0149
「そうだったんですか……。もの凄く怖かったので、間違いなく殺されると思いました」
「ヴェルがそこまで怯えるって事は……何かの技を使ったね、アルド?」
「ああ。【闘気術】の威圧系奥義、【幻死】を使ったんだよ」
「【幻死】? 初めて聞きましたが、どんな技なんです?」
「ハッキリと相手に死を感じさせる技で、全力でやれば発狂して死ぬ技だ」
「発狂して死ぬって………とても怖い技ね」
「発狂するというか、心が耐えられないだけなんだよ」
「いや、”だけ”って……。耐えられない技を使ってるんだろうに」
「まぁ、そうなんだけどな。……で、武具を作ってほしいって言ってたけど、何を作らせたいんだ?」
「「「「………」」」」
4人からジト目がきたぞ? 珍しい事もあるもんだ。あのゴミを【幻死】で発狂死させる事は出来たんだけど、それをやると手の内が1つバレるから止めたんだよ。
「前に作ってもらったのと同じ、石と木で武器を作ってほしいんです」
「石と木の武器? そんなもの役に立つのかい?」
「姉上はご存知無いから、そう思うんですよ。アルドの作る石と木の武器は、新人にとってはありがたい物なんです」
「そうなのかい?」
「そうなのさ。青銅製の武器より優秀で錆びないからね。場合によっては下手な鉄製より優秀なんだよ」
「それは凄い! 流石は主様」
「姉上、姉上、心の中だけで。アルドが困ってしまいます」
「あ、ああ。そうだったね。つい」
成る程。心の中では今も俺を主と呼んでいるのか。まぁ、心の中まで文句を言ったりしないけども。どうして主と呼びたがるのかは分からないな。気持ち的な問題なんだろうけど。
「それで大丈夫ですか?」
「まぁ、構わないけども。個数とかが明確じゃないんだが……」
「それが、困った事に明確に答えられないんです」
「どういう事だい? 普通は内容を決めてから依頼を出すものだろうに」
「それが。アルドの作った農具なども欲しいと言われていたり、スコップという物やツルハシも欲しいという声があってですね……」
「あー……。つまり、アレかい?。色んな所に聞いてこなきゃ分からないって事かい?」
「はい。ですので、とりあえず受けてもらえるかどうかと、石と木の確保をお願いします」
「成る程ねー、了解。まずは石と木を集めに森の拠点に行くか」
「そうですね。あそこなら簡単に集まるでしょう」
とりあえず、どうなるか分からない依頼を請けた。とはいえ村の傭兵の生存率が上がるなら特に問題は無い。それより農具が求められるとは思わなかったな。
あれ、材料が余ったから半分冗談で作ったんだよな。機械化されるまでは人力の農具って大事だから。地球だろうと、こっちの世界だろうと、その辺りは変わらないって事か。
「ん? ミュウ、どうしたんだい? 何か言いたい事があるならハッキリ言いな」
「皆さんの怒りが解けたので良かったなと。あそこまで怒ったダナさんを見たのは初めてでしたから」
「ああ、そういう事かい。アタシ達は皆、朝からアルドに抱かれてるのさ」
「ええ、朝から愛してもらったんですよ。だから、とても良い気分で居たのに……」
「あのゴミが幸せな気分に冷や水を浴びせかけてきたのよ」
「そうさ。主様が残してくれた幸せを味わっていたのに。……あのゴミめ!」
「本当にね。その状況でアタシの愛しい人を侮辱したんだ、死ぬ事すら生温いのは当然さ!」
「全くです! あんなに良い気分だったのに!」
「朝からの最高の気分が、全て吹っ飛んだのよ!? その怒りが軽いワケがないでしょう?」
「そ、そうですか……」
スゲー。ミュウさんがドン引きしてるよ、真っ赤な顔で。人ってあんな顔出来るんだなぁ……。周りを見ても男性は普通にドン引きしてるが、女性は真っ赤な顔でドン引きして……?。
あれ? 真っ赤な顔で俯いてる女性とウンウン頷いてる女性しか居ない……? えーっと、女性的にはその状況でボッコボコにするのは”アリ”って事ですか? ……そうですか。
どうやらこの場の女性的には、4人が怒ってボッコボコにしたのは仕方がないという事らしい。……何故ヴェルまでウンウン頷いているんだろうか? お前さん当事者だろうに。
「まぁ、俺は石と木を集めてくるよ。アイテムバッグがあるから倉庫に保管する必要は無いから」
「分かりました。お願いします」
俺達は全員でゆっくりと村を出る。何か色々あったが、まだ朝なんだよな。流石に朝の遅い時間だから傭兵の殆どは出発してて残ってないが。門番に登録証を見せて、森の拠点へ。
森と川の間を散歩するように進んで行く。リラックス効果があるのか4人も段々と落ち着いてきた。森の拠点に入って行く道の横で、俺は石を拾い【圧縮】と【融合】を繰り返す。
おおよそ200キロ程手に入れたら、今度は拠点への道にある木を伐っていく。アルメアが手伝いを申し出てくれたので、王角竜の伐採斧を渡す。うん、まぁ、あっさり伐り倒すよね。
俺は【分離】で皮を剥いだら、【圧縮】して【融合】する。高さ2メートル、直径50センチの丸太にして収納していく。10本収納したので、これで十分だろう。
材料が揃ったので帰ってもいいのだが、魔物を討伐するか聞いてみた。戦いたいという意見しかなかったので、大森林の方へ行く。ここだと低ランクの魔物を奪ってしまうからな。
上流の、川幅の狭い場所からジャンプして渡る。アルメアは怖がる事もなく、あっさりとジャンプして越えた。無理なら抱えて跳ぼうと思っていたんだが、大丈夫で何よりだ。
「早速魔物かい……って、イエローボアじゃないか!? 運が良いねぇ」
「トーカが喜びそうですね。アルドはイエローボアの肉が無くても強いんですが……」
「そうね。女としては、とっても嬉しい事だけど」
「私達で満足して頂けているのかな?」
十分満足していますので、お気遣いなく。それよりイエローボアを倒そ……終わったか。イエローボアは3匹居たんだが、あっさりダナに首を斬られ、メルに刺され、アルメアに分銅で潰された。
シュラが若干不満気な顔をしているが、諦めてほしい。俺は獲物を処理して回収し、適当に魔物の居る方角を示す。特に目的もなく魔物を狩るだけなので、これでいい。
その後、フォレストベア3頭、オーク4体、投石リス8匹、鉄蟷螂7匹、ポイズンスパイダー5匹を倒した。丁度、崖上への階段を作った場所の近くだったので、階段を上がって昼食にする。
皆が酒のツマミの青豆を持っているので、それとフォレストベアの焼肉だ。肉を【熟成】した後に一口大に分けて焼いていく。2匹には生のままだ。2匹は喜んで貪ってるな、一心不乱だ。
「フォレストベアの肉って美味しいんだね。知らなかったよ」
「姉上。それはアルドが綺麗に浄化して、熟成してくれているからですよ」
「そうだったんだ。浄化だけじゃなかったんだね」
「臭みも何も無くて、とても美味しいわね。塩だけなのに美味しい」
「熊の肉も、臭みが無ければ美味い肉なんだよなぁ」
「そうだねぇ。普通は臭みを誤魔化す為に色々入れたりするんだよ」
「香草の事ね。香草を入れて茹でこぼすのよ。そうすると臭いがマシになるの」
「それでも、マシになるだけなんですね」
「それはそうよ。綺麗サッパリ臭みが無くなるなんてアルドしか出来ないと思うわ」
「主様は凄いね」
「なんか開放的だから気分が良いね。こんな開放的なのは久々だよ」
「そうですね。ダンジョンも見た目は開放的ですが、どこか重苦しいんですよね」
「分かるわ。こう、何か違うのよね」
「確かに。アレは何だろうね? 閉塞感があるんだよ」
感覚的に分かるんだろうな。何と言うか、コレじゃないって。ダンジョンは創られた閉鎖空間でしかないからな。
昼食が終わったら、村に帰るか……。
▽▽▽▽▽
0149終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨62枚
大銀貨77枚
銀貨43枚
大銅貨46枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
ヒヒイロカネの小太刀
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ