1493
朝食後、ソルメスの街を出発して西へと走る。火の季節でありながら吹きつける風は涼しい。これから火の季節の本番なので何とも言えないが、それでも今まで居た所に比べれば気温は低いと言わざるを得ないな。
別に悪い訳では無いが、今の季節の内に南下を始めたいところだ。とはいえ、今日は火の季節の26日目。後54日もある以上は余裕で南下を始められる。無理して急ぐ必要も何処にも無い。
ただ、冷房や送風機を使わない火の季節は初めてで、ちょっと驚いている。本番は季節の後半なんだが、この感じだと使わなくても過ごせそうだ。その代わりに、水の季節は凍るほどの寒さな訳だが……。
考え事をしながら走るというのも危ないが、この国では移動する者が少ないからか、未だ誰とも出会わない。商人の馬車とすれ違う事すら無いのだから、この国の人がどれだけ動かないか分かる。
もちろん商人だって全く動かない訳ではないのだろうが、おそらく1回で多くの馬車が動くのだろう。コスト的にもそちらの方が安く済むだろうし、動く回数も減らせる。それに、村の作物を売ったりとかが大半だと思う。
ダンジョンが3つと多いが、そこから得られる物も殆どは地元で消費して終わりだろうな。特に肉の場合は腐る可能性が高いし、そもそもこの国では狩りが出来る場所が多い。ただし大半は山や森だけども。
それでも、そこから出てくる奴等も居る訳だし、ネイルラビットの様な見通しの良い所に住むのも居る。決して平原に出てこない訳でも、魔物が居ない訳でも無い。狩王国の名の通り、十分狩りは出来るだろう。
前方にタタン村が見えてきたが、村の近くには狩りをしている魔戦士が多く見える。村を守るのと、狩りを両立している感じか。特に新人や実力の低い奴等は、ああやって村の近くで狩りをしているんだろう。
それを横目で見ながら、俺達は更に西へと向かう。タタン村を越え、そのまま休憩を挟みながら走っていると、前方にオパン村が見えてきた。ここが2つ目の村なので、次が目的地のデルイの町だ。
オパン村を越えて少し走ったところで昼になった為、皆に声を掛けて止まり、昼食の用意をする。土の焼き場やテーブルなどを作ったら、精霊石の土鍋にサーサと押し麦を入れてフォルとエリアに任せる。
子供達とメルには、サラダと貝や蛸と魚のスープを作ってもらい、俺はグレイトシープの骨付き肉を焼く。麦飯が炊けるまで時間が掛かるので、俺達は少しゆっくりしてからだ。その間は椅子に座って休憩だな。
子供達も休憩していて、今は2匹と遊んでいる。……御飯が蒸らしに入ったので、そろそろ料理を始めよう。子供達とメルも料理を始めたので、俺は香辛料を揉み込んだ骨付き肉を浮かせてじっくりと焼いていく。
内側からゆっくりと焼いていくのだが、表面に脂が滲み出てきた。勿体ないとは思うが、どうしても脂は出てきてしまう。可能な限り旨味も含めて閉じ込めるようにしているが、それでも多少は出てくるので諦めるしかない。
その脂が周囲に美味そうな匂いを放っていて、休憩している女性陣だけでなく、料理をしている子供達までチラチラ見てくる。女性陣はともかく、子供達とメルは料理に集中してくれ。危ないからさ。
何度か注意したからか、今は料理を真面目にしている。スープ作りだから危険は少ないとはいえ、袖や裾を引っ掛けて引っ繰り返したり、熱いスープが掛かって火傷とかは無い訳じゃないので注意してほしい。
焼けた骨付き肉を皆の皿に乗せていき、それぞれの椀にスープや麦飯を入れたら完成だ。それじゃあ、いただきます。
「ん~~~~っ! おいしい!! 前にたべたのがいつか思いだせないけど、ぐれいとしーぷはおいしい!! かむとあぶらがね、どばっとでてきておいしいの!」
「うん。凄く美味しいんだけど、そこまで興奮するかな? いや、美味しいんだけど、竜の肉よりは感動しないからさ。気持ちは分かるし、とても美味しいんだけどね……」
「まあ、言いたい事も分からなくはないよ。確かに竜の肉に比べれば感動や驚きが無いんだよね。とはいえ、美味しいのは間違いない。でも、こんな程度だったかねえ?」
「多分、冷凍していた肉だからだろうな。時間が経って味が落ちているんだよ。上手く解凍して熟成もしたんだが、それでも時間が経った肉はどうしてもこうなる。仕方がないさ。蓮が興奮してるのは、麦飯と蛸があるからだろう」
「ああ、好物に囲まれているからテンションが高いんですね。まあ、それは分かります。それと竜の肉が美味しいのは、あれは凍らせなくても腐らないからでしょう。凍らせると、どうしても美味しさは減るようですし」
「凍らせてあっても、流石はグレイトシープだと言える美味しさなんだけどね。それでも凍らせていない味を知っているだけに何とも言えないよ。今までは、そこまで時間も掛けずに食べていたからだろうけど……」
「アルドも言っていたけれど、このお肉は結構時間の経ったお肉だからでしょうね。長く保存できるとはいえ、時間が経ったお肉はどうしても味が落ちてしまうわ。仕方がないとはいえ、次のダンジョンに期待かしら?」
「あたしはこれでも十分美味しいと思うけど、もしかしたらサーサを食べてるからかな? 久しぶりのサーサは美味しいけど、その所為で肉の味が分かってない?」
「さて、どうなんでしょう? 確かに美味しい肉ですけど、そこまで美味しいかと問われると……単に自分の舌が贅沢になっただけなのか、本当に味が落ちているのか、何処までの味なら納得なのか。ちょっと悩みますね」
ただの昼食なんだが、そこまで真剣になる事だろうか? 俺としてはそっちの方が不思議ではある。それはともかくとして、久しぶりの米はゆっくり味わうか。最近パサパサのパンとかばっかりだったからなぁ、後は蕎麦。
マズくはないが、美味しくもない食事が多かったので、俺としては素直に美味しいと思う。もちろん冷凍なんてしていない肉は美味しいけど、それでも食堂で出てくる肉よりは美味い。酷い所だとコボルトの肉とか出してくるからな。
煮込んで柔らかくしないといけない肉を焼いて出してくるんだから、あれでよく店が続くもんだと思う。そこでは普通の食事内容なんだろうけどさ、あれならゴブリン肉の方がマシってもんだ。
ジューディムだったからゴブリン肉の食べ方を知らないんだろうけど。そういう意味ではシャムニーの方が料理はマシと言えるか。この国では努力というか、色々な事を試しているみたいだし。
そんな話をしながらの昼食を終え、今は後片付けをしている。皆は食後のまったりタイムだが、後で片付けるのが面倒なので今の内に片付ける。……そうしていると、向こうから複数台の馬車が1列になってやって来た。
俺達は慌てて焼き場やテーブルを壊し、更地にしてから横に移動する。そのまま歩き始めると、先頭の馬車の周りに魔戦士が集まり始めた。俺達を警戒しているんだろうが、馬車から離れる事で襲わない事を示す。
そのまますれ違って行こうと思った矢先、向こうの魔戦士が矢を放ってきた。それも子供達に向けてだ。向こうも慌てているが、俺は矢をキャッチして射ってきた奴に投げ返す。当然のように目に吸い込まれていく矢。
左目に直撃した奴は大声を上げて騒ぐが、俺達にとっては知った事ではない。さっさと歩き、列を作っている馬車から離れていく。後ろでは未だに騒いでいる奴の声が聞こえてくるが、頭が悪過ぎるだろう。自業自得だ。
馬車からある程度の距離を離れたら、一気に走って移動する。そのまま進み続け、何事も無くデルイの町に到着した。門番に登録証を見せて中に入り、まずは近くの人に話を聞く。
いつも通りお金を渡しながら情報収集をし、穴場の宿を聞く事が出来た。大銅貨6枚、つまり6人に聞いたが、割と高値な所が多いみたいだ。ダンジョンのある町では、高値の店が多いのは仕方がない。
それでも商売がやっていける以上、高値の強気設定でも客は来る。客が来る以上は値段を下げる事なんて無い。値段を下げるのは客が来なくなった時だ。
ま、当たり前だけどね。
▽▽▽▽▽
1493終了時点
大白金貨101枚
白金貨498枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2501枚
大銅貨2258枚
銅貨50枚
神銅の処刑剣
神金のヴァジュラ
精霊木の浄化棍棒
精霊木石の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




