1524
食堂に行き、大銅貨13枚を支払って朝食を注文する。席に座って皆と雑談していると、直ぐに運ばれて来た。少し急かされている気分になりながらも食事を始めると、何やら大きな声で話す奴等が来る。どうやら町の人らしい。
その大きな声の連中は注文を終えると、近くに座って大きな声で話し始めた。傭兵というか魔戦士と同じくらい五月蝿いな。職人関係の人達なのかね?
「さっき家を出た後で聞いたんだがよ、朝っぱらから南東のあそこで邪生が出たんだと! またあそこかと思うが、お役人は何にもしねえしなあ……、そろそろあそこ、一旦取り壊してくれねえもんか」
「もし壊したら、あそこの連中が散らばるだけで碌な事になんねえぞ? ああいう連中は一ヶ所に固めておくのが1番良いんだよ。気に入らねえからって潰したら、連中が何をし始めるか分からねえだろ?」
「そうそう。潰して街中に散らばられるよりは、固まってくれていた方が対処しやすいってもんさ。色々な地区に潜まれたら、対処も出来なくなるかもしれないんだぜ? それに比べたら何とかなってるだけマシってもんさ」
「そんなもんか……」
「「そんなもんだ」」
間違いなく正しい。自分が気に入らないからって排除し続けたところで、居なくなったりはしない。世の中を良くする為に、生物を全て聖人にするようなもんだ。そんなの、どう考えてもディストピアだろうに。
あれが気に入らない、これが気に入らないって、どっかの赤い独裁者みたいだな? とりあえず元の世界は横に置いておくとして、排除し続けたところで無くならないものは、排除しても無駄って事だ。コントロールするしかない。
そういう意味でも、貧民を一塊にしておく事は正しいと言える。気に入るかどうかではなく、リスクが許容範囲に収まっているかどうかの方が重要だ。そういう意味では治世として間違っていない。そんな話を食事時にする羽目になった。
何だか味気無い食事になったが、皆は割と真剣に聞いている。どうやらリスクをコントロールするという視点は珍しいらしい。まあ、この星はまだそういう時代ではないし、仕方がないとは思う。焦るような事でも無いしな。
朝食後、ヴォンズの街を出発して南へと進んで行く。ある程度の距離を走ると、国境の砦が見えてきたので速度を落とす。そこに居る兵士に誰何されたので、魔戦士である事を大きな声で伝えた。
すると、木製の柵を開けて兵士が出てきたので、俺達の登録証を見せる。何故こっちに来たのか問われたので、素直に南の国に行く為だと伝えた。自分達は旅をしているので知らない国に行ってみたい。そう伝えると困惑している。
危険だと言われたものの、自分達は危険を覚悟で行くのだと伝えたら、溜息を吐きながらも許可を出してくれた。強行突破しても良かったんだが、それをすると戻ってくる羽目になった時に面倒な事になる。
砦と言っても大した物でもなく、どちらかと言えば簡易宿舎と言った方が正しいと思う。木製の柵の周りには堀が有り、その中心に兵士が寝泊りする宿舎があるだけ。一応は砦だと言えるが、本当に攻められたら簡単に燃やされるな。
そんな事を考えながら通過し、南へと進んで行く。砦から見えなくなったら木像を出し、皆が乗ったのを確認したら地図を元に移動して行く。南へと進んで行き、山と山の間に流れる川を進んで行く。
精霊木に変わっても【水歩】と同じ効果はあるので、余程の魔物が生息していない限りは川の上を走る方が速い。いちいち山の中を移動するのが面倒臭いだけとも言えるのだが、こちらの方が迷わずに移動する事が出来る。
結局、川に沿って移動するか、川の上を移動するかの違いしかない。皆も移動に集中しているので良い感じに移動する事が出来た。特徴的な岩があったので止まり、そこから山の方に入っていく。川の上を移動した所為か、思っていたより早く着いたな。
山の中に村があるようなので、そちらに進むのだが……おかしい。【探知】に生命反応が無い。村があるなら生命反応は必ず在る筈で、無いという事は誰も居ないという事になる。魔物の反応はあるのだが、人間種の反応が無い。
神様の地図が間違っているとは考えられないので、他に何か理由があるのだろうかと考え、1つ嫌な事を考えた。慌てて確認すると、その予想は完全に当たっていて、何とも言えない気分になる。居たのはアンデッドの群れだ。
地図に描かれた村の位置に来ると、確かに村はあったのだが、アンデッドが徘徊する滅んだ村だった。俺達は手分けして浄化していき、村人の死体を一ヶ所に集める。それが終わったら村の中心に穴を掘り、死体を入れて【浄炎】で燃やしていく。
村の住民は完全にアンデッドと化していたが、肉体はかなり腐敗していたり、食い荒らされた跡もあった。どうやら何かの魔物に襲われて全滅したっぽいのだが、それを裏付ける証拠が無い。ゾンビになっている以上は、何がしかの理由は在る。
とはいえ、それを俺達が解き明かす意味は特に無いんだよな。既に村人は全滅してるし、弔いも終わったからなぁ。村の中を【浄化】するものの、原因を調べる気は特に無い。
遺体を焼くのは皆に任せて、俺は村の中を綺麗にしよう。流石に昼を食べるにしても、ゾンビが居た中で料理をするのは気分が良くない。なので丁寧にしっかりと【浄化】していく。村の中の物には当然手をつける気はない。
綺麗にした対価ぐらい貰ってもいいかとも思うが、山奥の寂れた村にある物をわざわざ取って行くのもちょっと……。流石に山賊に落ちぶれる気は無いし、仮にこの村の連中が碌でもない連中でも既に死んでるしな。
俺は村の外れに焼き場とテーブルや椅子を作り、昼食の準備をする。メルとエリアと子供達を連れてきて料理を手伝ってもらおう。【念話】で呼びかけて来てもらい、昼食作りを始める。
セン麦は使い終わったので、後はドッツ麦だけだと言うと、エリアは一気にドッツ麦を使い始めた。別に良いけどさ、そんなに米が食いたかったんだなぁ。まあ、食べるなら無駄にならないから、良しとしよう。
俺は手早くヘビーブルを角煮にし、出来た饅頭の生地に詰め込んでいく。エリアが大量に生地を作ったので、いつもより沢山作る事になったが、余ったら保存しておこう。ひたすら包んでいき、完成したら蒸していく。
子供達とメルの作るスープも既に完成しているので、後は饅頭が蒸しあがれば昼食だ。丁度、向こうで遺体を焼いていた皆も埋め終わったようで、こっちに来るのに合わせて【浄化】する。
しかし、村1つがゾンビに変わってしまうっていうのも、なかなか考え難い事ではあるんだが……。おっと、蒸しあがったので2回目をセットして食べようか。それじゃあ、いただきます。
「しっかし、ゾンビばっかりで嫌になるねえ。それに、こんなにゾンビばかりというのも、おかしなものさ。ゾンビが何かをゾンビにする可能性は高くないし、どうなってるのやら」
「ゾンビは動きが遅いですから、子供でも逃げられますし、大人なら適当な農具で叩き潰せば済みます。頭を潰せば動きませんので、そこまで強力なアンデッドでもありません。極稀に動きの良いゾンビも居ますが……」
「あれは動きが良いというより、大量の邪気で動いているだけさ。その邪気を減らしてやれば、あっと言う間に動きは鈍る。問題はゾンビが大量に居る事と、誰もゾンビに対処しているように思えなかった事だよ」
「魔物に食われた様な跡のあるゾンビは居たけれど、頭を潰されたりして殺されたゾンビは居なかったわね。さっさと浄化したけれど、何がゾンビの原因かは結局分からないままよ」
「まあ、原因は分からないけど、ゾンビは処理できて良かったよ。流石に遺体が動き回るのはね? ダンジョンに出てくる作られたゾンビはともかく、本物は何とかしてあげたいし……」
普通なら村の者が何とかするんだろうけど、今回は村が丸々ゾンビだらけになってるからなぁ。
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1524終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2484枚
大銅貨1827枚
銅貨50枚
神鉄の刀
神鉄の槍
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




