1527
狩人ギルドの入り口の扉に内側からぶつかった奴が居る。正しくは叩きつけられた奴だろうが、派手な音がした以上は少々警戒せざるを得ない。とはいえ、警戒するだけで入らないという理由は無いので、さっさと中に入ろう。
入り口の扉を開き中へと入ると何やら騒いでいるが、俺達はそれを無視して受付へと進む。カウンターには2人居たが、右側の受付嬢に登録しにきた事を告げると直ぐに用意をしてくれた。どうやら、この程度の荒事は普通らしい。
登録料は1人銀貨2枚だったので、傭兵や冒険者に魔戦士よりは高値だ。それぐらい払える奴じゃないと駄目って事なのかね?。
少し待っていると、左に居た受付の男性も手伝い始め、手早く俺達の登録をしてくれる様だ。そんな中でも5人組は未だ吠えている。【空間把握】を使って分かったが、背の高い女の1人と軽装の女の1人は男だった。
かなり華奢で女性っぽい装備をしているが、男である事は間違い無い。胸の部分が膨らんだ革鎧を着ているが、中には詰め物がしてあるだけだ。更には股間にモノが付いているんだから、確実に男である。何故女装しているのかは知らないが。
体のデカイ女は巨人族で、背の高い女の1人は魔人族。軽装の女は狼人族だな。背の高い女装男はエルフで、軽装の女装男は人間族だ。で、こいつらは何故に暴れてるんだろうな。俺はそちらを一切見ていないが、女装の事を詰ったのかね?。
渡された書類に記入し、子供達にも記入させた。実際に子供達は魔法を使って戦える事を言い、【風弾】の魔法陣を展開させた事で信じてもらえた為、特例で認めてくれた。本来は5歳の子供に発行したりはしないらしい。
そのまま狩人ギルドの登録証が出来るのを待っていると、後ろからデカイ女が突っ掛かってきた。
「おいおい。特例で認められるとしてもだ、そんな子供を戦いに出すなんて事が許される筈がないだろう。あんた達も1度潰されなきゃ理解しないのかい? ………何とか言いな!!」
そう言って殴り掛かってきた拳をエリアが右手で止めた。向こうは女性と言えども2メートル50センチほどで、エリアの身長は2メートル30センチだ。ただし巨人族の平均を考えると、向こうが大きいだけだと言える。
そんな巨人族の中でも大きい女性がぶん殴ってきた訳だが、エリアは涼しい顔で普通に受けきっている。まあ、当たり前の事だし、そもそも身体強化すら使っていない。使わなくとも、あんな遅いパンチに反応できないエリアではない。
「同じ巨人族として情けないねえ。そんなへっぴり腰で気合いも入ってないパンチしか打てないのに、この程度で調子に乗るなんてさ。……ほら、どうしたんだい? もっと気合い入れて力を入れな!」
握り拳のまま相手は腕を引こうとしているんだが、それをエリアが許さない。相手のパンチを受け止めた後で鷲掴みにし、無理矢理に力だけで相手の腕を引かせなくしている。邪生の心臓で反射神経だけじゃなく、当然パワーも増えている肉体だ
早々同族に負けるような弱さはしていない。相手は力を入れても腕が引けないと分かったからか、もう片方の腕で殴り掛かってきた。エリアはそれを回避し、相手が腕を引くのに合わせて押し出す。すると綺麗に後ろに押され尻餅をついた。
「くっそ、お前なかなか良い度胸をしてるじゃないか! あたしをここまで怒らせるなんてね!! 表に出な! 叩き潰してやるよ!!!」
「別に良いけど、あたしは登録証を作ってる最中なんだよ。それを取り上げられる様な事をする気は無いんでね。喧嘩したら無くなるって言うなら、あんた1人でやりな。で、殴り合いの喧嘩はどうなんだい?」
「まあ、殴り合いの喧嘩程度でしたら、登録証を失効させられる事はありません。流石に武器を使って攻撃した時点で、失効要件を満たしてしまいますが……」
「なら、外へ出な。あたしが馬鹿な同族を叩き直してやるよ」
「叩き直されるのお前の方さ!! あたしの二つ名が何故<豪腕>なのか、その意味を教えてやるよ!!」
エリアと<豪腕>は建物の外に出て喧嘩をするらしい。放っておけばいいかと思い見送り、俺達は登録証が出来るのを待つ。しかし、何故こいつらは女装しているのだろう。よく分からないがアレか、性同一性障害とかいうやつか?。
ああいうのって詳しく知らないから分からないんだよな。だからスルーするのが1番だろう。背の高いエルフ男はジッとフォルを見ているけど、その視線をフォルはスルーしている。流石だよ、フォル。でも【念話】で泣き言を言うのは止めよう。
それはともかく登録証が出来たので受け取り、エリアの分は俺が持って行こうとしたその時、入り口が開いてエリアが入ってきた。チラリと見えた先には、巨人族の女が蹲っていた。いったい何をやったんだ? エリアは。
「おっと……登録証が出来たんだね。何処の組織も変わり映えしないけど、登録証なんてそんなもんか。それよりもアルド、ちょっとやり過ぎたから薬をくれないかい? 鳩尾を突き上げたら、血を吐いちゃってさー」
その一言を聞き、慌てて巨人族の女の仲間が走って様子を窺いに行く。俺達も外に出るが、巨人族の女は蹲り「ゴホッ!」と言う度に多少の血を吐き出している。身体強化は使わなかったようだが、それでこれだけの差があるのか……。
向こうの仲間は何とかしようとしているが、面倒なのでコップに少しだけ神薬を入れて渡す。持ったまま何もしようとしないので無理矢理飲ませた。向こうの仲間が怒り出したが、「ゴホッ!ゴホッ!」と2度吐くと、後はスッキリした顔になった。
「あー、あ、あー……。すまない、さっきの薬が何かは知らないけど助かったよ。まさか一撃で血を吐くほどにやられるとは思わなかった。流石にここまで強い同族は初めてさ、あたしの完敗だね」
「すみません。瞬時に効くという事は、非常に質の良い高価な薬だったのだと思います。薬の代金はお支払いしますが、いったいどれ程の金額なのでしょうか……?」
そんな恐々と聞かれても困るんだがな。俺は別に金を取ろうとは思ってないし、しかし思っているより普通だな? 慌てているからか、それとも何か理由があるのか。そこら辺を聞くのが対価かね? まだ朝の時間帯だし。
俺が「何故女装しているんだ?」と聞くと、途端にエルフと人間族は渋い顔をし始めた。小さい声だったが、これは囮としての役目でやっているらしい。実は魔人族の女性は家柄の良い人物で、色々な所に行っては裏の組織に狙われるそうだ。
それを逆手にとって相手を罠に嵌めているのだが、最近は女装もバレているらしく然程効果が無いらしい。なので男2人は女装を止めたいそうなのだが、未だに通じるかもしれないという理由から、女装を続けさせられているんだとさ。
とはいえ、魔人族の女性も悩んでいるみたいだし、もうちょっと押せば大丈夫じゃないか? そう言うと、エルフの男性と人間族の男性は必死にアピールしていた。もうこの策では無理だ、情報が出回ってしまっている等。
それはもう必死過ぎるほどアピールした結果、どうやら女装は無しになったらしい。良かった、良かった。流石に家柄で無茶振りされているのを見るのはなー、やっている事はパワハラだし。良い事とはとても言えない。
魔人族の女性がチームリーダーである為、魔人族の女性が行動指針を決めるのだが、彼女は何故か俺達の事を知りたがった。俺達は貴族なんかに関わりたくもないし、興味も無いのだが、ここで断ると面倒になると予想したので受ける事に。
ただし外に出て、適当な魔物を倒しながら話をする事に決める。流石に登録初日から何もしないというのもどうかと思うので、適当な言い訳が出来る程度の戦果は欲しい。それを話すと納得したらしく、一緒に外へと歩いて行く。
昨日と同じ門から外に出て、適当に魔物を狩るか。面倒な荷物が居るが、気にしたら負けだ。そう思いながら魔物を探してウロウロするか。会話は……適当でいいや。
▽▽▽▽▽
1527終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2458枚
大銅貨1784枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




