1503
現在、蠱毒の壺の中に居る気分で戦っています。俺? 俺は戦わずひたすら銅鏡で邪気を吸引し【浄化】している。ここのモンスターは倒しても何故か邪気が残り、他の虫モンスターに吸収されるんだ。つまり、こちらから浄化する必要がある。
おかげで俺が【浄化】し続ける羽目になっていて、戦いを皆に任せるしかない。今のところ心配要らないが、いつ危険な状況になるか分からないので気も抜けないし大変だ。
もちろん戦闘中に気を抜くのは馬鹿だが、抜けなさ過ぎる。集中力が保つかどうか……。
ラッシュは元々厳しいのだが、おかしな状況の所為で余計に厳しい状況となっている。虫どもが倒れた後の邪気を何とかして吸引して【浄化】しないと、最後にどうなるか分からないのが怖い。
手の付けられないモンスターになったら、俺でも対処できるかどうか……。そうさせない為にも、出来得る限り浄化しておく必要がある。蠱毒の壺って、確か呪いの儀式か何かだったような記憶がある。
残った最後の虫から毒を抽出して呪いの儀式に使うんだっけ? 俺も詳しく覚えてないが、碌でもない事に使われる物である事は間違い無い。呪神が関わっているかどうかは知らないが、蠱毒の壺と同じである以上は最大限に警戒するべきだ。
順調に虫が減っており、増援として現れる数も減っている。虫を倒した後の邪気は俺が銅鏡で吸引して【浄化】しているので、虫に奪われる事は殆どない。あっても吸収した虫を倒した際に吸引しているので、結果は同じだ。
最後の1匹はイデアが【火弾】で焼き殺して終わった。【探知】を使って確認しても、周辺にモンスターの反応は一切無い。最後はショボく終わったが、最奥で起きていた事を考えると妨害していて本当に良かったと思う。
………あれ? 脱出紋が出て……今、出てきたな。何で脱出紋が出てくるのに時間が掛かったんだ? ……もしかして、邪気を吸引されて浄化されてしまう事を想定してなかったんだろうか。何かそんな気がするな。
【探知】を使っているが、魔道具などの反応は無し。久々にあるかなと思ったが、闘神や念神が言っていた魔神や創造神が遊んでいたというのは事実なんだろう。今はそれを禁止されているので、魔道具などは無いという事だ。
アイテムバッグも今はもう必要無いし、子供達もアイテムポーチを持っている。美神のブラシなんかは戦闘などに関係無いのでセーフの扱いで、白い枷は聖人化の為に必要なので問題無しと。単に浄神が怖くて文句をつけられないだけだったりして……。
下らない事を考えてないで、皆を【浄化】して帰ろう。戦闘中も余裕があれば皆を【浄化】していたので、そこまで邪気を溜めてしまってはいないだろうが、念には念を入れて綺麗にしておかないとな。
皆を綺麗にし終わったのでダンジョンを脱出。外は未だ雨だったので、さっさと宿へと戻ろう。ダンジョン街を出て町へと戻り、宿へと走ったら軒先で1人ずつ【乾燥】と【凝水】を使い水分を取り去る。
乾いた人から中に入れ、最後に自分を乾かして宿に入る。皆はテーブル席に着いていたので、従業員に大銅貨13枚を支払い夕食を注文した。俺も席に座ってゆっくりしよう。そう思い、皆の所へ歩いて行く。
席に座って雑談をしているとガチャガチャ音の鳴る鎧を着た魔戦士が中に入ってきて、それぞれが椅子にドカドカと座り始めた。注文をして金を払っているようだが、いちいち声の大きい五月蝿い奴等だな。
「ふぅーーっ、今日のダンジョンは楽だったな。何かモンスターが異様なまでに少なかったんで、その御蔭で高値で売れるヤツの所まで簡単に行けた。アーマーベアは強いが俺達の敵じゃないしな」
「そう言いたいなら、もうちょっと役に立てや! お前いったい何回弾き飛ばされたよ。重い魔物やモンスターの攻撃は受け流せって言ってんだろうが。何で毎回忘れて倒されたり、吹っ飛ばされたりしてんだ!」
「そうだぞ。お前が無駄に倒れる度に、いちいち俺達がフォローしなきゃならねえじゃねえか。いい加減そろそろ受け流しを覚えろ、いつまで怖がって守りを固めてやがるんだ。あんまり直さねえと玉無しと呼ぶぞ!」
「なんだと、てめえっ! アーマーベアの攻撃を簡単に受け流せるなら誰も苦労しねえんだよ! 偉そうに言うならテメエがやれや!!」
「俺も盾をやってんだろうが、お前よりも上手くな! お前が下手クソな所為で、仲間の足を引っ張ってるって話だろうが! 勝手にすり替えんじゃねえ!」
いちいち五月蝿いなー。と思っていたら、新しい女将が出て来て一喝した。今度は女将に当たろうとした馬鹿は、結構な威圧感のある笑顔に黙ったぞ。まあ、元暗殺者だしな。……あれ? もしかして元の人物に引き摺られる?。
聖人化しても、元の人物の性格や知識に経験が影響するなら、あくまで聖人化というのは表面的な部分だけって事か。いや、悪や罪を許さない者である事に変わりはない。逆に言うと、それだけを埋め込まれる?。
……止めとこう。これは暴いても誰も得をしないし、興味本位で調べてもいけない部分だ。俺が聖人にされかねない。そんな未来はまっぴら御免なので、見なかった事にして夕食を待とう。
運ばれてきた食事を食べていると、それなりに魔戦士が来ているのが分かる。ここまで繁盛させるのには苦労した筈なので、暗殺部隊は思っているより優秀だったんだろうな。ここは立地も良くないし。
夕食後、さっさと部屋に戻って休む。今日は本当に疲れたんで、明日を休みにしたいと言うと全員が賛成してくれた。ダンジョンモンスターをひたすら倒し続けるのは本当に大変だったろう。邪気を吸引し続けた俺も大変だったけど。
皆はフラウェ酒を欲しがったので渡す。今日は好きに飲んで寝なさい。体力を回復しないと色々マズいと言えるぐらいに疲れたろうし、それだけ大量のモンスターが湧いていた。そのうえ最奥がアレだからな。
皆が最奥の話を始めたので蠱毒の壺の説明をしておく。皆はその説明を聞いてドン引きしているが、かつて大陸の少数部族だか民族だかがやっていた事だ。俺が地球に居た頃は中国だが、当時の国の名前なんて知らないんで分からない。
日本にもその情報は入ってきたらしく、時の朝廷が禁止令を出してるにも関わらずやった奴がいるのは知っている。たしか当時の親王までがやっていて、処罰を受けたというのを読んだ筈。違ったか?。
あんな呪物と思い込む為の気持ち悪い物なんて、思い出す必要も無いだろう。そもそも毒虫を中で争わせたところで、毒が濃縮されたり強くなる保証が何処にも無いだろうに。それぞれ毒の種類が違ってたら目も当てられない。
そんな短期間で毒が急に強化されるなら、自然界でもっと強力な毒を獲得してなきゃおかしいだろう。考えれば分かる事だが、古い時代の人には分からないか……。そんな知識も無いだろうし、その結果が在りもしない呪いだからなー。
「毒虫ばかり集めて狭い所に入れ、殺し合いや喰らい合いをさせる、ねぇ……。何か人間種でもやってそうな気がするのはアタシだけかい? 色んな奴を集め、狭い所で殺し合いをさせて、それを見世物にする。……うん? 昔聞いたような……?」
「ありましたねえ、そんな事。何処か忘れましたけど、借金でどうにもならなくなった者を集めて殺し合いをさせていた筈。生き残った最後の1人の借金を帳消しにする。確か、そういう見世物だったと思います」
「だいたい合ってるよ。場所は現在ヴェスティオンのある所。旧国名は何だったかな……? ちょっと忘れたけど、そこで行われていた見世物さ。当時の王が許可してやらせていた事だけど、最後には無くなったね」
「無くなった? 止めたじゃなくて、無くなったってどういう事?」
「集められた借金持ちが一斉に暴れたからさ。当時の王はこの殺し合いを好んで観戦していたそうだけど、その暴動で王が殺されたんだよ。それで運営していた商人達は全員処刑され、全財産を没収されたんだ」
「そんなものを見に行った王が悪いんじゃないの?」
「それはそうだけど、そうならないのが王というものさ」
もう王と書いてバカと読めば良いんじゃないかな? そいつ限定で。
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1503終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2498枚
大銅貨2167枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




