1518
食堂で朝食を待っているのだが、周りの魔戦士達が五月蝿い。どうやら王都の中で盗みを働いた奴が居るらしい。ただの盗みではなく、貴族家の屋敷に侵入し盗んでいった奴が居るそうで、それで兵士がウロウロしているようだ。
「何でも宝石とか、高値で売れる物が大量に盗まれたらしい。だから犯人は1人じゃないって兵士は言ってたぞ。複数の足跡なんかがあったんだってさ。何でも勝手口の扉が壊されてたそうだ」
「勝手口って事は、閂が壊されたのか? あんなもん早々壊れたりしないし、仮に無理矢理に壊そうもんなら大きな音がするだろ。言葉は悪いが、そんな大きな音を出した時点で捕まるだろうに」
「実はな、閂は切られてたんだってよ。兵士に聞いたらさ、起きてこなかったって事は小さい音しか出さず、ゆっくりゆっくり鋸で切ったんじゃねえかって。木屑みたいなのが沢山落ちてたんだと」
「それはそれで凄い根性だな。とはいえ、高値で売れるもんが大量に盗まれてるんじゃ、それに見合った儲けになったって事か。なんつーか、結局捕まりそうな気はするけどな。宝石なんて売れる所は少ねえって聞くし」
「まあなあ。だからよ、俺達でそいつら捕まえるのはどうだ? そいつら捕まえて引き渡せば謝礼ぐらいくれるんじゃねえかな。流石の貴族だって、何も渡さないってなったら面目が潰れるだろ?」
「あー、確かにな。それは良いかもしれねえ。俺達は犯人を捕まえて謝礼を得る。犯罪者じゃねえから堂々と受け取れるしな。問題は何処の貴族かって事だ、ケチで有名な奴なら俺は下りるぜ? どうせ碌な褒美を渡さねえだろうし」
貴族の家に盗みにねえ。しかし、わざわざ時間を掛けて鋸で切るっていうのも凄いな。何がしかの執念を感じる。何処の家でもそうだが、閂に使われる木材って太いんだよ。アレを切るのは結構な時間が掛かるし、相当疲れただろう。
俺なら外せば済むし、壊す場合も【分離】で終わる。けど、人力でとなると薄い刃の鋸が要るし、時間も力も必要だ。複数人と言っていたから交代で切ったんだろうか? でも、ある程度の音はしている筈なので、普通は誰か気付くと思うが……。
特に俺が生きていた日本と違って夜は静かだ、鋸の音なんて相当響くと思うがな? もしかしたら内部に協力者が居るのかね。そいつに開けてもらい切られた閂と交換して、木屑を勝手口の下に撒いたら……。
そんな事を話しながら俺達は食事をし、終わったので店を出る。そのまま王都の入り口まで行き、登録証を見せたら王都の外へ。結構時間が掛かったが、貴族の家の事があったからだろう。入念に調べられた。
王都シャルムを出た俺達は、一路西のダンジョンを目指して走って行く。ある程度の距離を走るとテットイの村が見えてきたが、勾玉を使いながら吸引しつつスルーする。そのまま走り続け、マハールの町に到着した。
登録証を見せて中に入り、3人に大銅貨を1枚ずつ渡して宿などを聞く。教えて貰った宿に行くも大部屋は空いていなかったので、已む無く表通りの大きい宿に泊まる事に。10日間頼み、銀貨4枚だったのでさっさと支払う。
少し早いものの教えてもらった食堂に行き、大銅貨13枚を支払って昼食を注文する。席に座って待っていると、魔戦士の話が聞こえてきた。
「相変わらず鬱陶しいなー、ゾンビどもは。それでも鬱陶しいで済むだけマシだけどよ。昨日みたいに上位種が出てきたら堪んねえしな、アレに比べたら……やっぱり鬱陶しいし臭いし碌なもんじゃねえ!」
「五月蝿いわねー、静かにしなさいよ。迷惑でしょ。ここのダンジョンは元々ゾンビとか多いんだから、どうしようも無いでしょうが。それに浄化魔法が使えれば都合の良い場所よ。ゾンビばかりじゃないし」
「そうですね。ゾンビはゴブリンとかオークにコボルトぐらいですし。上位種になると危険ですけど、いつものゾンビであれば遅いですから的にしかなりません。まあ、魔力が続く限りですけど」
「だから結局さ、最後は俺が倒す事になってんじゃんかよ。毎回毎回、剣が汚れるんだぜ? 堪ったもんじゃねえっての。ゾンビの体は腐ってるから、いつ俺の剣も駄目になるか分からねえし……本当、場所変えねえ?」
「私も棍棒で潰している。それに、前から言っているだろう。ここのダンジョンが嫌なら、お前だけで行けと。私達はここの孤児院で育っているし、後輩たちに良い暮らしをさせてやる為にも動く気は無い。だからお前だけが行け」
「俺だけだと、どうにもなんねえっての。それにしても孤児院に寄付って……気持ちは分かるけど、俺には無理だな。実家は兄貴達が居るし、俺の居場所なんて無かったから助ける気も起きねえ。孤児院の方がマシかもな」
そこら辺はどうでもいい話なのでスルーするとして、ここのダンジョンはゾンビダンジョンか。久々と言えるかもしれないが、面倒な事でもあるし簡単でもある。ゾンビもアンデッドだから、邪気を吸い込むだけで倒せるのは楽だ。
面倒なのは汚れと病原菌か。ゾンビの代名詞とも言えるものだが、腐乱している以上は病原菌に塗れているのは当たり前なんだよな。それと戦う気が起きるかどうかは別だけどさ。後、臭いも最悪だし、そういう意味でも碌なもんじゃない。
昼食後、町を出て近くのダンジョンへと向かう。そこまで賑わっていないものの、人が少ない訳でも無い。そんな微妙な人数の商人なんかを見ながら、誰も並んでいない迷宮紋に乗ってダンジョンへと進む。
1層は荒地で、それなりの魔戦士が見える。倒しているのは……ゾンビか。1層からゴブリンのゾンビが出るというのも珍しいと言えば珍しいな。邪魔をする訳にもいかないので、何もせずに移動しよう。
人の多そうなのは東なので、東に移動しながら【空間把握】で調べて行くと、転移紋を発見したので2層へ。順調に進み続け、5層で麦の生えている草原に変わった。ゴブリンのゾンビ以外に、コボルトのゾンビも居るな。
普通なのはビッグディアーと、ビッグボアぐらいか。ここもゾンビを面倒臭そうに蹴散らしつつ、本命の魔物には別の武器で戦っている。ゾンビの血肉で汚れたら食べられないからな。武器を切り替えるのは仕方ないし、お金がかかるダンジョンだ。
ここから離れたいと言っていた魔戦士の気持ちも分からなくはない。そんな事を話しながら移動しているが、人の多い方角は南東だ。そちらに走っていき、見つけた転移紋から6層へ。8層まで順調に進み、9層への転移紋に乗る。
9層に到着すると今度は森だった。ここからガクッと魔戦士の数が減る。木々の密集具合は薄いものの、死角が多く危険な場所である事に変わりは無い。だからか、一気に魔戦士の反応が減った。大半の魔戦士は8層までが限界のようだ。
まあ、まともなモンスターも居るのでお金は稼げるか。5層からの草原では小麦やドッツ麦を見たし、あれらを回収すればお金は稼げる。減ったものの魔戦士は居るし、どうやらここの魔戦士は果物を採っているようだ。
思っているより逞しいと言うか、その程度の事は考えてやらないと生活が苦しいのかな? それはともかくとして、この層から勾玉を使いつつ移動しよう。前の物より強力に作ってあるので未だに大変だが、そうも言っていられない。
吸引と【浄化】をしながら南へと移動する。方角はおそらく間違っていない筈だが、それよりも邪気を吸引して動かなくなるゾンビが大量に出ている。このまま放っておくとゾンビだから復活するんだろうか? でも広範囲すぎて死体を処理できない。
流石に放置して行かざるを得ないので諦めよう。この層の魔戦士にはモンスターの弱体化で勘弁してもらおう。アンデッドの放置は宜しくないがダンジョン内だしな、そこまで厳密にしなくてもいいだろう。何より範囲が広すぎる。
死体を放置しながら走って行き、13層への転移紋に乗った。
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1518終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2484枚
大銅貨1937枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神金銀の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




