、ねえ」
「そうだな。あの伯爵はどう見ても素人だ。貴族だから仕方がないとも言えるのだが、それで武人系というのは……な。私達からすれば、節穴の目しか持っていない者に何が分かる。そう思うのは当たり前の事だ」
「そこまで言うんだね。とはいえ、あたしでさえ圧倒される力だ。そう言うのも当然なんだろうさ。姫、どうするんだい? この人達は姫の下についてもらった方が良いと思うけどね。もちろん命じない形で」
「ええ、分かっているわ。私達は明日から行きましょう。そもそもゴブリンの森はそこまで遠くないし、半日もあれば着くわ。まあ、だからこそ問題なのだけれども。本来は伯爵家が早く手を打っていれば良かったのよね」
「仕方ありませんよ、姫。軍を発するにもお金が掛かります。しかもゴブリンという、儲からない魔物相手に軍を発するとなれば大赤字は確実。二の足を踏むのは貴族として当然かと」
「そうですね。私が家臣なら、間違いなくお止めするように進言します。それぐらい、今回の遠征は赤字塗れでしょう。殺したところで食べられない、肥料にするのも時間が掛かる。そんな魔物ですから」
「あんた達は知らないみたいだけど、ゴブリンの肉は食えるよ? 北の国でも食べてるし、あたし達だって食べてるしね。食べ方はアルドが発見したから、アルドが良いなら聞いてみたら良いさ」
急に何を言い出すのかと思ったが、まあゴブリン肉の食い方ぐらい別に良いか。そう思ったら王女一行は俺達に向けてドン引きするような顔をしていた。どうやら耐え難いほど臭いのは知っているらしいな。
「どうやらゴブリンが耐え難いほど臭い事は知っているようだな。自分達で食べてみようと手を出したのかい?」
「ええ。幾らなんでも大袈裟に言われ過ぎていると思ったのよ。焼いて直ぐに理解したわ、あんな汚物を食べれられる訳が無い。あの臭いだけで絶対無理よ、耐えられる訳が無いわ」
「……まあ、いいか。ゴブリンは血抜きをキッチリ丁寧にして、切り分けた後で【清潔】の魔法を何回か使えば臭味は殆ど無くなるぞ。そうすれば普通の肉と同じように食べられる。これは既に分かっている事だ」
「「「「「………」」」」」
「胡散臭げにアルドを見ても、事実は変わらないよ。ゴブリンの森にアタシ達を連れて行くっていうなら、その時に食べさせてやるさ。もちろん嫌がらせじゃないよ。ガイアルムじゃ救われてる子も多いだろうからね」
「ゴブリンなんて居なくならない魔物の筆頭ですからね。アレが食べられるという時点で、食糧事情は大きく改善します。まあ、この国がどうするのかは知りませんけどね」
話の最中に服を引っ張られたので見ると、子供達はお腹を空かせているようだった。時間的にも昼ぐらいなので、ここに居る全員に言って食堂へ移動する事を言った。王女がどうするのかは知らないが。
そう思ったら王女も食堂に行くらしい。良いのか? と思ったが普通に食堂などで食事をするそうだ。まあ、庶民に紛れるならそれが1番良いんだろうけどな。変わった王女でもあるし、知り合いの王女を考えると普通だな。
俺もおかしな王女に毒されてるのか、それともこの星の王女はこんなものなのか……色々、判断に困るな。あの王女4人も、今は何をやっているのやら?。
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