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1494




 俺達は教えてもらった宿に向かって現在移動中だ。スラムほど酷くはないが、ここにも貧民層が固まる地区はある。そこにある宿が良心的な値段でやっているそうだ。まあ、貧民層が集まる地区では値段を下げないと客は来ないだろう。


 俺達の場合は治安云々を言ったところで意味は無い。聖人にしてしまえば治安は向上するし、地区の犯罪者を聖人にしてしまえば安全は確保できる。なので、そこまでスラムという場所を警戒していない。


 教えてもらった宿に入ると、何だか妖艶な女将さんが居た。そういう宿だと勘違いされるんじゃないかと思うが、余計な事は言わず10日間部屋をとる。銀貨3枚だったので、今までの宿よりは銀貨1枚安いな。


 聞いていた通り良心的な値段でありがたい。金はあるがボッタクられるのはムカツクからな。正規の値段なら問題なく払うんだが……。それは横に置いとくとして、この宿は1階の半分が食堂になっている店なので2階の奥に行く。


 大部屋はそこしかないらしいが、1番静かな場所のようなので助かる。大部屋に入った俺達は腰を下ろして休むのだが、蓮は矢を射ってきた奴に対してお怒りのようだ。当たり前の事ではあるものの、怒りのポイントはそこではないらしい。



 「あんな矢に当たるほど、れんは弱くないんだから! そこじゃないの! 矢を射ってきたのはろうじんぞくだったけど、あまりにも下手なことに怒ってるの!!」


 「ああ、狼人族だったんだ。ボクはちゃんと見てなかったけど、下手だったのは見てたよ。矢を射った後「あっ」ていう顔をしてたし。多分ビックリさせる意味で、近くに落とすつもりだったんだと思う」


 「あれは驚かせる意味じゃなくて、ビビらせるつもりだったんだよ。手元が狂ったのか、元々ヘタクソだったのかは知らないけどね。結果として、これからは弓を使うのを諦めるしかないね」


 「片目ではどうにもなりませんからね。美濃の大島という者でさえ、片目をアルドにやられてからは駄目だったそうですから。片目の弓使いは余程の修練をしないと、狙った所には飛ばせないのでしょう」


 「まあ、片目だと駄目なのは弓だけでは無いけれどもね。近接戦闘だって片目では厳しいわ。アルドやディルなら問題は無いのでしょうけど、【空間把握】が使えないと無理じゃないかしら?」


 「使えれば大丈夫だろうけど、余程の修練をしなければ使う事すら無理じゃないかな? 主様いわく、使い熟せれば目は必要なくなるらしいけど……」


 「普通は無理だよ、そんなの。【念術】以前の問題だと思うけどね。仮にそこまで到達できる才能があっても、寿命が足りないだろうしさ。どう考えてもアルドとディル以外は無理でしょ」



 確かにそう言えなくもないが、皆なら良いところまで行けるんだけどなぁ。邪生の心臓を食べているし、おそらくだが【念術】の修行を本格的にすれば念力も伸びると思う。そうなると、長い年月を掛ければ習得出来る筈だ。


 まあ、才能の無い事を無理にやっても辛いだけなので、させたりしないけどさ。それでも良いところまでは行けるという事は覚えておいてほしい。……ん? ああ、お腹が空いたのか。


 ダリアがペシペシしてくるが、どうやらお腹が空いたらしい。今日は移動だったし、丁度いい運動になったんだろう。夕日も出てきた様だし、1階の食堂に行くか。そう言って、皆で1階に下りる。


 女将さんに大銅貨13枚を支払って夕食を注文し、席に座って適当に雑談しながら待つ。客がちょこちょこ入ってくるが、チンピラみたいな連中が多いな。こっちをジロジロ見てきて鬱陶しいが、無視すれば済む程度だ。


 そうやって待っていると、何を思ったのか近付いてくる奴が居る。俺達に喧嘩でも売りに来たんだと思うが、決め付けるのは早計か。十中八九は間違い無いだろうが、一応向こうの出方を見るかね。



 「おいおい。この地区にガキを連れて来るとか、随分頭の悪い奴だなぁ。そこの女どもで許してやるから、さっさとここ……」


 「ん? さっさと何だって? ……さっさとここ、まで言ったよな? ほら、早く続きを言えよ」


 「………」



 俺は魔力と闘気と念力の威圧を、四方八方に撒き散らしている。女性陣と子供達や2匹には当たらないように使っていて、俺達以外の全員がガタガタと震えているようだ。かなり弱めに使っているんだが、それでコレかよ。



 「おーい、どうした? さっさとここ、の続きを言えよ。聞いてやるからさ。とっとと言え」


 「……い、いや………。べ、つに……たいし、たこと……じゃ」


 「さっさとここから失せろ、とでも言いたかったんだろう? 威圧を止めてやるからさっさと言え。ただし、言い終わった時に命があると思うなよ?」


 「………」



 俺は威圧を止めて馬鹿を見る。俺からの威圧が無くなったものの、店の中の緊張感は無くなっていない。むしろ高まったぐらいだ。目の前のチンピラは革鎧を着けて剣を持っている。つまり魔戦士である以上、殺しても罪には問われない。


 目の前の馬鹿も何となく理解したんだろう。殺し合いの許された相手に喧嘩を売ったのだと。震えているだけで何も言い出さない馬鹿に対し、うんざりしながら口を開こうとしたその時、誰かがやってきた。



 「申し訳無いんだがよ。あんたか? さっき強烈な威圧を放ったのは。目の前に震えてる馬鹿が居るって事は、多分そいつが喧嘩を売ったんだろうが……許してやってくれねえか?」


 「「「「「アディアムさん!!」」」」」



 何かチンピラとその仲間が救世主を得たような顔になり、急に強気になったぞ? だれか知らないが強い奴なのか? それなりの魔力に闘気にね……おい、ちょっと待て。コイツ念力が結構あるぞ? ……もしかして!。


 俺は慌てて【空間把握】を使う。すると、この男は上半身に紋様を持っていた。間違い無い、コイツ幽人族だ。何だか急に嫌な予感がしてきたんだが、コイツ大英雄の子孫か何かじゃないの?。


 そんな事を考えていると、調子に乗ったチンピラどもが再び俺に喧嘩を売ってきた。



 「アディアムさんが来たから急にダンマリかテメェ!! 俺に喧嘩売っておいてごっ!?!?」



 面倒になった俺は【念動】で馬鹿の首を絞めて宙吊りにする。それを見たアディアムという奴も周りの連中もビックリしているが、このまま首が絞まったままだと窒息死するぞ?。


 俺が半笑いで様子を見ていると、舐められたと思ったのか向こうも【念動】を使ってきた。俺は今回、非常に弱めで使っている。だからこそアディアムとかいう奴は、俺から主導権を奪いチンピラを下ろした。


 ところが早々甘くは無い。再びチンピラを吊り上げた俺は、また半笑いでアディアムという奴を見る。当然、再び主導権を取ろうとするのだが、今度は強度を上げてある。簡単には取れなくて、多少苦労していた。


 ほーん、この程度は出来るんだなぁ。それなら更にドン! 俺は三度チンピラを吊り上げる。今回は2割ぐらいの力だ、頑張ってくれよ? また半笑いでアディアムという奴を見ると、俺をバケモノを見るような顔で見ている。


 気持ちを切り替えたのか必死で主導権を取ろうとするが、俺から奪う事は出来なかった。アディアムという奴は肩で息をしているが、俺から主導権を奪う事を諦めたらしい。


 俺の2割か……まあ、頑張った方かな? 阿呆は気を失っているので、さっさと床に下ろそう。最悪は無理矢理にでも呼吸させてやる。それで死にはしないだろう。


 【念動】を含め、【念術】同士の争いでは主導権の取り合いになる。主導権とは即ち<念力>の取り合いだ。大気中の念力を使うには、己の念力を繋げて浸透させなければいけないのだが、それが念力の奪い合いであり主導権争いだ。


 強力な念力を通せば相手から主導権を奪い、念術を行使できる。念力同士の戦いは非常に静かだが、精神が疲弊する厄介な戦いでもあり、それ故にアディアムとかいう奴は疲れている訳だ。


 そんな解説を余裕で出来るくらい、俺とコイツには差があるという事だな。そう周りの阿呆どもに教えてやった。



 ▽▽▽▽▽


 1494終了時点


 大白金貨101枚

 白金貨498枚

 大金貨1704枚

 金貨2679枚

 大銀貨1637枚

 銀貨2498枚

 大銅貨2245枚

 銅貨50枚


 神銅の処刑剣

 神金のヴァジュラ

 精霊木の浄化棍棒

 精霊木石の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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